より良い建築を実現する先進的な建設技術10: より迅速に、より環境に優しく
- 建設のデジタライゼーションが業界を再構築し、技術の集約が施工者へ運用に関する詳細な知見を提供している。
- そうした技術を取り入れることで建設会社は効率を向上させ、コストと時間を節約できる。
- 建設技術が進歩すると、最終的にはBIMを中心的なプラットフォームとした統合データ環境へと収束していくだろう。
建設のデジタライゼーションは、ハードウェアとソフトウェア、そして建設現場における人間の役割を根本的に変えつつある。そして、さらに粒度と感度の高い方法による建設現場からのデータの収集・整理が施工者へ、より効率的に作業を行う方法を明確に示す。
だが、こうした劇的な進歩は単独では起こらない。今日の最先端の建設現場では、互いに情報を交換し合う新技術の数々が強力に統合されるようになっている。
その例を挙げると、建設が本格的に始まる前に機械学習のアルゴリズムが材料の入札を最適化し、適切なタイミングで最適な材料の最適な価格を提示する。建設が始まると、四足歩行ロボットがAIとリアリティキャプチャ技術を活用して危険や落とし穴を回避しながら現場を闊歩し、完成した工事や安全上のリスクについて検査を実施。収集した情報を用い、動的なBIM (ビルディングインフォメーション モデル) を更新する。こうしたフィードバックは、低炭素型コンクリートの押出を行う3Dプリントロボットの指示に使うことができ、コンクリートの硬化に応じてモデル内で進捗状況が更新される。
こうした技術により、ゼネコンは自社の建設プロジェクトで、各セクションやフェーズで起きていることを細部まで把握して時間とコストを節約できる。これらのツールは、より良質かつサステナブルな建造環境を作り出す、新たなレベルでの正確性と迅速さを約束するものだ。
1. プロジェクトのリスクを機械学習で最小化
AIのサブセットである機械学習は、アルゴリズムを使用してデータや環境のパターンを検出し、その観察の結果へ動的に反応してパフォーマンスを向上させる。これらのアルゴリズムは多くの場合、アップロードされた、もしくは使用しているソフトウェアプログラム内で生成した、舞台裏の建設データを使って分類を行う。プロジェクト追跡ソフトウェアや図面、モデル、認可などの文書を見て、そこからパターンや潜在的な干渉、安全上のリスクを検出するのだ。この情報は、プロジェクト入札の最適化、コストやスケジュールのリスクの着工前解決に利用できる。
EarthCamはライブカメラ技術、コンテンツ、サービスの大手プロバイダーであり、建設チームはEarthCamを使用してプロジェクトの監視、記録を行う。EarthCamは、ウェブカムコンテンツやライブストリーミングビデオから壮大な建設タイムラプスまで、プロジェクト管理を強化し透明性を促進するビジュアルデータソリューションの包括的なエコシステムを提供している。
使用されている最先端のサーバーサイドAIとエッジコンピュータービジョンは人間の監視者の視覚能力を凌駕するものであり、同社はAIオブジェクト検出を利用してアラート、タグ、視覚化を自動化している。これはチームの手作業によるプロジェクト監視時間を削減し、より多くのエネルギーをアクションに費やせることを意味する。
Matterportは、建造環境のデジタル化とインデックス化に注力する空間データの大手企業であり、建設チームによるデジタルツインの作成、共有を可能とする。デジタルツインはあらゆる空間の設計、建設、運営に使用可能だ。Matterportのプラットフォーム内ではAIが重要な役割を果たしており、その技術的枠組み全体のバックボーンとしてMatterport Cortex AIが機能している。
オートデスクのConstruction IQ (Autodesk Construction Cloudの一部) も、機械学習を使った根本的な原因の自動提案と潜在的なリスクレベルの関連付けにより、コストが嵩む下流での影響が生まれる前にプロジェクトの潜在的なリスクを予測。設計、品質、安全性、プロジェクト管理などの観点からリスクに着目し、各プロジェクトレベルとプロジェクト間レベルの両方で、リスク要因別に問題をランク付けするダッシュボードを作成できる。
