MAX FORDHAM
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CUSTOMER SUCCESS STORY
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Max Fordham 社は、英国を拠点とするエンジニアリング企業です。設計・施工のプロジェクト デリバリーを 2D から 3D へと移行するために、2D の AutoCAD から Revit へとツールを移行し、オープン API を活用して Revit のプラットフォーム機能を拡張し、自社のビジネスに合わせてプロジェクト ワークフローを統合・構築しました。同社のチームが開発したこのツールによって、約 14,000 時間の労働時間を削減し、推定 25 万~ 30 万ポンドの人件費を節約することができました。さらに全社的に Revit のライブラリやプロジェクト テンプレート、Revit 規格・標準などの開発に取り組んだ結果、2015 年に Revit に移行して以来、エンジニア 1 人当り 23% も生産性が向上するという素晴らしい成果が得られました。
アイルランド、グランジゴーマンのアカデミック ハブ & ライブラリ。写真提供:O'Donnell + Tuomey、ZOA 3D
Max Fordham 社は、英国内に 5 つのオフィスを構え、175 人のエンジニアと 220 人以上の従業員を擁するエンジニアリング企業です。同社のエンジニアは、注目度の高い建物をはじめ、あらゆる分野にわたるさまざまなプロジェクトに携わっています。1966 年の創業当初は、鉛筆、ペン、紙、製図板を使って手作業で設備システムを設計していました。その後 1980 年代にパーソナル コンピューターが登場し、同社は AutoCAD の CAD (コンピューター支援設計)へと移行しました。
そして同社は 6 年前、プロセスのデジタル化を目指して、AutoCAD ベースの 2D 設計から Revit を使用した 3D プロジェクト デリバリーへと完全に移行することを決定しました。そして現在では、英国の BIM(ビルディング インフォメーション モデリング)標準に準拠した設計プロセスや、3D モデルを活用したデリバリ―をクライアントから要求されることがますます増えています。
キステフォス博物館の「The Twist」ギャラリー。写真提供:Laurian Ghinitoiu
現在同社は Revit を使用して、常時約 200 件のプロジェクトを進行しています。「Revit のコンテンツとツールのおかげで 3D プロジェクトの生産性が向上しました」と、Max Fordham 社デジタル デザイン リードの Kathryn Donald 氏は話します。「(ツールの)トレーニングや開発に大きく投資した結果、プロジェクトの効率と収益が改善し始めました。従来の 2D CAD プロジェクトから Revit のプロジェクト デリバリーへと移行を進めるにしたがって、今後さらなる向上が見られるでしょう」
3D への移行は、他にも新たなメリットをもたらしています。たとえば調整能力の向上や、さらに緻密なディテールの実現、コンセプトから施工、建物資産までの情報が完全に調整されたプロジェクト デリバリーの実現などです。
Max Fordham 社のデジタル デザイン チームは、一貫した高品質な成果を実現するとともに、エンジニアの作業をもっと楽にするために、Revit のオープン プラットフォームを活用して新しいテンプレート、ライブラリ、その他のツールを開発し、ワークフローをさらに統合しました。
新しいエンジニアリング プロジェクトはすべて、Revit のプロジェクト テンプレートを使用して設定されます。このテンプレートには設計の作成に必要な論理ビューや要素が備わっています。最もよく使用される設備システムはテンプレートにあらかじめ組み込まれているため、エンジニアは簡単に作業を開始できます。
ビューは、現在作業中のシステムのみがカラー表示され、その他すべてのシステムはグレーアウト表示されることで、干渉の回避に役立ちます。100 を超えるビュー テンプレートは厳格な命名規約に従っており、すぐに見つけて使用できます。
Max Fordham 社が Revit のカスタム ツールやライブラリを開発し、特定のワークフローや課題の解決に取り組む中で、オートデスクの推進するオープン プラットフォームと相互運用性が役立ちました。
「Revit のコンテンツとツールのおかげで、3D プロジェクト デリバリーの生産性が向上しました」
— Max Fordham 社 デジタル デザイン リード/Kathryn Donald 氏
