ダイバーシティ&インクルージョン、ビロンギング (DIB) の成功を導くベストプラクティス
- 職場におけるダイバーシティ&インクルージョンとビロンギング (DIB)とは?
- テック業界でDIBが特に重要である5つの理由
- 職場でDIBを推進するための4つのベストプラクティス
- 多様な人材を魅了し、定着させる方法
- DIBを優先することで人材不足に対処
- 多様で包括的な未来に向けて踏み出し、職場での帰属意識を向上
職場におけるダイバーシティ&インクルージョン、ビロンギングの重要性は、どんなに強調してもし過ぎることはない。多様性のあるチーム作りを優先している企業がその恩恵を被っていることは、調査でも常に示されている。ダイバーシティ&インクルージョン、ビロンギングを受け入れ、それを軸とした戦略を策定している企業は、その業績が業界平均を上回っていることが多い。ダイバーシティの力を受け入れることは、正しい行動をすることに留まらず、実際に利益をもたらす。
その相関関係は、必ずしも因果関係とは一致せず、ダイバーシティの高さが利益の増加と本質的にはイコールではないことは事実だが、ダイバーシティ&インクルージョンの優先により、企業は結果的に好業績へつながる、さまざまな成果を得ることができる。例えば、ダイバーシティを優先する企業は、優秀な人材をうまく採用し、確保することができる。ある報告では、雇用主のダイバーシティへの取り組みに従業員が信頼を置いていると、離職率は87%低下するという。
Glassdoorのレポートでは従業員や求職者の3人に1人 (32%) が、多様性がないと感じる企業には応募しないと示唆されている。この数字は、黒人の場合は41%、LGBTQの場合は41%まで上昇する。企業はダイバーシティを高めるためにさらに努力するべきだと考えている従業員は全体の半数以上で、黒人従業員の71%、ヒスパニック系従業員の72%がそう回答している。
マッキンゼーのレポートによると、52%の従業員がダイバーシティに肯定的な感情を抱いている。ただしインクルージョンへの取り組みは企業にとってより困難なようで、インクルージョンに肯定的な感情を抱く従業員は29%に過ぎない。これは、ダイバーシティへ効果的に取り組むには、それが団結した取り組みの一部であると皆が感じられることが不可欠であることを示している。
ではリーダーは、職場のダイバーシティ向上のために何ができるのだろう?そしてインクルージョンとビロンギングは、従業員やリーダーシップ、ビジネスにどのような利益をもたらすのだろうか?
職場におけるダイバーシティ&インクルージョンとビロンギング (DIB) とは?
ダイバーシティ、インクルージョン、ビロンギングは、このところビジネスのディスカッションで盛んに取り上げられるようになった。それぞれは相互につながっており、ビジネスとミッションにおいて独自の重要性を持っている。だが、その正確な意味やビジネスへの影響は、混同されていることもある。
ダイバーシティとインクルージョンは、関連している用語ではあるが異なるものだ。ダイバーシティは、職場における異なるもののユニークなミックスだと考えることができる。その違いには、目に見えるものとそうでないもの、文化的なもの、組織上のもの、世界観に基づくもの、内面的なもの、外面的なものなどがある。
こうした概念をさらに一歩進めた「ビロンギング」とは、ありのままの自分とその行動が歓迎され、受け入れられ、祝福されている状態を指す。
これらの概念をシンプルに表現すると以下のようになる:
- ダイバーシティは従業員の構成
- インクルージョンは積極的な行動
- ビロンギングは成果
ダイバーシティ:職場にはどのような人がいて、統計上はどのような集団に当たるのか
ビジネスリーダーがダイバーシティについて語る際、通常は従業員の構成から始める。これは米国においては、アイデンティティと、定量化できるダイバーシティ (人種、性別、年齢、国籍) に大きく依存する。これは国や文化の伝統、ニューロダイバーシティ (脳の多様性)、教育や訓練の経験、宗教の多様性など、アイデンティティの目に見えにくい要素を表すこともある。ダイバーシティは、これらすべてと、それ以外の多くの次元で構成されている。
インクルージョン:人々は職場における自分の居場所をどう感じているのか?
ダイバーシティは重要だが、その力はインクルージョン無しには実現できない。インクルージョンは、リソースや機会、環境全体への公平・公正なアクセスを生み出すことに焦点を当てた、意図的な行為を必要とする。
インクルージョンは努力を要するものだ。社内の誰もが目標達成や成功のチャンスが得られると感じられるよう、企業は機会への公平なアクセスを生み出すためにリソースの配分、調整を行う必要がある。
インクルージョンの促進方法を理解するため、次のような質問を考えてみよう:同僚が食事の席で意見を共有するよう促すような行動とは?業務のあらゆるレベルでインクルージョンを確保するために、企業はどのような制度的慣行を導入できるだろうか?
