Nestlé
Nestlé
Customer story
このページをシェアする
Nestlé S.A. は、スイスのヴォー州ヴェヴェーに本社を置く、食品・飲料加工の多国籍コングロマリット企業です。世界最大の食品会社として、ベビー フード、ボトル ウォーター、朝食用シリアル、菓子類、ペット フード、スナックなどの製品を扱っています。Nespresso、Nescafé、Kit Kat、Smarties、Nesquik、Stouffer's、Vittel、Maggi など、Nestle 社の 29 のブランドの年間売上高は 10 億ユーロ近くになります。
Nestlé 社は世界 189 ヵ国に 447 の工場を展開し、約 33 万 9 千人の従業員を擁しています。Nestlé 社のポートフォリオ ブランドの一つに、イタリアの天然ミネラル ウォーター ブランド Sanpellegrino があります。2018 年に同社は、Acqua Panna に約 7,000 万ユーロを投じて、Nestlé グループの高級無発泡ウォーター ブランドとして世界展開することを発表しました。3 年かけて、イタリアのスカルペリアとサンピエトロの生産拠点を再構築し、生産量と効率を向上させるというプロジェクトです。
プロジェクトでは、2021 年末の完成を目指し、2019 年初頭から生産ラインの改修に入りました。 工場と敷地の設計変更も含む意欲的なプロジェクトです。設計変更の基本計画の主眼は、生産効率の向上、製品供給能力の拡大、物流フローの改善です。
Nestlé 社にとって、工場物流改善プロジェクトの主な目的の 1 つは、モジュール式物流オフィスの建設です。これには、新しい工場ゲート、歩行者専用通路、関連道路の改修、古い物流オフィスの取り壊しも含まれています。Acqua Panna プロジェクト チームにとって、2020 年 12 月に現地工事を開始し、2021 年 6 月に完成させるという工期は厳しいものでした。2020 年から 2021 年にかけて世界的に流行した新型コロナウイルスに伴う制約にも対応しながら、6 ヵ月間で建設プロジェクトを予算内で遂行しなければなりません。
Acqua Panna のプロジェクト チームには、明確な使命が課されていました。それは、現場での問題を減らし、手戻りを最小限に抑え、期日の延長を制限し、プロジェクトのコスト増を抑えつつ、品質、安全性、プロジェクトの調整、タスクの割り当てでは絶対に妥協しないということです。チームは、プロジェクトの調整と管理を改善し、決められた工期と予算で、何としてでもプロジェクトを成功させる必要がありました。
Nestlé 社の E2E プロジェクト マネージャー Wojciech Pawlowski 氏とプロジェクト エンジニアリング マネージャー Jesús Ríos 氏にとって、プロジェクトに必要な作業と成果を予測できるよう、プロジェクトの管理と監督を強化することは、プロジェクト立ち上げ当初から優先的に取り組むべき領域でした。「納期短縮には、施工性の問題や手戻りの削減、作業の適切な割り当てによる現場作業員の管理改善、プロジェクト メンバー間のコミュニケーション改善など、効率化が必要な部分が数多くあります。私たちは施工前の段階で、それを洗い出しました」と、Jesús Ríos 氏は述べています。「テクノロジーを用いると、プロジェクト ドキュメントの管理手法の改善、共通のデータ環境の構築、デジタル ワークフローの活用を通じて、効率化の目標をすべて達成できることを知っていたからです」
Acqua Panna プロジェクト チームは、まず Autodesk Construction Cloud の BIM 360 Build プラットフォームを導入して、プロジェクトのコラボレーションを改善しました。このソリューションは、現場施工とプロジェクト管理のための建設管理ソフトウェアであり、チームがシームレスに連携して、建設プロジェクトを期日どおりに予算内で遂行できるようにします。Autodesk Docs はこのプラットフォームの不可欠な要素であり、チーム全体でドキュメントを管理・コントロールできるクラウドベースの共通データ環境を提供します。
「チームが迅速かつ効果的に連携して、ツールを使用できるようにする必要がありました。 それには、ソリューションに詳しくなるためのトレーニングを関係者に提供し、このテクノロジーを、プロジェクト管理のプロセス全体にどのように組み込めばベストかを理解してもらうことが重要でした。オートデスクのカスタマー サクセス チームの協力を得て、短期間でこれを実現できたことは、プロジェクト チームにとって非常に有益でした」と、Jesús Ríos 氏は語っています。
成功に向けて、Acqua Panna チームは BIM 360 Build と Autodesk Docs を組み合わせ、プロジェクト遂行プロセスに組み込みました。さらに、問題管理、エンジニアリング設計レビュー、現場の施工問題の管理に関しては、デジタル ワークフローを構築しました。Ríos 氏は次のように述べています。「ツールは非常に直感的でありながら、未解決の問題を明確にできます。ツール導入で最初のステップをサポートしたことがとても重要でした。プロジェクト チームは、ビルディング インフォメーション モデリング(BIM)のエキスパートから、このテクノロジーの最適な導入方法について貴重なアドバイスを得ることができました」
プロジェクトは成果という点で、Aqua Panna プロジェクト チームの期待や目標を上回ったと言えるでしょう。Ríos 氏はこう振り返ります。「BIM 360 Build のおかげで、当社は目標を達成できました。プロジェクトを適切に管理できただけでなく、現場のリソースの最適な配置、問題の最小化、手戻りの低減のための価値あるインサイトを得ることができました」 プロジェクト チームのメンバー間のコミュニケーションとコラボレーションが向上したのは、プロジェクトの関係者全員が、いつでも、どこからでも、必要なときに必要なドキュメントにアクセスできたからです。「Autodesk ConstructionCloud を使用したことで、関連するすべての部署と管理チームの間の透明性が向上しました。プロジェクト データは常に最新で、1 つのシステムに保存されるため、電子メールでのやり取りが減り、結果として作業時間を短縮できました」と、Ríos 氏は述べています。
全体的に見ると、Aqua Panna の工場プロジェクトでは、プロジェクトの立ち上げで 40%、プロジェクト管理で 25% の時間を短縮できました。また、立ち上げ前の段階で問題を 60% 低減できました。テクノロジーにより、現場での施工に着手した時点で干渉などの問題が事前に検出されているため、結果として、問題の処理やドキュメントの作成に従来かかっていた時間を 75% 短縮できました。プロジェクトの重要なマイルストーンに集中するための貴重な時間を節約できただけでなく、サステナビリティの目標も達成できました。デジタル ワークフローを採用したことで、チームは印刷による出力を 50% 削減しました。これは、2030 年までにネットゼロを達成するというチームの目標に沿っています。プロジェクトの遂行中に発生する問題、手戻り、廃棄物を減らせただけでなく、Nestlé 社とコミュニティにとっても、将来にわたってよりサステナブルな工場を建設することができたのです。
「将来的には、Nestlé 社の他の用地活用プロジェクトにも Autodesk Construction Cloud ソリューションを使用したいです。まずは Sanpellegrino の工場プロジェクトに BIM 360 Build を導入し、プロジェクトの生産性向上、社内外とのシームレスなコラボレーションに役立てる予定です」と、Ríos 氏は語っています。
ブランド ポートフォリオの拡大に伴い、必要な業務も広がりつつある Nestlé 社では、地所ポートフォリオに関しても、クラウドベースのソリューションで、品質に妥協することなく、より良い成果を生み出すことが重要です。