AutoCAD 外部参照の機能
この記事では、AutoCAD の機能の中でも外部参照を[個別バインド]する機能と[挿入]する機能を比較して両オプションの違いを分かりやすく説明し、それぞれの使用例をご紹介していきます。
AutoCAD の機能:ユーザーからのよくある質問 ~外部参照~
AutoCAD ユーザーからのよくある質問の一つに、「図面に外部参照を挿入する場合は、[個別バインド]と[挿入]どちらの選択オプションの方がいいのか?」がありますが、どちらが良いかについての絶対的な答えはありません。どちらのオプションもよく似ていますが、挿入先の図面の構成やその他の条件によって、どちらを選択するかはそれぞれに長所と短所がありますので以下で説明してきます。
AutoCAD 外部参照の機能:[個別バインド]と[挿入]
まず、AutoCADの外部参照機能の[個別バインド]と[挿入]の各オプションは AutoCAD のサポートとラーニング センター(AKN) で次のとおりに定義されています。
- [個別バインド]を選択すると、外部参照のオブジェクトがブロック参照に変換されます。名前の付いたオブジェクトの定義に接頭語 blockname$n$ が付いて、現在の図面に追加されます。ここで、n は 0 から始まる数字です。
- [挿入]を選択した場合も、外部参照のオブジェクトがブロック参照に変換されます。名前の付いたオブジェクトの定義に接頭語は追加されずに、現在の図面に合成されます。
この各コマンドの定義によると、[挿入]と[個別バインド]のどちらを選択するかは、外部参照の挿入時に、外部参照に含まれる画層またはオブジェクトの定義を、既存の図面ではなく外部参照に含めるか、それとも図面に組み込んで結合するかによって決まります。
AutoCAD 外部参照の機能:[個別バインド]と[挿入]の参考例
それではひとつ例を挙げましょう。下図には、外部参照(左側の平面図)があり、Text という名前の画層にオブジェクトがあります。外部参照内の Text 画層には赤色が割り当てられ、線の太さは 0.25 です。一方、現在の図面(右側の平面図)にも Text という名前の画層を含む平面図がありますが、この画層には黒色が割り当てられ、線の太さは既定値です。
現在の図面に外部参照を個別バインドまたは挿入([外部参照管理]で外部参照を右クリックして[バインド]を選択)する際には、下図のように[個別バインド]と[挿入]のいずれかを選択できます。
AutoCAD 外部参照の機能:[個別バインド]を選択した場合
外部参照の[個別バインド]を選択すると、各画層またはオブジェクトは blockname $n$ 形式の接頭語が付いた状態で現在の図面に追加され、統合先の図面に重複するものがあっても各オブジェクト(テキストなど)のプロパティが維持されます。下図の例のように、[個別バインド]を使用して外部参照を挿入した場合、自動的に新しい画層が図面に追加され、テキストは赤色のままになっています。
AutoCAD 外部参照の機能:[挿入]を選択した場合
次に、[個別バインド]ではなく[挿入]を選択した場合の結果を見てみましょう。この場合も、外部参照のすべてのオブジェクトが現在の図面に挿入されますが、現在の図面に既に存在するオブジェクト、画層、ブロックなどは既存のバージョンと結合されます。下図の例で、Text 画層は既に存在するため、外部参照のテキストがこの画層に追加され、テキストのプロパティは現在の図面のテキスト プロパティ、つまり黒色に変更されます。また、[個別バインド]オプションとは違って、重複した画層は追加されません。
解説は以上です。図面に外部参照を挿入する際の[個別バインド]と[挿入]オプションの違いや、使い分け方法を理解いただけましたか?
今後、図面に外部参照を挿入する際には、[個別バインド]と[挿入]オプションに関するこのヒントをぜひ思い出してください。
AutoCAD の関連リソース
Autodesk 製品のサポートとラーニング センター(AKN チュートリアル)
その他のリソース
さらに、AutoCAD の全機能やメリットの詳細は、オートデスクの製品ウェブページでご確認いただけます。トラブルシューティングや以前のソフトウェア バージョンの詳細については、Autodesk Knowledge Network を参照してください。また、ブログ シリーズ「Exploring the Features and Benefits of AutoCAD(英語)」にも、さまざまな解説が掲載されています。