NOV FIBER GLASS SYSTEMS
NOV FIBER GLASS SYSTEMS
Vault for PowerMillを活用した
コネクテッドデザインと製造により、
グラスファイバー・インフラを変革
CUSTOMER STORY
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非効率的なアナログ ワークフロー、頻繁に行われる顧客の設計変更、バージョン管理の問題、信頼できる一元的な情報バージョンの欠如、プロジェクトごとに一人のオペレータしか許可されない、クライアントが指定した期限は来週。そんな経験はありませんか?これらは、多くの優れたエンジニアリング企業が実際に直面している問題であり、2D 図面を電子メールで受け渡す分断された環境では解決できません。NOV Fiber Glass Systems 社は、オートデスクの高度なツールを使用することでこれらの制約から解放され、デジタル トランスフォーメーションの取り組みを加速させています。
NOV FGS 社は、スタンデッジ(英国)にあるこのグラスファイバーでできた水道橋のような大規模設備を専門としています
シームレスで正確なワークフロー
すべての企業に共通の課題
時には、優秀で高度なスキルを持つ人材と最高の設備を備えた一流の企業でも、ワークフローが設計や製造の品質と釣り合わないため、顧客への納品自体は平凡なものになってしまうことがあります。企業がその潜在能力を発揮しようとするのなら、この問題を解決しなければなりません。
その解決に成功したのが、海洋、海上、石油およびガス、建設業界向けに複雑なグラスファイバーと熱可塑性構造物を製造している NOV Fiber Glass Systems (NOV FGS) 社です。
デボン歩道橋は 1 年以内に設計、製造、設置されました。
英国プリマスに本社を置く同社は、パーツや結合箇所の数が多く、非常に複雑な油田採掘機の歩道など、精巧な海洋および土木構造物を設計・製造しています。繊維強化複合材料および熱可塑性樹脂で配管および構造物を製造すると、製品は軽量化され、塩水腐食に対する耐性が高くなります。これらの巨大な構造物は、設計の複雑さを軽減するために、モジュール ゾーンとフィーチャに分割されます。設計エンジニアは、製造チームがより早く作業を開始できるように、上部構造をセクションごとに作成します。
しかし、NOV FGS 社の古い作業体制ではワークフローが頻繁に中断され、潜在的な生産性が制限されていました。彼らは、上部のワークフローが非効率であるなど、さまざまな問題に直面していました。
「Autodesk Vault を Inventor および PowerMill と併用することで、通常のプロジェクト リード タイムに大きなインパクトを与えることができました。かつては 3~5 日かかった作業が 20分足らずで終わるようになりました」
—NOV FGS 社、デジタル デザイン マネージャー、Ben Holmes 氏
複数のグラスファイバー コンポーネントは、PowerMill でプログラミングされた 5 軸 CNC 加工を使用して製造されました。
多くの場合、製品は非常に短期間で必要になります。大規模な複数コンポーネント構造の場合、わずか 2 ~ 3 週間で必要になることもあります。設計は定期的かつ頻繁に変更されます。設計チームと製造チームがシームレスに連携していなかったため、顧客の変更管理は困難でした。アナログ 2D 図面は、多くの場合電子メールでできるだけ早く現場に送信されていましたが、設計変更が行われた場合、古い設計の CAM 経路の入力を開始していた製造部門がその変更を必ずしも把握できるとは限りませんでした。
設計ソフトウェアと製造ソフトウェア(この場合は、Autodesk Inventor から CAM ソフトウェアまで)を結合し、同時に切断パスを最適化して材料の無駄を減らすことのできるスマートなテクノロジーはありませんでした。製造チームは、製品が 100% 承認されるまで作業を開始できませんでした。プロジェクトの後半になってようやく、低忠実度の設計を使って治具の設計と切削工具の選択を開始できました。
その結果、大幅な遅延と長いリード タイムが発生し、完成間際での設計変更がさらに追い打ちをかけました。ワークフローが長いため、設計チームは 7 人で構成されましたが、エンジニアリング IT が目的に合っていれば、より少ない人数で十分だったはずです。同社の IT は限界に達し、ソフトウェアを起動して中央リポジトリのファイルを開き、保存するまで最大 40 分かかることもよくありました。
これほど大きな部品を扱うため、NOV FGS 社のチームは独自の 5 軸 CNC マシンを構築する必要がありました。これは英国で最大規模のマシンの 1 つです。
NOV FGS 社では、このような巨大な部品を製造しているため、ツイン カッティング ヘッドと 30m x 6m x 2.1m の巨大なテーブルを備えた独自の 5 軸 CNC マシンを構築する必要がありました。このような独自のマシンでは、CAM ソフトウェアが安全で衝突のない NC コードを生成することが不可欠でした。
NOV FGS 社は高度にエンジニアリングされた製品を製造していますが、顧客へのサービス品質を強化するために KPI を改善する必要があること、そして現在と将来のニーズを認識していました。
NOV FGS 社のエンジニアは、Inventor、Vault、PowerMill、および「Vault for PowerMill」など、複数のオートデスク製品を使用しています。
2015 年、米国の石油・ガスエンジニアリング多国籍企業 NOV Inc. が、家族経営の Pipex Ltd. を買収しました。KPI の改善が最優先事項であった同社は、ワークフローを円滑にし、部門を結び付け、製造プロセスの全体像を把握できるように特別に設計された、高度なオートデスク製品スイートに投資しました。NOV FGS 社のワークフローとデータ精度は改善され、製造部門が設計部門と同時に自由に作業できるようになり、変革が生まれました。
