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同社設計課の今井将司氏は、もともと専門学校の CAD 科で Autodesk® AutoCAD® などを学んできた。前職では電子部品の設計などに携わってきたが、5 年前、生まれ故郷への U ターンとともにハウテックへ入社、設計課へと配属され、Autodesk AutoCAD LT を業務で使用することとなった。
同社ではスタンダードな製品群である「標準設定品」と「特注品」の 2 種類を製造・販売している。「特注品」というのは、標準設定品をベースにしながら細かなサイズ変更などが必要となるもので、それぞれに図面を要するものを指す。
今井氏が所属する設計課では、その「特注品」の新規図面をざっと月に 3,000 枚ほど作成している。これを現在担当しているのは、12 名のスタッフ。単純計算すると、一人あたり毎月 250 枚の図面を作成していることとなる。この図面作成には基本的に AutoCAD LT を使用しているが、特にオーダーの多いものや、極端に納期が短いもの、そして複雑で作成するのに時間がかかると想定される図面については、新たに 3 年前から Inventor を導入して対応することで目に見えて大きな成果をあげている。
「iLogic を使っていなかった時代は図面に 1 日ほど時間をかけていたところ、iLogic を使うようになってからは 2~3 時間で完成させることが可能となりました。このおかげで、全体の約 20 パーセントの工数削減を実現することができました。
極端に納期が短いものは、“iLogic”なしでは成り立ちません」
同社の Inventor の活用で欠かせないのは、自動設計ツールである「iLogic」だ。Inventor 導入時に、オートデスク製品の販売代理店であるオービック側で実際のハウテックでのモデルを元にしたテンプレートデータを用意し「iLogic」で活用できるようにした上で、実際にそれを使った実践的なトレーニングを丸 2 日間、導入支援という形で行った。オービックでは導入支援を行う際、長期的にお客様のお役に立つことを第一と考え、導入後にお客様が自立してシステムを活用できるトレーニングを行っているのだという。
「私自身は専門学校時代から図面よりも実物のイメージがしやすい 3D CAD に魅力を感じていたため、導入後も無理なく活用できています。オービックさんがテンプレートをご用意してくださったので、それを応用する形でどんどん対応する製品を増やしていくことができました」
Inventor 導入当初は主力製品である住宅用ドアの図面作成に主に活用していたが、現在ではシステム収納も「iLogic」の自動設計機能を活用し、設計を行っているという。「極端に納期が短いものについては、“iLogic”なしでは成り立たない」と語る。
「極端に納期が短い場合、オーダーを受け付けてから 3~4 日で先方に納品しなくてはいけない場合もあります。そういったスケジュールに対応するためには、部材の手配や図面の作成に時間をかけるよりも、できるだけ製造現場で時間がとれるようにと心がけています。iLogic を使っていなかった時代は図面に1日ほど時間をかけていたところ、iLogic を使うようになってからは 2~3 時間で完成させることが可能となりました。このおかげで、全体の約 20 パーセントの工数削減を実現することができました」
もうひとつ大きなメリットとして、今井氏が挙げるのは、図面の人為的なミスがゼロになったということだ。
「どれだけ簡単な業務でも人間が考えて作業をするということは、間違った作業をする可能性があるということだと思います。それが
Inventorを利用することで、リスクをかなり軽減できていると感じています。弊社では、これまでに Inventor を使って作成した図面ミスはゼロなんです。これは驚くべきことで、社内でも高い評価を得ることができました」
同社の業務効率化については、他の取り組みでも成果をあげている。以前はお客様と営業部員が紙でやり取りをして内容を決定し、それが設計部署へと届き、その記載内容を読み取って把握しながら、AutoCAD LT で初めて図面を作成するという業務の流れだったが、現在は営業部にも AutoCAD LT を導入し、営業部員が直接データを作成してお客様とのやりとりを行うようになったという。ハウテック社内では、その図面を「営業図」と呼び、それをたたき台として実際の製造用の図面を作成することでお客様とのやりとりのレスポンスの速さを実現することができた。今では営業部に新人が入社した際は、今井氏らがトレーニングを行っている。
社員のスキルが向上することで、会社全体の効率化へと直結するという好循環をもとに、さらなる発展を目指すハウテック。今後は Inventor の iLogic 機能による設計の自動化を、より活用できる体制を社内で整えたいという話もでている。Inventor を使用できるスタッフも増やし、BIM にも積極的に対応できるようになっていきたい、と今井氏は語ってくれた。