Visiconsult X-Ray Systems & Solutions
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新たな可能性
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VisiConsult 社は、業界をリードする産業用 X 線システム メーカーです。同社は現在、デジタル トランスフォーメーションを進めています。25 年間にわたる歴史の中で、同社の事業はソフトウェア開発から機械のカスタム設計・製造へと進化を遂げました。そして今では、デジタル ツイン テクノロジー、人工知能 (AI)、クラウド コラボレーションなどを駆使して X 線画像や画像解釈のサブスクリプション サービスを提供するなど、物的製品からサービスまで幅広く展開しています。VisiConsult 社の自動評価プロセスは、物理およびアナログの品質管理検査に代わって、より効率的で費用対効果に優れた製品検証を実現します。
VisiConsult 社 の X 線システムを使用して品質管理検査中の機械部品を調べる Lennart Schulenburg 氏と Hajo Schulenburg 氏。
新型コロナウィルスのパンデミックによる破壊的イノベーションが世界を席巻するよりもずっと以前に、VisiConsult 社の創設者である Hajo Schulenburg 氏と子息の Lennart 氏は、デジタル テクノロジーこそが、会社の将来を保証し、顧客サービスを向上させるための鍵となると気づいていました。家族経営の同社は、品質管理検査用の X 線および CT(コンピューター断層撮影)ソリューションを構築するほか、顧客のニーズに合わせてカスタマイズした X 線防護室を提供しています。「お客様は当社のシステムを使用して、部品の非破壊検査を行います。部品の内部に不具合や欠陥がないかどうかを、部品を壊すことなく確認するためです」と、VisiConsult 社の最高経営責任者を務める Lenart Schulenburg 氏は話します。
VisiConsult 社の提供する X 線システムとソリューションは多岐にわたります。航空宇宙、石油・ガス、自動車、防衛産業向けの部品を検査するための大規模な産業用システムもあれば、現場でスポット検査を行うための携帯可能なシステムもあります。
防護室内の X 線装置を作業員が調整しています。VisiConsult 社のカスタム製 X 線防護室には放射線を遮断する鉛が使用されており、数トンもの重さになります。 画像提供:Chris Meller 氏
VisiConsult 社の検査プロセスでは、コンピューター断層撮影(CT)の画像を使用して、部品のデジタル ツイン を作成しています。このデジタル ツインはクラウド上で共有し、世界中のどこからでもアクセスして検査・評価できます。エンジニアは VisiConsult 社とその顧客のニーズに応じて、デジタル ツインにおける不具合を特定・修正し、修正措置について顧客に伝え、実装します。
かつて画像処理を行う際には、マイクロスケールで部品を検査するための物理的なアナログ フィルムとソフトウェアが必要でしたが、さまざまなデジタル検知器を使用する現在のプロセスでは、アナログ フィルムよりもはるかに迅速に結果を得ることができるばかりでなく、X 線画像に画像処理を施し、画像評価を自動で行うこともできます。同社はまた、従来の X 線画像処理方法より高精度に不具合を自動検出できる AI プラットフォームで、このプロセスのさらなる開発を進めています。この AI は評価された画像データから学習しながら、性能を高め続けます。
X 線装置の 3D モデルをレビューしているエンジニア。画像提供:Chris Meller 氏
VisiConsult 社は、効率の向上、コストの削減、そしてサステナブルな事業運営を目指してデジタル トランスフォーメーションを開始し、オートデスクの製品ライフサイクル管理 (PLM) ソフトウェア、Fusion 360 Manage を導入しました。PLM を使用すると、ライフサイクル全体を通じて製品を容易に追跡できるようになり、廃棄物の特定・削減や、製品寿命の延長につながります。
