炭素除去が重要である理由と、その成功に必要なこと

官民からの投資により、炭素除去の勢いが増しつつあります。その基本的な考え方と、この新たなサステナビリティ産業が進んでいる方向。

Zach Mortice

2024年10月8日

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  • 現在の科学では、地球温暖化対策における目標の達成には、二酸化炭素の排出量削減だけでは不十分であることが示されており、大気からの二酸化炭素除去を優先する必要もある。

  • バイオ炭、バイオマス炭素除去・貯蔵 (BiCRS)、直接空気回収 (DAC)、海洋アルカリ度向上、建築材料など、さまざまなアプローチで革新が進み、炭素除去分野の勢いが増している。

  • 政府と民間の支援により、これらの新技術は、世界がより安全で公平な脱炭素化された未来へと向かう一助となるだろう。

気候変動による壊滅的な影響を回避するには、単なる二酸化炭素排出量の削減だけでは不十分であることが明白になってきた。米国バーモント州韓国の洪水、デラウェア州で40年ぶりに発生した竜巻、北米全域を煙で覆い尽くしたカナダの山火事など、気候の影響による相次ぐ災害が史上最悪の猛暑に重なり、もはや無視できない緊急事態にあることを浮き彫りにしている。

気候変動による最悪の影響を回避するための世界的なベンチマークは、世界の気温上昇を摂氏1.5度未満に抑えることに設定されている。それを達成するには、2050年までに温室効果ガスの排出量をほぼゼロにすることが必要だ。前向きな機運が高まってはいるものの、世界はこの目標を達成できそうにない。その理由のひとつとして、AECO (建築、エンジニアリング、建設、運用) を含めた一部の重要度の高い業界が、プロジェクトの向上や輸送、構築、運用のため、並外れてエネルギー集約的で二酸化炭素をまき散らすプロセスに依存していることが挙げられる。ビルやインフラのため生産される何tもの鉄鋼やコンクリートと、そうした重い資材を長距離移動させる必要性は、AECOが二酸化炭素排出における最大の経済要因のひとつになっている理由だ。

これは、この業界の脱炭素化には時間がかかり、その間も大気中への排出が続くことを意味している。つまり、気候変動対策のための目標の達成は、単に将来の排出量を削減するだけでは実現できない。気候変動に関する政府間パネル (IPCC) は2023年3月の段階で、大気中に既に存在してるギガtレベルのCO2を除去しない限り、産業革命前からの地球の気温上昇を1.5度以内に抑えることは不可能だと報告している。持続可能な未来への唯一の道が「イエスアンド」アプローチであり、これは温室効果ガス排出量の 削減と、重要だが比較的未開発で投資不足な分野である炭素除去を組み合わせたものだ。

炭素除去とは? それが重要である理由は?

樹木は自然の炭素吸収材だ
樹木は自然の炭素吸収材だ

炭素除去とは、既に大気中にある二酸化炭素を隔離して、それを恒久的に貯蔵するプロセスを指す。炭素除去は、樹木が光合成で二酸化炭素を吸収するような自然現象のみで実現することも、大気から二酸化炭素を取り出す空気回収アレイなど技術的介入が必要な場合もある。いずれにせよ、その目的は地球温暖化の影響を防ぐために大気中の二酸化炭素を除去して、時計の針を戻すことだ。

重要なのは、そもそも炭素除去は排出削減の代わりではないということだ。経済の大幅な脱炭素化につながる投資を優先することが、絶対的に重要だ。そして、CO2を大気から除去して貯蔵する解決策を、速やかに確立する必要がある。全く新しい炭素除去産業を、ゼロに近い状態から登場させることが必要だ。

炭素除去分野は、現在は世界経済のごく一部であり、その市場規模は数億ドルのレベルに過ぎない。気候の遷移を成功させるということは、炭素除去を現在の億ドル規模の産業から石油・ガス部門と同規模の1兆ドル規模の産業に拡大させることを意味する。この急速なスケールアップには、民間部門への有意義な投資とイノベーション、そして公共部門の支援が必要であり、それが成長を促進し、リスクを軽減する。