Construction IQは、例えば過去に安全リスクのあった協力会社にフラグを立てたり、RFIの緊急度をランク付けしたりといった操作を、すべてAutodesk Construction Cloud内で行う。プロジェクトが失敗する可能性のある箇所について、行動可能な知見をプロジェクトチームに提供し、必要なときに必要な場所に建設管理者を集中させることができる。
2. ロボット工学と新たな建設技術の融合
ロボット工学の建設技術としての成功は、他の建設技術分野の進歩や、それらがどう融合するかにかかっている。今日のデジタル建設現場において、建設ロボットが現場のマッピングや調査、材料搬入、部材設置など、どのような物理的作業を行っているかを問わず、その作業をうまく進めるには、ロボットが物理的空間のどこに自身が存在し、周囲の状況がどう変化して、その作業が建設計画全体にどう関連しているのかを理解している必要がある。つまり、リアリティキャプチャのプラットフォームや建設管理ソフトウェア、AI、BIMなどとのシームレスな統合が重要なのだ。
現時点において、AI搭載ロボットは単一の作業をこなすことには優れているものの、柔軟性には欠けている。例えばHilti Jaibotは天井に穴を開けることに特化して設計されたものだ。さまざまな材料に穴を開けるため、どうトルクを変更すべきかを理解しており、鉄筋にぶつかった場合の対処法も把握している。Advanced Construction RoboticsのTybotは、ガントリーにより水平鉄筋を結束する。Weston RobotのBUNKERはデュアルトラックの搬送運搬ロボットで、LiDARを使用してナビゲートでき、約60kgの運搬が可能で、バッテリーで4時間駆動できる。
建設現場におけるロボットの最も一般的な役割として、自律的な現場監視がある。viACTのviBOTは四輪の3Dスキャナーで、必須である個人用防護具 (PPE) の着用や火や煙のレベルの監視、進捗状況の追跡、顔認識、スリップやつまずき、転倒の警告発信が可能だ。先日販売が開始されたBoston DynamicsのSpotは、車輪では到達できない場所にアクセスできるよう、多関節脚が使用されている。
3. 「つながる」建設でプロジェクトデータを管理
コネクテッドコンストラクション (「つながる」建設) は、あらゆる建設活動をデジタル化する取り組みであり、現場における全ての建設活動をデータへと変換する新たな手法を加速している。コネクテッドコンストラクションとは、一般的には建設データの管理と整理を強化する技術を指す。その技術は、プロジェクト納期や材料のフロー、機器の使用状況などを追跡・管理する大規模なものから、より細分化されたものまでさまざまだ。
Autodesk Construction Cloudの一部であるTakeoffは、建設管理者がプロジェクトで必要な材料の数量を積算する方法に着目。図面やモデルを分析し、最適なプロジェクト範囲を確認して、より正確な2D数量拾いを実行し、3Dモデルから見積数量を自動生成する。予算見積に単価を適用することも可能だ。
より広範な応用という点では、デジタルプロジェクト管理の最も一般的な用途となるのがリアリティマッピングとデータ統合だ。Evercam、NavVis、Oculo、OpenSpaceなどのプラットフォームは、建設現場で何が起きているかを観察し、進捗状況を確認する。
4. ARによる現場の安全とプロジェクトのワークフローの評価
VRにも似たARは、フル合成でイマーシブな環境を視覚表現し、建設においては3Dの建築部材モデルを実際の現場に重ね合わせる、という使い方がある。このブレークスルーにより施工者はBIMデータセットを現場に持ち込み、空間内部で移動させられるようになった。
プラットフォームが (スマートフォンやタブレットなどの) ハンドヘルドデバイスや、施工者の全視野を決定するヘッドギアやグラスと統合されることで、このプロセスはさまざまな没入レベルで実現できる。これら拡張されたビジュアルは、建設の安全性やプロジェクトのワークフロー、干渉チェックの評価に使用される。
GAMMA ARは、ARを使って建設現場に3D BIMモデルを重ね合わせ、建設前にエラーを検出し、ミスや関係者間の不要なやり取りを低減する。また、建設前のモデルや設計の視覚化にも使用できる。
現場の進捗管理にGAMMA ARを活用している建設現場チームは、現場で収集したデータをAutodesk Build内のアセットとリンクすることが可能だ。リンクが行われると、現場で収集されたGAMMA ARの進捗データを、Buildで管理されている3D BIMモデル内で直接視覚化できる。
