TVS DESIGN
TVS DESIGN
Share this story
TVS Design は、アトランタを拠点とする建築・インテリア デザイン事務所です。 1968 年の創業以来、CNN センターなどの著名な建物の設計を手がけてきました。 従業員 170 名の同社は、人材の設計スキルとイノベーション、技術知識をうまくマッチングさせることに常に注力してきましたが、デジタル時代の今、このミッションの緊急度はますます高まっています。新しいデジタル ツールやテクノロジーの台頭は、従来の建築設計プロセスに影響を及ぼしています。そして TVS Design のような設計企業は、時代に合わせてプロセスを進化させていく必要があります。
この進化を加速させるために、 「学習と知識共有のエコシステムを構築する必要がありました」とデジタル プラクティス・設計テクノロジー プリンシパルの Michael Hodge 氏は話します。 「私たちの目標は、人、プロセス、テクノロジーを統合することでした」
「TVS Design は小さな会社ですが、技術的能力を最大限に高めるという点で業界をリードすることを目指しています。今ではドキュメントのハブや新しいデリバリー モデルを構築し、企業文化も変化しました。私たちは 21 世紀にふさわしい会社となったのです」
—TVS Design デジタル プラクティス・設計テクノロジー プリンシパル/Michael Hodge 氏
ラスベガス コンベンション センター入口のレンダリング 画像提供:TVS Design
TVS Design 社のデジタル プラクティス スタジオのフレームワークでは、すべてのプロジェクトに主要なチーム構成を割り当て、デジタル プラクティス リーダー (DPL) を 1 人以上配置します。デジタルプラクティス スタジオ部門の目的は、デジタル戦略をすべての設計ワークフローに公式的に組み込むことで専門知識をデジタル化し、あらゆるプロジェクトで活用していくことです。 「単にソフトウェアを入手すればよいというわけだけではありません」と Hodge 氏は言います。「私たちはそれを使いこなせるようになる必要があります。また、単にベスト プラクティスを確立するだけでなく、そのベスト プラクティスから最大限の価値を生み出す必要があります」
TVS Digital 社のプロジェクト スタジオは IT 部門からは独立していますが、両部門で連携しながらテクノロジー戦略を策定したり、新しいソリューションやツールについて調査したりしています。Hodge 氏や他の DPL は社内の「成熟指数」を監視しながら、スキルのサポートを必要としている人材やチームを特定します。スキルのサポートとは、例えば DPL による指導や、技術コンサルタントを招いたトレーニングなどです。Emilio Hernandez 氏は、デジタル プラクティス スタジオのコンピュテーショナル デザイン部門のリーダーです。このトレーニングの一部を監督するほか、デジタル トランスフォーメーションの動向について調査しています。同氏は例えば、Autodesk AEC コレクション を活用して、Revit® 建築設計ソフトウェアで完全なモデルを作成する方法をプロジェクト チームに教えました。また、BIM のコンピュテーショナル デザイン機能を搭載した Dynamo for Revit で設計を検討する方法や、タスクを自動化する方法、施工管理ソフトウェアの BIM 360™ Design をプロジェクト デリバリーやドキュメンテーションのハブとして使用する方法などを教えています。
ニューヨーク市フラッシング/クイーンズ区ラガーディア複合施設開発プロジェクトのレンダリング 画像提供:TVS Design
デジタル設計プロセスを調整するための新しいフレームワークを導入後、TVS Design 社が手がけた最初のプロジェクトの 1 つが、ラスベガス コンベンション センター (LVCC) の拡張プロジェクトでした。「このとき、小規模なチームでも効率的な設計プロセスを運用できると分かりました」と、Hernandez 氏は話します。多くの時間を要する単純作業には、パラメトリック モデリング プロセスやコンピュテーショナル デザインを活用して、大幅に効率を高めることができると分かりました。私たちはさまざまな手法を試しながら、何が成功するかを研究しました」