「従来の紙ベースの ISO 9001 プロセスからデジタル世界へと移行する際に、製品ライフサイクル管理(英語) が役立ちました」と、Lennart 氏は言います。「世界各地のスタッフが全員で協力しながらシームレスに共同作業できる環境が、当社には必要です。そこでデジタル ツインを使用して、製品ライフサイクル全体にわたってシステムを監視しています」
Fusion 360 Manage では、Inventor で開発された 3D モデルを使用して、自動化された機械構築プロセスにおける新製品の情報を管理できます。VisiConsult 社はこれを使用することで、顧客が求める X 線防護室の仕様をしっかり確認してから、ソリューションの構築を開始できます。「完全にシミュレーション済みのモデルを、事前にプログラミングすることもできます。また、実際に部品を作成する前に、部品のバーチャル検査を行うこともできます」と、Hajo Schulenburg 氏は言います。「変更してはシミュレーションし、微調整することを繰り返しながら、設計を改善していきます」
そして結果的に、新しいソリューションの市場投入にかかる時間は、PLM によって短縮します。「PLM は、こうした用途に非常に不可欠なツールです」と、Lennart 氏は言います。「PLM によってプロセスがより明確になり、透明性が確保され、すべてが高速化します」
X 線装置で部品をスキャンします。VisiConsult 社が新たに始めたサブスクリプション ビジネス モデルによって、顧客は必要に応じて X 線画像にアクセスし、解析を行えるようになります。
VisiConsult 社は今、デジタル トランスフォーメーションの次の章を始めようとしています。それは、画像や画像解釈を提供するサービスです。顧客は多額の先行投資を行う必要もなく、サブスクリプションによって X 線システムを利用できます。VisiConsult 社は CT ソフトウェアと AI を使用することで、検査対象の物理的な部品の正確なデジタル ツインを構築したり、さまざまなシミュレーションを実行したりできます。顧客は必要に応じて画像を入手したり、解析を行ったりできます。そして認証を受けた検査部門の設備投資や運用に多額の固定費をかけるのではなく、より予測可能な変動費へとコストを移行させることができます。
このモデルはまた、製造業界にパラダイム シフトをもたらします。工程の最後に品質管理検査を行うのではなく、産業用センサーによる非破壊検査を製造プロセスに組み込むことで、製品設計や生産の最適化に役立つデータを大量に生成できます。
「画像単位や解析単位の従量課金制というストラテジーは、デジタル トランスフォーメーションの素晴らしい例です。ビジネス プロセスをはるかに超越したビジネス モデルとして、当社のあり方や事業運営を見直すきかっけとなります」
— VisiConsult X-ray Systems & Solutions 社 最高経営責任者/Lennart Schulenburg 氏
X 線検査の画像と解析結果を確認する Lennart Schulenburg 氏。VisiConsult 社の自動画像評価プロセスなら、アナログ フィルムよりもはるかに迅速に結果を得られます。画像提供:Chris Meller 氏
VisiConsult 社はこの分野の先駆けであり、ドイツの機械設計業界をリードする企業です。サブスクリプション モデルを導入し、物理的な製品からサービスへと主力製品を移行させることで、顧客のニーズに応えています。さらに、AI、クラウド コンピューティング、3D プリント、ロボティクス、そしてサステナビリティの強化といった分野に多額の投資を続けながら、最先端テクノロジーを取り入れることで、競争の激しい業界における技術的優位性を維持しています。
また、グローバル市場へのサービス提供を強化するために、世界中にソリューション センターを設置しました。これにより、現地の営業時間中に、装置や画像のサブスクリプション サービスを顧客に案内できるようになりました。このアプローチはすばやく実現できたばかりでなく、顧客対応はさらにきめ細やかになり、検査装置製造用の新工場を海外に建設するよりもはるかに低コストで済みました。
「従来のビジネス プロセスは、将来的には通用しなくなります」と、Lennart 氏は言います。「この業界は攻撃にさらされています。他の国では、高品質な機械を作り、低コストな拠点から運用できます。この競争を勝ち抜き、技術面で優位性を維持するために、私たちはすぐさま目を覚まし、迅速に実行する必要があります」