DfMAとともに成長するプレファブリケーション建設のメリット
建設業界に拡大しつつある DfMA (Design for Manufacture and Assembly: 製造組立容易性設計) は、従来のデザインを2つの重要目標の達成へと導く。それは、製品の製造をより容易なものとすること、そして製造された製品を、より容易に大きな構造体へと組み立てることだ。
このDfMAの広がりが建設業界に大きなメリットをもたらすのは、偶然ではない。DfMAは建設プロジェクトを、より迅速に完了し、作業員にとってより安全で、環境へ配慮したものにすることに貢献する。
DfMAは、MMC (現代的建設手法)、プレファブリケーション建設、プレファブリケーション、モジュール建築、オフサイト建設、オフサイト製造など、数多く存在する実践方法のひとつだ。
これらの用語は完全に同義ではないが、どれも建設のプロセスを製造のように扱うことを意味している。建設プロセスをオフサイトの工場内へと移すことで、CADや3Dプリントなどの最新技術が、ずっと取り入れやすいものになる。このDfMAが建設へもたらすメリットを紹介しよう。
1. DfMA: アーツ・アンド・クラフツ運動のニューバージョン?
DfMAはアーツ・アンド・クラフツ運動に似ており、ものづくりの手法を活用し、探求するデザイナーと建築家が特徴となっている。彼らはデザインをスタートさせる前に、工場でのプロセスと工作機械の機能を理解しておくことが必要だ。しかし、それは建築家やデザイナーのクリエイティブにおける選択肢が少ないという意味ではない。モジュール建築やぷレファブリケーション建築の外観が退屈で型にはまったものだという古い見方は、DfMAの柔軟性とカスタマイズの可能性に取って替わられている。デザイナーやメーカーは、ファサードやビルディング インターフェース、ディテーリングなどに対して、新しい選択肢を開発。施工会社やメーカーとの連携に時間をかけることも有効だ。シングル/マルチユニット住宅や公共住宅における DfMA業務の機会は増大しているからだ。
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2. 最新工法を導入する
建設のオフサイト製造は、先見の明を持つ建設企業各社に、屋外環境では導入が難しい部材の3Dプリント、IoTセンサーへの接続性、CADなど最新工法の導入を可能としている。オフサイト製造は、現場における建設時間の短縮、展開速度の向上につながる。業界団体が2025年には建設プロジェクトの50%でオフサイト製造や3Dプリントが採用されると予測するのも、驚きではない。こうした需要により建設のサプライチェーンは変化を余儀なくさせられるだろうが、ワークフローがさらにデジタルでつながることは、こうした変化が最新の製造サプライ チェーンの効率を手本とする際に役立つだろう。[詳細を記事で読む (英語)]
3. 安全第一: 成功をもたらすプレファブリケーション建設
オフサイトでのプレファブリケーション建設は、リソースと時間を確実に節約し、プロジェクトの完了が33-50%早くなるなるのに加え、オンサイトの建設より安全でもある。どちらの場合にも転倒や落下、過労のほか、物体との衝突、作業員の慢心がもたらす危険は同様にある。だが壁や床、キッチンやバスルーム全体などのコンポーネントのプレファブリケーションを工場で行うことで、建設現場における高所からの転落リスクを低減できる。工場は適切な照明が使用され、乾燥し、換気も行われているなど、本質的に管理の行き届いた環境だ。より多くの作業がプレファブリケーションで行われれば、現場に必要な人手もさらに少なくなり、現場の安全管理に必要なリソースも減ることになる。[詳細を記事で読む (英語)]
4. モジュールの連帯: 業界標準への共同での取り組み
今年行われたModular Building InstituteのWorld of Modular会議では、900以上の建築家と施工者、オフサイト製造メーカーが、米国内のモジュール/オフサイト建設業界のシステムと設計や契約、その他の詳細に関する業界標準とベストプラクティスの確立などのテーマについて議論を行った。こうした業界の主要企業による協調的な努力は、政治的な支援の獲得や融資の確保、大型ホテルチェーンなど継続的な建設を行うクライアントの誘致を目指したものだ。業界全体の利益のためには、より広範な経済圏へとリーチを広げ、さらなる低コストを実現することで、モジュール建築に対する幅広い支持を得ることが必要となる。業界標準が順守され、よりモジュール建築が受け入れられている日本やオーストラリア、欧州の市場に比べると、米国内の市場は、現時点ではやや後れを取っている。ただし、米国エネルギー省のAdvanced Building Constructionプログラムのような新しい取り組みにより、業界のプロフェッショナルを集めた高性能のモジュール/プレファブリケーション建築技術の展開も加速しており、その差は縮まりつつある。[詳細を記事で読む (英語)]
5. そして環境にも優しい
DfMAとオフサイト製造の導入の拡大は、建設プロジェクトの度重なる遅延に悩まされているインドなど、急速な都市化が進む地域において、建設業界が店舗や住居、学校、病院などの増大する建設需要を満たすのに役立つ。DfMAとオフサイト製造で使用される3Dプリント、ロボット工学、BIMなどの先進技術が、これらの工法により可能となるスピード、多用途性、耐久性、安全性、品質といった利点に貢献する。オフサイト製造は、環境へのダメージも緩和する。使用する水が減り、粉塵公害が抑えられ、材料の使用が最適化されるからだ。たとえば、プレキャスト コンクリート ユニットは再利用、ほぼ100%のリサイクルが可能だ。[詳細を記事で読む (英語)]
6. 自動化はプロジェクトを短期化し、良質で環境に優しいものにする
納期の遵守は米国内でも問題になっている。米国は2007年の大不況以降、2011年まで続いた建設業界からの200万人もの人材流出から、まだ完全には回復していない。だがモジュール/プレファブリケーション建築の導入拡大は、建設ワークフローへのさまざまな自動化の導入を容易にし、プロジェクト期間を短縮できる。DfMAの原理に従ったモジュール/プレファブリケーション建築は、その有効性を増し、従来の建設よりも強力なデザイン プランへと導き、プロジェクトの進展をより迅速化させるのに役立つ。建設の自動化は、木材や複合材、プラスチックのより効率的に加工、組み立てにも役立つ。また、そうした材料はコンクリートや鋼以上に、より環境に配慮したものとなり得るのだ。[詳細を記事で読む (英語)]