ROKION 社
ROKION 社
DESIGN & MANUFACTURING
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Rokion 社は、鉱業用のバッテリー電気自動車(BEV)を設計・製造していますが、これは通常の BEV ではありません。これらの特殊車両が市場でユニークであるのは、ほとんどの競合他社がディーゼル車両を改修して電池を搭載することに焦点を当てていたのに対し、最初から電池で駆動するように設計されていたことです。「ゼロから」設計することで、Rokion 社の車両には性能、信頼性、安全性の面で明らかなメリットがあります。プロセスをスムーズに管理し、可能な限り効率的に製品を市場に投入するために、同社は、企業全体のデータ管理に Inventor、AutoCAD、Vault を含むオートデスクの Product Design & Manufacturing Collection を利用しています。
RX00 の内部。画像提供:Rokion 社
カナダのサスカチュワン州サスカトゥーンに本社を置く Rokion 社は、重工業や鉱業用途向けに世界で最も先進的な電池駆動の電気自動車を製造しています。同社のユーティリティ トラックと作業員用トラックは、排出ガスをゼロにしながら、最も過酷な採掘条件に対応し、最も急な傾斜を登り、鉱山のあらゆる場所を安全に移動できるように設計されています。
Rokion 社の車両が競合他社と一線を画しているのは、設計とエンジニアリングに対する同社のアプローチです。ほとんどの電気自動車 OEM では、ディーゼル車から始まり、エンジンとトランスミッションを取り外して電気モーターと電池を組み込むという逆方向の改修を行っています。車両の元のアーキテクチャは電池を収容するように設計されていないため、これでは電池の容量に関して多くの課題が生じます。
「Rokion 社では、車両を最初から電気自動車として設計しています」と、Rokion R&D 社のアプリケーション エンジニアリング スーパーバイザーである Dave Cote 氏は述べています。「フレーム、ドライブ トレイン、ロールオーバーの保護構造などすべてです。ディーゼルを改造するのではなく、白紙の状態から始めました。これにより、電池容量のためにより多くのスペースを確保し、非常に急な傾斜路からでも鉱山に出入りできる電力を供給できるようになりました」
これらの傾斜路の上り下りには膨大な電力が必要ですが、Rokion 社は電池パックのサイズを調整し、アプリケーションに適した電池の化学成分を選択することでこれを可能にしました。競合他社ではスペースに制約があるためこれを簡単に行うことができず、多くの場合、路上走行や家庭用電化製品で使用されるリチウム、ニッケル、マンガン電池と同様の、入手可能なエネルギー密度の最も高い電池を使用することを余儀なくされています。
「当社では、リン酸鉄リチウム電池(LiFePO4)の化学的性質を活用できるように電池モジュールのスペースを設計しています。LiFePO4 はエネルギー密度が比較的低いものの、市販されている化学物質の中で最も安全であり、Rokion 社にとっては安全が最優先事項です」と Cote 氏は言います。「地下環境では安全性が非常に重要であり、電池による火災が発生すれば壊滅的な結果をもたらします。ゼロから設計することで、顧客が求めている最高レベルの安全性を提供することができます」Rokion 社の製品は、デュアル モーターを使用しているという点でもユニークです。標準的な四輪駆動トラックにはモーターが 1 つしかなく、駆動力を前輪から後輪に伝えるためのトランスファー ケースを備えています。そのため、四輪駆動モードで走行すると、急コーナーを曲がるときに、はねたり、スキップしたり、ホップしたりする傾向があります。2 つのモーターを備えた Rokion 社の車両は、前車軸と後車軸の間のスリップを可能にし、スムーズな走行を実現します。
包括的なエンジニアリングおよび技術サポート。画像提供:Rokion 社
Rokion 社の製品設計へのアプローチは、3D モデリングと 2D ドキュメント用の Autodesk Inventor、そしてデータの管理用で設計と製造間のコラボレーションの基盤となる Autodesk Vault を組み合わせたものです。このプロセスは、コンセプトが新しい車両であっても、既存のプラットフォームの拡張であっても、Cote 氏の研究開発チームが Inventor で大まかなモデリングを開始することから始まります。この時点で、チームは製品がどのような外観でどのように機能するかを示す全体的な配置図を作成します。これには、どのくらい急な勾配を移動できるか、または何人まで載せることができるかについての事前シミュレーションも含まれます。「当社の柱はエンジニアリングで、エンジニアリング部門は常に顧客の問題を解決し、ソリューションを設計してきました」と、Rokion 社の親会社である Prairie Machine 社のゼネラル マネージャー、Kipp Sakundiak 氏は言います。「そこで鍵を握るのが、オートデスクのツールなのです」コンセプトが承認されると、Rokion 社のチームは Inventor で作成された 3D モデルを使用して詳細を追加し、各パーツがアセンブリ内のどこに属するかを決定します。ここから、Cote 氏のチームは製造業者と協力してプロトタイプの作成を開始し、さらにテストと評価を実施します。これにより、リビジョンのプロセスが開始され、これは Vault で追跡されます。こうして、ハーネスの配線、ホース、ファスナなどの最終的な詳細が、アセンブリ インストラクションとともに最終決定されます。
製造現場では、Rokion 社が金属加工や溶接の設計意図を忠実に伝えるために Vault が活躍しています。
「当社の柱はエンジニアリングで、エンジニアリング部門は常に顧客の問題を解決し、ソリューションを設計してきました。そこで鍵を握るのが、オートデスクのツールなのです」
—Prairie Machine 社(Rokion 社の親会社)ジェネラル マネージャー/Kipp Sakundiak 氏
Rokion 社の車両用駆動モジュール。画像提供:Rokion 社
「私たちは研究開発部門と緊密に協力しています。なぜなら、引き継ぎが行われる際には、車両の製造をより効率的にするために改良を加える際に設計意図を維持することが重要だからです」と、生産エンジニアリング スーパーバイザーの Ryan Kolenosky 氏は述べています。「以前は 2D 施工図で作業していましたが、現在は Inventor を使用した 3D モデル共有が増えています。これは非常にうまく機能しており、3D アセンブリのプリントを実現する方法も検討中です」
製品エンジニアリング チームは、部品番号、寸法、ボルトのトルク仕様など、アセンブリ用の 3D 注記とともにさまざまなビューを作成できる組み込みツールを Inventor に発見しました。これは白黒の 2D プリントよりも扱いがはるかに簡単です。
Rokion 社がパーツを設計するたびに、そのパーツは Vault にリリースされ、会社の ERP システムに自動的に送信されます。その後、変更が発生したり問題が発生したりした場合は、チームは ERP システム内でそのパーツを保留にして、変更管理をトリガすることができます。同時に、Vault を使用することで、設計チームと製造チームが既存の設計のリビジョンを慎重に追跡できるようになります。「当社は、最先端のテクノロジーを活用するために、頻繁に製品の開発や改訂を行っています」と Kolenosky 氏は言います。
「そのため、どの車両をどのように改訂しているか、また各パーツのどの改訂版がシェルフにあるのか、どの改訂版を製造するのかを把握することが重要です。これを日々管理する必要があり、Vault を使用することで正確に管理できています」
また、Vault ではどのチームがどのデータを閲覧するかをソフトウェアで簡単に制御できるため、設計、エンジニアリング、生産のワークフロー全体で紙を完全に排除する実行可能な方法が Rokion 社にもたらされました。「Vault は、Inventor と同じくらい重要です」と Sakundiak 氏は言います。「項目や、各項目のすべての関連ファイルを管理できる機能は本当に便利です」