現在の炭素除去は、そのほとんどが樹木への炭素貯留など旧来の自然現象によって生じている。技術的、人為的な手法による炭素除去の成果は、わずか0.1%に過ぎない。自然ベース、技術的なアプローチの両方において、その産業を約1,300倍の規模まで拡大することが必要だ。推定には差があるが、2050年までにおおよそ年間50億tから160億tの二酸化炭素除去が必要だとされている(2021年の温室効果ガス排出量は米国だけで60億t強に上る)。 人類は炭素除去の規模を年間何tというレベルからギガtへと移行させる必要があり、しかもそれを気候変動へ有効に対処できる期限内に行わなければならない。

炭素除去における課題

炭素除去には技術的な課題と規制上の課題があり、いずれも業界の新たな専門知識を必要としている
炭素除去には技術的な課題と規制上の課題があり、いずれも業界の新たな専門知識を必要としている

二酸化炭素除去産業の規模をギガt単位まで拡大することに、規制面や技術面で課題がないわけではない。

信頼性確保のため、測定や検証、報告の基準が進化し続ける必要がある。適切なコンピテンシーとスキルを開発するための人材パイプラインの構築も必要だ。炭素を評価・取引する市場が出現し、最も有望な解決策に資本が流れるようにする必要もある。隔離された炭素は、安全かつ恒久的に貯留されなければならない。また、最も気候変動の影響が大きい場所や地域社会に配慮し、炭素除去プロセスを公平に実施するためには、全く新しい規制や許可手続を考案する必要がある。一般的に、一連の新たな公共政策には効率、有効性、期間などの要因の設定が必要だ。

今日最も差し迫った課題は、適切な市場が生まれる必要がある点だろう。さらなる投資を誘引するには、業界が強い需要を示す必要がある。この技術を必要とする民間部門の顧客からのまとまった発注や公共政策の転換が、この新興市場の強力なベースラインを設定する可能性がある。

炭素除去のアプローチ

地球の炭素循環の一部として、炭素を隔離する自然のシステムが既に存在していることは歓迎すべきだ。科学者や起業家は、こうしたシステムから学び、解決策への着手と、その拡大を行おうとしている。新たな炭素除去技術は、それが自然のプロセスを直接利用するものでも、完全に人工的な手段へと変換されたものでも、すべて地球の自然な炭素循環に根差したものとなる。

炭素を豊富に含むバイオ炭は農業廃棄物から作られることが多い
炭素を豊富に含むバイオ炭は農業廃棄物から作られることが多いが、大気中の炭素を何世紀にもわたって貯留し土壌に栄養を与える

再生

あらゆる種類の樹木と植物は炭素隔離の巨大な源であり、植林は長い間、気候変動に立ち向かう手法だと理解されてきた (建築業界でマスティンバーが広く採用されるようになれば、効果的な炭素除去材の需要に拍車がかかるだろう)。 だが、このバイオマスは枯れると朽ちて炭素を放出するため、自然プロセスや生物学的物質に対処する炭素除去法では、この再放出をどう食い止めるかを模索している。

そのひとつに、植物の遺伝子組み換えがある。科学者たちは、根が水平に広がるのでなく直下へ伸びるよう、イネの遺伝子を操作する方法を発見している。 地中の奥深くまで届くことで、炭素を隔離する根は分解されず、腐敗して大気中に炭素を放出することもない。

この企業は費用対効果が高くスケーラブルな直接空気回収式の二酸化炭素除去ソリューションを開発している
Heirloom Carbon Technologiesは費用対効果が高くスケーラブルな直接空気回収式の二酸化炭素除去ソリューションを開発している

バイオ炭

バイオ炭は、さまざまな生物由来物質から作られる物質で、特に農業廃棄物 (もみ殻、木の実の殻など) を低酸素環境で高温に加熱すると、炭素の豊富な炭に似た物質が生成される。バイオ炭は非常に安定性が高く、炭素を何百年、何千年と貯留できる。地中に埋めたり、農作物の周りに撒いたりすることで、潜在的な大気中の炭素を何百年も閉じ込めることができ、土壌に栄養を与えて肥料の必要量を減らす利点もある。バイオ炭は、廃棄物 (家庭やレストランから出る生ごみもそのひとつ) から作るのがベストだが、木、葉、動物の糞尿など、ほぼすべての生物由来物質から作ることが可能だ。Applied Carbonは、AI支援ロボットを使用してバイオ炭を土壌に堆積させている。