「The Twist」のイメージ。画像提供:Laurian Ghinitoiu/BIG
BIM への移行によって、設計ソリューションの最適化や、クライアントのニーズ
を常に満たすことができる環境の構築が実現しました。
効率的な設計レビュー ワークフローによって、関係者全員にとってのプロジェクトの透明性が確保され、明確な監査証跡が可能になりました。このように顧客要件や設計上の要件を満たすことで、プロジェクトのリスクを軽減できます。Max Fordham 社のエンジニアは日常的に、世界中の建築設計者たちと共に協力しながら複雑なプロジェクトに取り組んでいます。最近携わったプロジェクトのひとつに、建築設計事務所の BIG と連携して手がけた、キステフォス博物館の新しい国際現代美術館「The Twist」の設計がありました。
Twist の設備システム。写真提供: Max Fordham 社
建物はねじれたような複雑な外形で、美術品を展示するための照明要件も満たす必要があります。そこでプロジェクト チームには、昼光モデリング、パラメトリック モデリング、数値流体力学モデリング、デジタル コラボレーションなどの大量のツールが必要になりました。チームは Autodesk Revit を使用して、さまざまな作業の中でも特に、建築設備用経路の検証を行いました。
「意匠設計や構造設計の複雑な特性上、設備用エリアを適切に設計するには 3D モデリングが不可欠でした」と、Donald 氏は話します。「建物全体に設備を配置するにあたり、他の設計チーム メンバーと緊密な調整を何度も行いました。構造フレームや屋内外の仕上げの形状が複雑なので、この調整は 2D では不可能でした。3D で作業することで、1 つのモデルから簡単に、平面図や立面図などの設計図面を生成できたほか、設備システムの複雑な調整内容を明確に示す 3D イメージを作成できました」
「Revit によって作業を標準化し、整合性を高めることができました」と、Donald 氏は続けます。「そのおかげで複雑なプロジェクトが管理しやすくなり、効率的になりました」
Revit は、同社のさまざまな場所に保存されていたさまざまな情報の間の不整合を解消する上でも役立ちました。たとえば製品仕様の集計表については、モデル上のデータが集計表のデータと直接接続し、単一の情報源を構築しています。
また干渉を早期回避することも可能になり、プロジェクト後半に問題が発覚してコストのかかる修正を余儀なくされるようなこともなくなりました。エンジニアは社内向けにカスタマイズした Revit の干渉検出ツールを使用することで、干渉部分に注意しながら設計から施工までの作業を進めることができるようになりました。「最終入札用の図面の質もかなり上がりました」と、Donald 氏は話します。
「新しいツールやテンプレートを利用することで、製図における繰り返し作業や図面管理の手間が減り、エンジニアが本来のエンジニアリング業務に集中できるようになったからです」
— Max Fordham 社 シニア パートナー/Mark Palmer 氏
Leigh プロジェクト。写真提供:Jack Carter Architects
こうした開発への投資によって、企業文化も強化されました。「いまだに 2D で設計作業しているプロジェクトを含め、現場全体に 3D モデリングを導入することを望む声が、ますます高まっています」と Donald 氏は話します。
3D モデリングを導入すれば、エンジニアは迅速かつ簡単に作業を進めながら高品質な設計を生み出せるようになるため、作業上のストレスも軽減されます。これは人材維持の面でもメリットとなります。
「エンジニアには、クリエイティブな設計の作成や設備設計エンジニアリング、問題解決などに時間をかけてほしいと当社は考えています。新しいツールやテンプレートを利用することで、製図における繰り返し作業や図面管理の手間が減り、エンジニアが本来の専門分野に集中できるようになりました」と、Max Fordham 社のシニア パートナーを務める Mark Palmer 氏は話します。「Revit のツールによって単純作業を削減し、クライアントへの納品物の質を高め、エンジニアの業務を改善することができたのです」
Max Fordham 社は今後さらにデータを活用し、効率化を進めていくことを考えています。「私たちは最近、構造化データの照合を始めました。収集したデータを活用して将来的な設計上の意思決定に役立てたり、サブコンからの提出物の技術レビューなどのプロセスを自動化したりする方法を調査しているところです」と Donald 氏は話します。Max Fordham 社は、Revit の強力な機能とオープン プラットフォームが、将来に向けた目標達成に役立つことを確信しています。