ラスベガス コンベンション センター拡張工事の完成イメージ 画像提供:TVS Design
TVS Design 社の新しいデジタル ワークフローは、LVCC の設計に最適でした。異なる構造部分を鉄骨の「リボン」で視覚的に分かりやすく表示できるなど、さまざまな機能が役立ちました。多数のモデルが使用されるこの大規模なプロジェクトで、TVS Design 社のチームは社内外の関係者となかなかシームレスにモデルを共有できず、プロジェクトに遅延が生じそうになったこともありました。ニューヨーク市ラガーディア空港近郊の複合施設プロジェクトの設計には、ホテルや住居、コミュニティ スペースも含まれます。同社にとって、このプロジェクトはデジタル トランスフォーメーションや製造・組立容易性設計 (DfMA) プロセスの本格的なテスト ケースとなりました。同社は LVCC プロジェクトで使用される複数のモデルを共有するために BIM 360 の統合設計プラットフォームへと移行し、クラウドのメリットの大きさを理解しました。
「移行によって、社内チームから外部の施工業者やパートナーまでのあらゆる関係者の管理が効率的になりました」と Hernandez 氏は話します。 「設計が複雑になることはあらかじめ分かっていたため、Revit でモデルを調整する必要があると考えました。そこで、このプロジェクトの設計から施工までのプロセス全体を、デジタル ツールで調整したいと考えました」 彼らは数多くの課題に直面しました。クライアントからのリクエストは、「ダイナミックでインパクトのあるデザイン」でした。この要望に応えて、建物低層部にはポディウム、3 棟のタワーの間には広大なオープン エリアを備えた設計となりました。また、製造上の課題も持ち上がりました。プレキャスト パネルを作成して窓とともに組み立てるという課題や、ホテル スペースに設置可能なユニット数を最大化するなどの課題です。
TVS Design 社は、ラガーディア複合施設プロジェクトで初めて、プロジェクト全体を通じてクラウド上でモデルを管理する以上のことにも挑戦しました。同社は、設計モデルから直接、ファサード パネルの製造を行う製造プロセスをワークフローに追加する必要がありました。そのためには、プロジェクト チームとデジタル チームのリーダーが、TVS Design 社の上層部を説得して承認を得なければなりません。「効率化というメリットが得られることを説明しました」と、Hodge 氏は話します。「短時間で質の高い設計を行い、施工用のモデルを作成することができれば、クライアントは喜びます。それを実現するには、DfMA のデジタル プラクティス プロセスを導入する必要があると説明しました」 Hodge 氏とチームは、BIM 360 プラットフォームのモデルを介した設計共有や、設計段階から施工の見積もりを行える機能など、さまざまなデジタル ツールのおかげで、設計段階にしてすでに、プロジェクトの計画を最初から最後まで完全に描くことができました。設計プロセスの効率が向上し、クライアントとチーム間でコミュニケーションをとりながら迅速にコラボレーションを進めることができました。
「設計モデルはそのまま製造モデルとして活用できるため、クライアントの時間を節約できます」と、Hernandez 氏は説明します。製造やコストをチェックする担当者と直接コミュニケーションをとったり、3D モデル全体をコスト見積担当者に送信したりもできます」 同社が構築したデジタル フレームワークは標準の運用手順として、今後すべてのプロジェクトに適用されるでしょう。デジタル能力の成熟に伴い、かつては対応できなかった大規模案件も受注できるようになったと Hodge 氏は話します。「当社は小さな会社ですが、技術的能力を最大限に高めるという点で業界をリードすることを目指しています。今ではドキュメントのハブや新しいデリバリー モデルを構築し、企業文化も変化しました。私たちは 21 世紀にふさわしい会社となったのです」
「設計モデルはそのまま製造モデルとして活用できるため、クライアントの時間を節約できます。製造やコストをチェックする担当者と直接コミュニケーションをとったり、3D モデル全体をコスト見積担当者に送信したりもできます」
—TVS Design デジタル プラクティス スタジオ コンピュテーショナル デザイン リード/Emilio Hernandez 氏