Resolveとの統合を活用すると、チームはAutodesk Construction CloudでホストされたモデルをVRでレビューできる。音声テキストを使用してVR内にコメントを残したり、重要な2Dドキュメントを引き出してモデルを検証したり、スタンドアロンのVRデバイスで大規模なBIMプロジェクトを開いたりすることが可能だ。Resolveは既存のBIM資産を活用し、より安全かつ効率的でサステナブルな施設を建設できるようプロジェクトを支援する。
vGIS.ioは、空間データ (BIM、GIS、3Dスキャン) を建設グレードのデジタルツインとARに変換する。vGISにはAutodesk Civil 3D、Revit、Navisworks用のプラグインが付属し、Autodesk Construction Cloudと直接統合することで、手作業によってAR用のデータを作成する手間を低減、もしくは排除できる。
Autodesk Workshop XRは、バーチャルアバターを使用してBIMモデルを検査し、1:1スケールでモデル内を探索できるプロジェクトチームのラウンドテーブルを作成する。この仮想空間での共同作業中、チームメンバーはモデルの拡大縮小や回転、埋め込まれたデータのレイヤーを剥がして問題の診断を行ない、ワークフローの問題を浮き彫りにできる。Workshop XRはVRヘッドセットを使用することで新たなレベルの没入感と表現力を提供し、アバターで同一チームがモデル内部に入って細部を確認できる。Autodesk Construction Cloudに完全統合されたこのプラットフォームは、技術者にも非技術者にも共通データ環境を提供し、かつてないほどアクセスしやすい、直感的な具体的描写を作成できる。
XYZ Realityを使用すれば、建設チームは現場でBIMモデルのホログラムを3-5 msec以内の精度で表示・配置してリアルタイムで検証を行い、建設の全ての段階で、意思決定を現場で即座に行える。エンジニアリンググレードのAR技術と包括的なプロジェクト管理を組み合わせることで、XYZ Realityはオーナーと施工会社に正確かつ客観的なプロジェクト管理と納品方法を提供し、クルーは最初から適切な建設が可能となる。
5. AI活用でプロジェクトのタイムラインとコストを圧縮
製品分類調達プラットフォームBimmatchはAIを使って特定のプロジェクトに最適な材料や部材を選択し、それをコスト、カーボンフットプリントなどで評価する。このプラットフォーム (Autodesk Revitプラグインとして機能する) は部品表を自動生成でき、手作業による材料や部品の検索時間を75%削減する。
6. 拡張BIM機能によるコストやスケジュールの管理
Autodesk BIM Collaborate、Revit、NavisworksなどのBIM製品は、建設現場から送られてくるデータとコネクトしたAECOプロジェクトの3次元描写として着実に支持を集めている。
またBIMは単なる視覚描写を超え、より複雑な次元 (ディメンション) へと進化している。これらの新たなイテレーションは、より詳細なプロジェクト管理のレイヤーへと移行しているのだ。BIMレベル (ディメンション) は、プロジェクトのスケジュールや予算、その他を包含するよう拡大を続けており、その全てがモデルへ新たなタイプのメタデータを追加している。
例えば4D BIMは一般的にプロジェクトのスケジューリングとシーケンシングを統合するものと定義されており、施工者は建設中の各要素と計画全体との整合性を確認し、正確かつ順序立った設置をリアルタイムで検証できる。
5D BIMはコストデータを統合しており、個々の要素に金額を割り当て、建設現場での変更に応じて予算を更新する。 合弁事業提携のGalliford Try Costain and Atkinsの場合は、60万人にサービスを提供している英国リバプールの、老朽化した浄水場の拡張に5D BIMを使用。共同チームはNavisworks ManageとAutodesk Construction Cloudを使用し、デジタルモデルを用いて建設前に建設順序のリハーサルを行い、モデルからコスト見積を算出して、ポンプ場やその他の要素のバリューエンジニアリングに役立てた。
その上のBIMの次元は詳細までは定義されていないが、6D BIMは建築要素のサステナビリティとカーボンフットプリントの管理、7D BIMは保守、管理、運用データを組み込み、保守スケジュール、保証、検査などを管理することとされている。