このプロセスは、顧客が NOV FGS 社に概要を説明した時点から始まります。設計チームは、Autodesk Inventor を使用して、さまざまなコンポーネントの概要など、いわゆる低忠実度の設計を作成します。これらの基本設計は、Autodesk Vault に保存されます。これはワークフローの合理化に役立つ製品データ管理(PDM)ソフトウェアです。Vault により、製造、管理、設計チームなど、会社内のすべての関係者が一元化され整理されたデータ ソースから作業できるため、共同作業、エラーの削減、時間の節約が可能になります。
「他の CAM ソフトウェア製品も検討しましたが、Autodesk PowerMill 以外に、加工するモデルのサイズと複雑さに対応できる製品はありませんでした。他の製品では失敗したりクラッシュが起きていました」
—NOV FGS 社、デジタル デザイン マネージャー、Ben Holmes 氏
PowerMill 内で自動化を広範にわたって使用することで、CAM プログラミング時間を短縮し、エラーが減り、一貫性が向上します。
製造チームは Autodesk PowerMill と新しいツール Vault for PowerMill を使用しており、製造エンジニアは CAM プロジェクトを Vault に取り込んで、Inventor の低忠実度モデルと PowerMill 間でトレーサビリティと関係を確立できます。自動化と手動プロセスの組み合わせを使用して、NOV FGS 社のエンジニアリング チームは、CNC マシン ベッドにパーツをネストし、材料を最大限まで使用して、以前は当たり前だった材料の無駄を最小限に抑えることができます。
PowerMill は、CNC マシンのデジタル ツインを使用して加工プロセス全体を定義し、作業開始前に加工をシミュレーションするために使用されます。同時に、設計部門は Inventor を使用して設計を調整し、最新の顧客の変更を取り入れます。
この時点で、高忠実度の設計が Vault に読み込まれます。Inventor ファイルと PowerMill ファイルの間に確立されたトレーサビリティによって、Vault for PowerMill からエンジニアリング チームに更新が通知され、チームは低忠実度の設計を高忠実度の設計に置き換えることができます。PowerMill は、組み込みの自動化、すなわちカスタマイズされたマクロを使用してすべての 3 軸および 5 軸加工ツールパスを生成します。これには、以前の NOV FGS 社のツールパスの長年にわたる「試行錯誤の」加工手法が用いられます。これにより、CAM プログラミング時間と人為的エラーのリスクが大幅に削減され、加工の一貫性が向上します。
「Vault と PowerMill を使用する前は、データ ファイルの開閉や保存を待つ間、エンジニアリング時間の 30% を無駄にしていました。現在では、必要なデータをわずか数秒で開けるようになりました。待ち時間はほぼゼロです」
—NOV FGS 社、デジタル デザイン マネージャー、Ben Holmes 氏
ポリスチレン プラグを加工するデュアル 5 軸 CNC ミリング ヘッドを示す
マシンのデジタル ツインを使用して機械加工プロセス全体のシミュレーションと検証を行い、衝突をチェックします。承認されると、正しい NC プログラムが Vault に書き出され、現場のチームと共有されて、切削を開始できます。これにより、設計から製造、現場までのデジタル ワークフローが完成し、すべてのデータが 1 つのリポジトリに格納され、完全なトレーサビリティが実現します。
別のツールである「Vault for NC files」を使用すると、NOV 社の工作機械オペレータは NC プログラムを工作機械コントローラに直接送信し、コントローラを Vault に直接効果的に接続できます。コントローラ上の NC ファイルに加えられた変更はすべて Vault と同期されるため、未検証の NC ファイルだけでなく、検証済みの NC ファイルも Vault に記録されます。つまり、将来作業を繰り返す場合は、ジョブに適した NC ファイルが確実に使用されます。
「Vault for PowerMill を備えた PowerMill を 3 軸および 5 軸 NC コードを実行する 11 台の最新マシンに接続することで、顧客のニーズに年中無休で対応できます。」
—NOV FGS 社、デジタル デザイン マネージャー、Ben Holmes 氏
NOV FGS 社のチームは、世界中のさまざまなエンジニアリング プロジェクトのニーズに応えています。
これらの新しいデジタル接続ワークフローに投資をすることで NOV FGS 社のチームは、今もビジネス全体を通じて成功を収めています。Ben Holmes 氏は、大型の CNC 加工コンポーネントの重要なフィーチャが、作業指示書に添付された紙の図面と一致しなかったケースを振り返ります。最初の調査の後、現場のチームは最後の設計変更の直前に印刷された古い 2D 図面を使用していたことが確認されました。デジタル ワークフローによって正しいフィーチャが取り込まれ、機械加工されたことで、会社にもたらされる価値のすべてが明らかになりました。
NOV FGS 社のエンジニアリングおよび製造技術のデジタル オーバーホールによって、同社は数万ポンドに相当する時間およびコストを削減できたと、Ben Holmes氏は述べています。自律的なワークフローは喜びを伴います。「リスクもなく、曖昧さもなく、ファイルを電子メールで送信する必要もない。本当に素晴らしい」と彼は付け加えます。
今後は、工場に 4K テレビを設置して設計部門と同じ画面を共有し、完全に統合されたペーパーレス ビジネスへの移行をサポートしていきます。
Vault for PowerMill の実装後、NOV FGS 社はいくつもの重要な成果を達成しました
2015 年の激しい嵐で海岸線が被害を受けた後、グラスファイバー製の歩道橋を設置する必要がありました。
デジタル接続ワークフローへの投資から得られた成功は、NOV FGS 社の英国での業務に大きな変化をもたらしています。そのため、チームは他の海外チームと話し合い、ビジネスの他の部分で同様のワークフローまたは改善されたワークフローを採用する可能性を調査しています。
NOV FGS 社の詳細については、https://pipexltd.com (英語)をご覧ください。