カンラン石という鉱物は海水に溶けるとCO2吸収率が高まる
カンラン石という鉱物は海水に溶けるとCO2吸収率が高まる

直接空気回収

直接空気回収 (DAC) システムは、空気を炭素隔離材料に通過させ循環させるものだ。Climeworksによる初の商用DACユニット、Orcaのパイロットプロジェクトは、アイスランドの地熱エネルギーで稼働しており、ファンで取り込まれた空気を、CO2を表面に固着させる多孔質材料に通過させる。炭素抽出のため、装置は100°Cに加熱される。濃縮された炭素は鉱物化されて地下に貯蔵され、そこで水と混合し、玄武岩の岩層と融合して石となる。1台の装置で、大気中から1日当たり10tのCO2を抽出可能だ。

Heirloomはカリフォルニア州トレイシーで米国初のDAC施設を運営している。同社の手法は空気から石灰岩への炭素隔離の自然プロセスを、数年から数日に短縮するものだ。粉砕した石灰石を窯で加熱して、二酸化炭素と酸化カルシウムの粉末に分離。二酸化炭素は抽出され、CarbonCure Technologies製のコンクリートに貯蔵、隔離される。次に、酸化カルシウムの粉末を水と混ぜて水酸化カルシウムにする。この粉末をトレーに撒き、3日間かけて空気中の二酸化炭素を吸収させて、再び石灰岩にする。このサイクルが繰り返される。Heirloomの予測によると、この手法のコストは2035年までに1t当たり100ドルを下回るようになるという。

カンラン石という鉱物は海水に溶けるとCO2吸収率が高まる
カンラン石という鉱物は海水に溶けるとCO2吸収率が高まる

海洋アルカリ度向上

Vestaは、天然鉱物のカンラン石を利用し、海岸線の二酸化炭素吸収源の容量を高めようとしている。同社の計画は、海岸線の砂地に粉砕した大量のカンラン石を撒き、カンラン石が水に溶け、化学的風化が促進されることでCO2の吸収率を高めるというものだ。アルカリ性物質であるカンラン石は、気候変動によって加速する海洋酸性化の抑制にも役立つ。これは、炭素除去に対処するための鉱物化促進の一例だ。もうひとつの例が玄武岩だ。研究によると、玄武岩で固めた炭素で処理した農地は生産性が高いとされる。

BiCRS

バイオオイルの利点はシンプルだ:炭素をまき散らすオイルを、元の地中に戻す可能性を有している。Charm Industrialは、すでに炭素隔離されている収穫後のトウモロコシから得られる農業副産物を使用し、「バイオオイル」と呼ばれる安定した不燃性の粘性液体に変換。バイオ炭と同様、このオイルはバイオマスを着火せず数秒のうちに500°Cまで加熱することにより作られる。このオイルはその後地下へと注入され、多くの場合は汲み上げられたのと同じ井戸に戻される。 安定性が極めて高く、注入後数日から数週間で岩のように固まる。軽量構造により農地の近くで運用でき、輸送時のカーボン フットプリントを最小限に抑えることが可能だ。

バイオオイルは、バイオマスを高温で加熱して安定した高炭素の液体を作り出し、地中に貯蔵可能にしたものだ
バイオオイルは、バイオマスを高温で加熱して安定した高炭素の液体を作り出し、地中に貯蔵可能にしたものだ

電気化学プロセスによる海洋の二酸化炭素除去

海洋には生物圏で最も多く炭素が含まれるが、その炭素を除去する最先端の実験的試みのひとつに、電気化学を利用したものがある。この手法では、海水を電気化学装置に注入し、水と塩の分子を酸性と塩基性 (アルカリ性) の溶液へと再配列させる。塩基性溶液は海へと戻され、海洋アルカリ度を高め、大気から海へとCO2を取り込む。酸性溶液は、海水からCO2を取り出すのにも使用できる。

