CHONGQING ARCHITECTURAL DESIGN INSTITUTE OF CHINA (CQADI)
CHONGQING ARCHITECTURAL DESIGN INSTITUTE OF CHINA (CQADI)
土木エンジニアリング
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中国重慶市の大規模な再建プロジェクトにおける重要なポイントは、市内を縦断する 3 本の高速道路です。
プロジェクトの目標は、中国都市部の過密状態を緩和するともに、重慶と上海、またはその他の主要都市との間の交通を改善することです。この改修プロジェクトの一部として、五台山インターチェンジのプロジェクトも含まれています。全長 2.94 キロメートルにわたる、総工費 2 億 290 万ドルの大規模なプロジェクトである上、設計期間はタイトで、複雑なエンジニアリングが要求されます。Chongqing Architectural Design Institute of China は、BIM とオートデスクのテクノロジーを活用することで、こういった課題を克服しました。同社がこのプロジェクトでどのように包括的なインフラ設計を作成し、実現したかを以下にご紹介します。
既存の高速道路の改修工事には、複雑な作業が膨大に含まれます。五台山インターチェンジの改修プロジェクトは、次のようにさまざまな作業で構成されていました。
これだけでも困難ですが、プロジェクトのプランナーはさらにエンジニアリング面のさまざまな制約にも直面しました。高速道路は密集した都市圏を横断するため、チームは土地利用に関するさまざまな事項を考慮しながら慎重に管理する必要がありました。幹線道路プロジェクトでは、複雑な山の地形に対応する必要もありました。
この 3 層の幹線道路には、橋梁や地下道、そしてさまざまな要素が重なり合う重複構造が含まれます。そのため、各分野のエンジニアリング作業が相互依存していることが、プロジェクトにおける課題でした。
また、日照、騒音、汚染などの厳格な環境基準に準拠する必要もあります。さらに、既存の交通への影響を最小限に抑える必要もありました。
「プロジェクトの関係者全員が、複数地域のデータを表示し、インタラクティブに更新できる環境が必要でした」と、Chongqing Architectural Design Institute of China 社の土木エンジニアである Hao Fu 氏は言います。「さまざまに異なる専門分野の間で調整することが困難だったため、この課題を解決する必要がありました」
そして同社は、このような課題に対応するため、パワフルなBIMソリューションを構築しました。
華西川合流点にある橋の拡幅
インフラ プロジェクトを実世界からデジタル世界へ移行するためには、いくつかの操作を行う必要がありました。同社はまず、正確な 3D モデルを作成しました。そのために、チームはドローンのチルト機能で全体写真を撮影し、Autodesk ReCap にアップロードしました。このリアルタイムの 3D モデルを活用して、さまざまなモデル代替案の調査・比較を行いました。Civil 3D は、敷地、ルートの位置合わせ、道路の路床の設計をサポートする機能も搭載しています。BIM 専門家は、Civil 3D モデルから取得したデータを Revit に書き出し、橋梁や地下通路の構造設計に関する懸念事項の検討に活用しました。また、Civil 3D で生成されたルート設計案の空間座標データを使用して、橋梁の上部構造を作成しました。インフラ用の空間は狭くて制約があったため、プロセスの各段階で高い精度が求められました。
“数多くの特殊な構造があり、パイプラインは複雑に交差しているため、エンジニアは絶対的な精度をもって設計と解析を最適化する必要がありました”
— Chongqing Architectural Design Institute of China 土木エンジニア/Hao Fu 氏
その精度を実現するために、プロジェクトのプランナーはオートデスクのソリューションを利用しました。 複数のソフトウェアを組み合わせて使用することで、エンジニアリングの複雑な問題を解決できました。
このインフラ プロジェクトは、厳しい環境影響基準に準拠する必要がありました。しかし重慶という高密度な都市環境が、この課題の難易度をさらに上げていました。
チームはすべてのモデルを Infraworks に読み込み、日照、騒音、汚染、交通量の変化についてシミュレーションを実施しました。このように What-if モデリングを行いながら、新しいインフラのパラメーターが厳格な環境規制に準拠することを確認しました。
設計者はプロジェクト全体を通じて、精細な BIM 機能でプロジェクトをさらに深く掘り下げ、効率を高めることができました。たとえば、Civil 3D における土石量と盛土の見積もり機能を使用して資材の輸送コストを推定し、周辺環境の破壊を最小限に抑えることができました。
恒生大通りのインターチェンジ分岐点
“従来の手書きの統計リストの代わりに、Revit で作成した構造エンジニアリング数量リストを使用するようになったことで、資材管理の精度が向上しました”
— Chongqing Architectural Design Institute of China 土木エンジニア/Hao Fu 氏
高速道路の改修プロジェクトには、橋梁やトンネル、交通、排水、景観、照明などさまざまなエンジニアリング分野の専門チームが関与しました。プロジェクト チームは BIM 360 クラウドを介して、あらゆるデータや関係者からの情報を収集しました。すべてのデータを単一のモデルに集約することで、各政府機関によるプロジェクトのレビューも円滑に進みました。
“プロジェクト関係者は、BIM 360 でホストされたデータをレビューします。
このワークフローによって情報伝達の効率が大幅に高まり、プロジェクトの進行が加速したほか、設計変更が減り、承認プロセスが迅速化しました”
— Chongqing Architectural Design Institute of China 土木エンジニア/Hao Fu 氏
プロジェクトの最終段階で、プランナーは Navisworks における BIM の適用範囲を拡大しました。また、干渉チェックによって橋梁や高架橋が適切な高さになっているか確認しました。チームはさらに、バーチャル リアリティを使用してさまざまなシナリオに没入体験し、プロジェクトの最終的な成果を検討しました。景観に関するさまざまな設計案を検討したり、日照条件が運転の安全性にどのような影響を与えるかを評価したりする際にも、BIM が役立ちました。
红石大通りのインターチェンジ分岐点
Chonqing Architectural Design Institute of China 社は、3D BIM と従来の設計プロセスを統合することで、期限内および予算内にプロジェクトの目標を達成しました。また、プロジェクトにおける計画と周辺の地形との間の空間的な関係性も詳細に定義できました。
プロジェクトのプランナーは、設計の潜在的な問題を事前に特定して修正し、コストを節約できました。たとえばプロジェクト初期の設計では、ピア 1 恒生インターチェンジで構造物が公差していたのですが、この誤りは見落とされていました。チームは BIM のビジュアル モデリングと解析を行い、橋脚と地上の通路を連結しました。その結果、新しい設計仕様を満たすことができました。
重慶市の交通状況を改善するための五台山インターチェンジ プロジェクトは順調に進み、設計、計画、分析はシームレスに進められています。このインフラ プロジェクトは、AEC 2019 Excellence Awardsのファイナリストに選出されました。
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