最終的に設計、建設、運用の全段階がデジタル上で統合されると、BIMはここで取り上げた他のすべてのテクノロジーを包含し、プラットフォームを通じてつながり、コミュニケーションを行うことになるだろう。
7. ネットワーク化されたデバイスをIoTで追跡
建設のIoTは現場全体におけるハードウェアのネットワーク化であり、コストと時間の効率的な現場運営に必要なデータ調整の基本となりつつある。ロボットや、現場をスキャンして不完全な作業箇所を探すようなドローンが、管理を担うデジタルモデルにその活動を報告するにはIoTが必要だ。ネットワーク化された転倒センサーやその他のウェアラブルが、建設現場をより安全にする。個々の建設工具や車両もIoTネットワークの恩恵を受けることができ、使用状況や保守・修理の必要性を監視できる。
スウェーデンの建設会社スカンスカは、建設現場内における大量運搬車 (トラック) の巡回経路を最適化し、効率とコストを最大化するためネットワーク化する機械学習プラットフォームを開発。ノルウェーのテック企業Ditioと提携し、アイドリングやダウンタイム、燃料使用量、メンテナンス費用を最小限に抑えるよう、トラックルートを最適化するAIプラットフォームを構築中だ。
Tennaは、設備や車両に取り付ける資産追跡デバイスを製造している。ツールとしては、トラックなど大型車両用のフリートトラッカー、大型機械用のワイヤレスGPSトラッカー、小型機器用のBluetoothトラッカー、電動工具など小型アイテム用のQRコードなどがある。管理者は地図上で資産の位置を確認し、過去の使用状況やメンテナンス履歴を見ることが可能だ。
8. 高度な分析ツールでさらに掘り下げる
新しい建設技術の価値は、現場で起きていることの視覚描写にとどまらない。AECOチームのメンバーは、さまざまな文書/契約管理アプリケーションにより、時間やプロジェクトをまたいだ変更の追跡、ベンダーの事前資格審査、ベンダーとプロジェクトのマッチング、労働法の法令遵守の確認、関係者全員との迅速な情報共有が行える。
チームはAutodesk Construction CloudのData Connectorツールを使用することで、基本的なレポートやすぐに使用可能なダッシュボード以外にもデータを活用できる。Data Connectorによりプラットフォームからデータを抽出し、他のビジネスインテリジェンスツールで、よりカスタマイズ性の高いスライシングやダイシングが行える。さらに、Data Connectorを通じてMicrosoft Fabricと能率的に統合して簡単にデータを引き出し、また他のデータソースと組み合わせることで全データの可能性を引き出して、AIの潜在的な成長の基盤を築くことも可能だ。
Toricは建設チームにBIMと互換性のある詳細なデータ可視化ツールを提供し、Autodesk Civil 3DからPinterestまで20以上のアプリケーションのデータを統合して解釈し、直感的に読みやすい形式 (図、一覧、モデル、文章など) で整理する。コーディングの専門知識は不要だ。
9. LiDARとドローンで詳細な3Dモデルを生成
建設現場の効率的な管理を最大限に必要とする施工者にとって、ロボット同様に無人航空機 (ドローン) が重要なハードウェアになりつつある。民生用ドローン市場は爆発的な成長を遂げており、超詳細な現場地図の作成や進捗状況の監視に使用される、汎用性の高いフォトグラメトリアプリケーションが建設現場にも多数進出している。
だがドローンの飛行時間は動力源であるリチウムイオンバッテリー技術によって厳しく制限され、民生用ドローンでは最長でも30分だ。水素発電会社H2GOが小型燃料電池技術をドローンに応用しようとしている理由もそこにある。安全で軽量なH2GOのバッテリーは、一般的なリチウムイオンバッテリーの3倍長持ちし、二酸化炭素を一切排出しない。
新世代のドローンには、固定翼とクアッドコプターの両方を使用して上空から詳細な3Dモデルを作成するようLiDAR技術が組み込まれている。レーザーをターゲットに毎秒何千回も照射して点群からモデルを作成するLiDARは、一般的なフォトグラメトリよりも形状やテクスチャのディテールがはるかに優れており、森林や木の葉が多い場所、地形が複雑な場所での測量に適している。さらに、定期的な検査が必要となる複雑な形式的特徴や独特なアーチ状の要素を持つ建物にはLiDARが必要となる。
