ARCADIS 社
ARCADIS 社
雨水排水・洪水
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Arcadis 社は、雨水排水管理の専門技術で世界的に知られている設計/エンジニアリング/管理分野のコンサルティング会社です。同社は、集水域の水理モデルを活用して、異常気象による洪水のリスクを全体的に評価し、長期的なレジリエンス強化を目指す取り組みをサポートする仕事を依頼されました。同社は、このプロジェクトの複雑さと規模の大きさから、降雨、高潮、越波をすべて同時に評価できるモデリング テクノロジーが必要と判断しました。
200 年に 1 度の洪水深度
都市部では、異常気象に備えた計画の難易度がさらに高くなります。Arcadis 社が主導したこのプロジェクトにおける重要な課題の 1 つは、香港の独特な都市景観をモデル化することでした。香港には大規模な歩道橋、高架道路、急な斜面など、地形図や衛星画像ではなかなか捉えることの難しい空間形状が存在します。さらに、都市開発計画は、複数の工事が同時進行するなど、非常にダイナミックなものとなります。デジタル地形モデルには、建設予定地や建設中の現場に関する情報が非常に詳細に組み込まれています。モデルがどこか欠落していると、非現実的な洪水予測につながる可能性があります。
モデリング チームはこうした課題を克服するために、創造力を発揮し、さまざまなソースからデジタル データを取り入れ、必要に応じて現地調査を行い、検証する必要がありました。そしてチームは、道路の縁石や建物の敷居などの複雑な都市形状までを、原寸大で再現することができました。このとき、一般的な GIS フォーマットに対応し、シームレスに統合できる InfoWorks ICM のメッシュ ゾーンとメッシュ レベル ゾーンを多用することで、予測の信頼性を確保しました。
今後 200 年の洪水深度の変化
同社は最終的に、香港全域をカバーする高水準なスクリーニング モデルを完成させることができました。さらにその後、ネットワーク結果の線分、点、ポリゴンを使って、大量輸送鉄道(MTR) の駅や停車場などの構内における 300 点以上のリスクを評価しました。また、主要な駅をさらに詳細にモデル化し、縁石、壁、建物などの都市の特徴をより正確に定義しました。
また、InfoWorks ICM の主題図スタイルを使用して、気候変動の影響を視覚的に表現しました。ここでは特に、香港の広い範囲にわたる洪水の程度や駅入口への浸水の可能性を明らかにしました。このモデルから、気候変動を考慮しつつ、洪水のリスク(2020 年と 2081/21 年の設計水平線)を算出しました。また、駅へのアクセス ポイントにおける洪水の量と深さを特定し、段階的なリスク対応と保護計画の準備に役立てました。こうして現在から未来にわたる長期的な投資目標を設定し、洪水リスクに直面しても公共施設の安全性を確保することが可能になりました。
「InfoWorks ICM では、越流を組み込むための 2 次元境界条件など、排水システムや地形のあらゆる要素を簡単かつ効果的に統合できます」
— Arcadis 社 都市排水プリンシパル スペシャリスト/Simon Ainley 氏
Arcadis 社は InfoWorks ICM を使用することで、複数のスケールや粒度で効率的にリスクをトップダウン評価し、リスクの比較やメカニズムを実践的に理解することができました。「InfoWorks ICM では、越流を組み込むための 2 次元境界条件など、排水システムや地形のあらゆる要素を簡単かつ効果的に統合できます」と、Arcadis 社 都市排水プリンシパル スペシャリストの Simon Ainley 氏は言います。
また、沿岸や降雨の影響も、すべて単一のモデリング環境に組み込むことができました。こうしたすべての成果に支えられて、香港 MTR は、経済成長と気候変動対策という両方のプレッシャーに立ち向かい、堅牢かつ達成可能な長期投資戦略を策定することができたのです。
アイデアやインサイトについては、「One Water blog」を参照してください。