アジア太平洋(APAC)地域では、インフラ投資が経済成長と発展の礎となっています。しかし、多くの国で建設分野の拡大が進む一方で、環境への影響に対する意識も高まっています。
大きな変革が必要です。当社の最新版のホワイト ペーパー「ネット ゼロの構築とグリーン コンストラクションにおけるデータの役割」で、APAC 地域全体の建設におけるサステナビリティの現況と今後に向けての解決策を調査しています。
APAC 地域では、世界の温室効果ガス(GHG)排出量の半分以上(53%)を占めており、2020 年には 183 億メートル トンの二酸化炭素(CO2)を排出しています。同地域の GHG 排出量のうち、製造分野が 17%、建設・建築分野が 4% を占めています。
建設が環境に及ぼす影響には、採掘や伐採による生態系の破壊、建材製造における汚染と高エネルギーの使用、地域の水路や植物への被害、重機による大気汚染、高い CO2 排出量、有毒化学物質の流出による汚染などが挙げられます。
そして、これらの影響を軽減する方法はあります。
グリーン コンストラクションとは、環境や地域社会に対する建築プロジェクトの影響を最小限に抑え、完成するプロジェクトは可能な限り環境に配慮したものにする、クリーンで持続可能な建設を指します。
グリーン コンストラクションには、次の要素が含まれます。
グリーン コンストラクションは、強力なテクノロジーとデジタルツールによって実現します。
より持続可能な建設業界の創造は、データから始まります。これまで、建築プロジェクトは、建築家、エンジニア、請負業者がそれぞれのサイロの中で活動し、繋がりがありませんでした。
その点、共通データ環境(CDE)のようなデジタル ソリューションは、すべての関係者がリアルタイムで安全にデータにアクセスし共有することを可能にし、プロジェクトに透明性をもたらし、何百万ものデータ ポイントを接続して活用します。また、データを共有することで、プロジェクトにおける生産性の向上、エラーの減少、手戻りの減少、コストの削減、廃棄物の減少が実現します。このような情報交換により、エネルギー効率の高い設計、廃棄物削減戦略、そしてなによりも持続可能な材料に関するより良い意思決定が促進されます。
同様に、建築環境におけるエンボディド カーボン総排出量を削減するためには、建築家、エンジニア、請負業者は、コスト、性能、気候への影響のバランスを考慮しながら、プロジェクトで使用する材料について十分な情報を得た上で決定する必要があるといえます。
建築物のオペレーショナル カーボンとエンボディド カーボンを区別することは重要です。この 2 種類の排出は、影響の規模が異なり、設計から耐用年数の終了まで、アセットのライフサイクルに沿って異なる時期に発生するからです。
オペレーショナル カーボンは、エネルギー効率の高いビル システムや再生可能エネルギーへの取り組みなど、あらゆる対策を実施することでその排出量を軽減することができます。一方、建設資材に含まれるエンボディド カーボンの影響は、建設後、元に戻すことはできません。いったん建物が建てられ、材料が使用されてしまうと、その材料の調達から生じるマイナスの結果は覆すことはできないのです。
Autodesk Construction Cloud(ACC)ユーザは、Embodied Carbon in Construction Calculator(EC3)の統合により、カーボンスマートな材料を選択できるようになりました。EC3 は、Building Transparency がオートデスクを含む 50 社近い業界パートナーの意見を取り入れて作成した無料のクラウドベースのツールです。
EC3 ツールは、環境製品宣言書(EPD)からデータを取得し、エンボディド カーボンの影響を評価し、使いやすく、活用しやすい方法で表示します。ユーザは、プロジェクトに用いられる材料のエンボディド カーボンの影響を確認し、最も炭素影響の少ない材料を選択し、調達することができます。
今こそ変革の時です。建設はグリーン コンストラクションへ移行しており確かな建設技術とデジタル ツールが成長、進化し続ければ、グリーン コンストラクションも変貌を遂げ、成功を収めるでしょう。