企業は炭素除去産業をどう成長させるか

A photovoltaic power plant with thermal power plant in background
企業は電力供給会社やその他のパートナーからの排出量を評価し、自社事業の上流および下流への影響を評価しなければならない

「変化は内から始まる」という言葉は、企業が炭素除去産業の発展にどう貢献できるかを的確に示すものだ。企業が行うべきことは:

  • 自社の事業が直接的・間接的にどれだけの炭素を排出しているかを把握できるよう、自社のカーボンフットプリントを理解する。

  • そのカーボンフットプリントの結果責任を果たし、排出量の相殺手段としてクレジット購入を検討する。

  • 従業員、サプライヤー、顧客などのステークホルダーの利益のため、自社がエコシステムの成長を独自にサポートできる分野を探る。

  • 事前買取制度 (AMC) を通じて、需要をまとめてシンジケート化する (詳細は後述) 。

  • 政府の関与と支援を提唱する。

事前買取制度

事前買取制度は、炭素除去がより偏在化し、ギガtレベルの大型市場へ到達できるよう、炭素除去産業に資金を供給してコスト引き下げに使用される新たなツールだ。炭素除去におけるこうした取り決めには、一定期間にわたって炭素除去サービスをまとめて購入することを保証できる、民間または公共部門のバイヤーが必要となる。このプロセスは、安全な投資のシグナルとして必要な基準需要を設定し、この新興技術がリスクの少ない環境で資金を集めるのに役立つ。 この枠組みは元々、発展途上国でワクチンを開発するために見出された。

AMCは本質的に、持続可能性に対する漠然としたコミットメントを炭素除去購入の契約へと変えるものだ。技術専門家のコンソーシアムで構成されるAMCは、バイヤーの資金を多様な炭素除去企業に投資する。指定された量のCO2が除去されると、AMCはサプライヤーに支払いを行い、バイヤーにクレジットを発行する。

このアプローチの大きなメリットに、炭素除去ベンダーの多様なグループにリスク分散できることがある。だが最大の価値は、多数の資金源からの資金と需要が斬新的にではなく一気に集約する大量投資が市場に生まれることにある。他の投資家とともに炭素除去産業を支援するべく、オートデスクFrontier AMCに1億ドルを投資したのも、そこに理由がある。これは、このコンソーシアムが炭素除去サービスの購入に注入した10億ドルのほんの一部にすぎない。

企業の炭素削減への取り組みが規制強化の要求を後押し

Tubular bioreactors filled with green algae fixing CO2
民間部門の投資は炭素除去技術革新の主要な推進力だ

炭素除去産業は、事業運営の脱炭素化を目指す企業の広範なコミットメントの一環として、その大部分が民間の投資で実現している。オートデスクは2021年以降、その事業とバリューチェーン全体における排出量相殺を行っている。マイクロソフトは2012年からカーボンニュートラルを実現しており、2030年までのカーボンネガティブな事業運営実現に取り組み、大気から250万tの二酸化炭素を除去する契約を結んでいる。不動産サービス大手のJLLは、2030年までに全建物でカーボンニュートラルを達成することを目標としている。同様に、Appleはサプライチェーンで使用するすべての電力を2030年までに再生可能エネルギーへ転換することを公約している。

この活動の多くは、二酸化炭素クレジットとオフセットを前提としたものだ。炭素削減活動を行う団体が、クレジットを発行。炭素を排出する企業は、温室効果ガスの排出削減継続と引き換えにクレジットを購入して自社の二酸化炭素排出量を相殺し、さらなる脱炭素化を支援する。

だが、このアプローチは不完全だ。影響の検証は困難であり、脱炭素化を遅らせるメカニズムを生み出す可能性もあるからだ。単にオフセットするだけでは、この問題から抜け出すことはできない。またクオリティのばらつきが大きいため、クレジットを購入しても、期待したほどの二酸化炭素削減効果が得られない可能性がある。持続可能な林業と森林保全を実践している林業団体が発行したクレジットを、違う大陸の遠く離れた企業が購入した場合に、保護されるはずの木の伐採を防ぐ規制措置はあるのだろうか? 炭素除去という観点において、これらの脱炭素手法の差は歴然としている。ひとつは大気中に温室効果ガスを排出しないことであり、もうひとつは既に大気中に存在する温室効果ガスを除去することだ。