DroneDeployは、エンタープライズグレードの現場測量プラットフォームだ。このソフトウェアは、現場、構造物、資産を分かりやすいデジタル描写に変換し、建設チームに貴重な知見をもたらす。マッピング、3Dモデリング、分析、レポートを通じて、DroneDeployは現場全体 (建物内外部と土木工事) の詳細かつ正確なデジタルレプリカを提供し、プロジェクトチームによる措置、時間の節約、予期せぬコストの削減を実現する。DroneDeployからの高解像度の航空地図と360度画像は、Autodesk Build、Autodesk Docs、BIM 360にエクスポート可能だ。
Cintoo Cloudは、地上のレーザースキャンデータをBIMと互換性のあるリアリティデータに変換する。データは共有、注釈、表示、測定、配布でき、スキャンからBIMへのワークフロー (Scan to BIM) に使用できる。各スキャン位置は最高でソースの点群の1/20の3Dメッシュに変換でき、設計ファイルの精度が向上する。プロジェクトチームはスキャン結果、作業ゾーン、スライス、クロップ、プロジェクト全体を元の点群形式で戻し、Autodesk Revit、AutoCAD、Navisworksなどのデスクトップアプリケーションで使用できる。
Hammer Missionsは、地図、モデル、検査報告書用のドローンソフトウェアを製作している。ファサード、屋根、風力タービン、携帯電話基地局、ソーラーパネルなど標準の検査用途群に加え、独自のストックパイル測定機能を提供。この機能により、施工者は航空検査後に数クリックで建設用骨材 (砂、砂利、土、塩) の正確な体積を測定可能だ。このソフトウェアは、指定された現場の自動飛行計画を作成し、その現場の3Dモデルを構築できる。そしてユーザーがストックパイルの境界を設定すると、その体積をソフトウェアが計算する。
10. 次世代プレファブリケーションでより柔軟な設計
レゴのように直感的なモジュール方式で建物を組み立てたいという永遠の夢は、これまでは残念な結果に終わってきた。だが今日のプレファブリケーションのパイオニアたちは、過去のイノベーターたちを阻んだ拡張性の欠如を回避するべく、材料科学とロボット工学に焦点を当てている。
モジュラー建築は、絶滅してなどいない。イギリスのエンジニアリング会社Bryden Woodは DfMA (製造組立容易性設計) プロセスを用いて、ロンドンのヒースロー空港とガトウィック空港のモジュール式通路を建設した。これらは建築現場近くの製造施設で構築され、クレーンで所定の場所に運び込まれた。
一部の新興企業は3Dプリンティングに注目し、モジュール建築に最適な、厳密かつ効率的な標準化と設計の柔軟性の組み合わせを提供している。Mighty Buildingsは、3Dプリントとオフサイトモジュール建築のハイブリッドプロセスを提供している。同社は、再生ガラスを60%使用した独自の低炭素排出建築資材を使用しており、コンクリートの70%の重量で5倍の強度があると謳っている。この材料は紫外線を使って現場で硬化させることで、特注の外観や形状にできる。
Icon Buildは、低炭素コンクリートを使用した3Dプリント製住宅であるCarbon Xを製造している。このコンクリートは、これまで同社が使用してきた配合に比べ、二酸化炭素排出量が42%低い。MIT Concrete Sustainability Hub (マサチューセッツ工科大学コンクリートサステナビリティハブ) によると、これはライフサイクル基準では、既存工法の中でも最も低炭素だという。一般的な現場組立の住宅にも引けを取らず、木造住宅に比べて炭素排出量は2-6%少ない。Icon Buildの最初の3Dプリンティングロボットは平屋用のガントリークレーンだったが、最新バージョンのPhoenixは多階建て用の多関節ロボットアームだ。長さ約33mのこのアームはトラックで現場内外を移動でき、基礎や屋根など建物の外壁以外の要素を構築できる。
これらのテクノロジーが成熟し、技術的習熟度が増せば、個別の製品やツールとしての定義は失われ、最終的には包括的なデータ環境に組み込まれるようになるだろう。BIMはマスターコーディネーターとして、この役割を担うことになる。そうなれば、BIMの機能は視覚ツールから総体的な建設管理組織へと変わっていくだろう。