炭素除去に1t当たり1,000ドルを支払う時代から50ドルを支払う時代へと進化させるには、民間・公共両部門の多大な取り組みが必要となる。自国の排出量を抑制しつつ、規制環境を整えることが求められるようになるだろう。米国とEUの全排出量の半分近くは、政府調達の結果である。

公共部門は、民間部門に比べて新たな技術やプロセスの採用が難しく、技術革新を強いる圧力にさらされないことが多い。炭素除去という新たな分野においては、この背景が重要だ。しかし、公共部門はより高いレベルのデータの透明性とコミュニケーションを提供できる。

短期的には、政府が一連の環境許認可規制と性能基準を更新し、炭素除去成長のお膳立てをすることが重要だ。次に、公共部門は、管理監督機能と手続を策定し、政策レベルでの成功をベンチマークするための具体的なKPIを設定する必要がある。最後に、進捗と後退を体系的に報告・分析し、実績と遵守基準が満たされていることを検証し、炭素除去に投資しているあらゆる公共部門の組織間の連携を構築する公共としての使命がある。

世界の炭素除去

民間部門の投資は炭素除去技術革新の主要な推進力だ
民間部門の投資は炭素除去技術革新の主要な推進力だ

米国内では、バイデン政権のエネルギー省が商用DACに最大12億ドルの資金提供を行っている。これは炭素除去に対する投資としては世界最大のものだ。Project Cyprusはこの投資の一環であり、Climeworks、Heirloom、そして応用科学技術団体Battelleの協力を得て、ルイジアナ州にDAC施設を設置する。バイデン政権はまた、森林火災の森林再生に25億ドル、CO2貯蔵に25億ドル、CO2輸送インフラに21億ドルの低利融資を行うとしている。

ヨーロッパでも炭素除去に関する大きな動きがある。英国は2030年までに500万tの温室効果ガス除去目標を最初に設定した国のひとつであり、10年間で200億ポンドを投資する計画だ。一方、ポルトガルはEU加盟国で唯一、炭素除去目標を法律として明文化している。

カナダでは、石油資源の豊富なアルバータ州が、炭素除去に12億4,000万ドルを投資しており、この新生産業を石油精製プロセスに組み込もうとしている。 開発途上国世界にも動きがある。アフリカ中部のカメルーンでは、NetZeroがコーヒー産業から出る農業廃棄物を利用してバイオ炭を製造している。国内最大のコーヒー加工工場に隣接しているため、通常は廃棄物として処分されるコーヒーチェリーの外皮が豊富に手に入る。ここで生産されるバイオ炭 (年間2,000tにもなる) は、大気の脱炭素化に加えて、地元の小規模農家が土壌の健康状態を改善するために利用できる。NetZeroはブラジルに別の施設を開設したが、こちらは最初の施設の2倍のキャパシティを有する。

炭素と世界の不安定なバランス

急成長している炭素除去分野は、単なる選択肢としてだけでなく、責務としても存在する。気候変動の容赦ない進撃に対抗するため、企業はこの新興産業において一体となって革新をおこない、途方もない規模の世界的なカーボンフットプリントに対応できるよう、その規模を拡大しなければならない。世界の生態系に再びバランスをもたらす能力を持つ成熟した炭素除去産業では、あらゆる意思決定が炭素主導で行われ、あらゆる経済主体があらゆる規模で炭素排出を削減する。

このテクノロジーが民主化され、大小の組織が必要なツールにアクセスできることを確保する、連帯責任がある。炭素除去技術の拡大と改良には、官民両部門の取り組みが不可欠だ。企業は、テクノロジーと自然が融合し、今後何世代にもわたって持続可能な遺産を築き上げる未来を確保するよう、イノベーションを起こすだけでなく行動することが求められている。

Zach Mortice

About Zach Mortice

ザック・モーティスはシカゴ在住の建築ジャーナリスト。

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