ビロンギング:従業員は経営陣や同僚、より広義のビジネスコミュニティから関心を持たれ、受け入れられていると感じているか?
意図的なインクルージョンが、ビロンギング文化の構築を支援する。ビロンギングにより、多様な視点と、それを共有する人々に対する真の評価が確保される。インクルーシブな企業であれば、従業員は自らの貢献が有意義であり、自分のアイデアが会社の成功のために重要だと感じることができる。これにより、彼らは自分たちが会社の将来にとって価値ある大切な存在であると感じることができる。
ビロンギングを評価するには、次のような質問を考えてみよう:従業員は、職場でありのままの自分を出せる居心地の良さを感じているか?従業員は、サポートを得ている、評価されていると感じているか?
企業が多様な人材を採用し、包括的で公平な機会を拡大するという取り組みを行っていれば、そのすべての取り組みの重要な成果であるビロンギングが達成されるだろう。
テック業界でDIBが特に重要である5つの理由
テック業界でDIBがもたらすメリットは、財務上の数字をはるかに超えるものだ。調査によると、ダイバーシティは企業に競争上の優位性、市場シェアの拡大、イノベーションの増加など、次のような利益をもたらす。
1. 製品開発と問題解決における、より迅速かつ良好なイノベーション
人間中心設計のような開発コンセプトは、まさに人間に依存している。公平なデザインは、多様な視点と参加者がデザインと創造のプロセスに貢献することで生み出される。
つまり、独自の視点やバックグラウンドを持つ人材をより多く抱えることが、より優れた製品、問題解決、企業の可能性につながる。
テック業界のダイバーシティを高めることのメリットは多いが、最も重要なのがイノベーションと言える。問題解決、製品開発、アプローチにおけるイノベーションは、テック企業が市場で競争力を維持し存在感を保ち続けるために不可欠だ。ビロンギングを育む環境に支えられたダイバーシティは、組織に異なる視点とスキルセット、創造的なビジョンをもたらす。
2. 将来の従業員や顧客を魅了する競争上の優位性
多様で有能な人材は、現在の従業員以上のことを語る。多様性を備えた企業におけるイノベーションの成功は、将来のキャリアとしてその企業を考慮する人や、顧客になることを選ぶ人にも響くストーリーとなるのだ。マッキンゼーのアンケートでは回答者の40%近くが、インクルージョンの欠如を感じた企業への興味を失ったり、仕事を辞退したりしたと答えている。
さらにGlassdoorの調査では、求職者と従業員の76%が、職場の人材の多様性は企業や仕事のオファーを評価する際に不可欠な要素だと回答している。つまり、企業がダイバーシティを優先しているかどうかにかかわらず、企業が採用しようとしている人材はダイバーシティを優先している可能性があり、それは優秀な人材を獲得するための競争力に影響を及ぼしているということだ。
また社内のダイバーシティから潜在的顧客に、その企業の理念や企業が何をもたらすかも伝わる。
ほかの条件が同じであれば、ダイバーシティ&インクルージョンを重視する企業の方が、他の企業には不可能な方法で創造、革新、実行する能力によって、業界内で競争力のある差別化を生み出すことができる。
3. より質の高い意思決定
歴史的に見ると、テック業界の主流は白人、男性、STEM分野で占められてきた。役員会議だけでなく工場内ですらダイバーシティが欠如していることが、技術革新の応用手法や、今後のイテレーションのための選択手法における不公平につながっている。つまり人間は、自分が理解できないもののために設計することは不可能なのだ。
だが自社の顧客のダイバーシティを体現する企業は、よりスマートで、特に顧客のニーズに応えるような製品を作る上で有利な立場にある。その場にステークホルダーがいて、影響やニーズ、成果を忠実に伝えられるからだ。
4. 財務実績の向上
ダイバーシティ&インクルージョンを戦略的に重視し、うまく運営、管理している企業は、利益率が高い。マッキンゼーによると、経営陣の性別の多様性が上位1/4の企業は、平均以上の利益率を持つ可能性が下位1/4の企業より25%高い。この数字は、2017年の21%、2014年の15%から上昇している。
利益率における好結果をもたらすのは性別の多様性だけではない。民族的・文化的多様性が上位1/4の企業は、下位1/4分の企業より利益率が36%高い。
5. グローバル市場におけるブランドポジションの向上
世界を反映している労働力は、ダイバーシティに乏しい労働力より迅速、スマート、機敏に反応する。インクルージョンとビロンギングを育んでいる企業は、革新と適応を進めざるを得ない人々を、ダイバーシティに乏しい企業にはない手段で支援できる。また誰もが自分のアイデアが評価され取り上げられると感じられる会社では、イノベーションが多様な顧客の理解と対応によって競争力を強化する。
職場でDIBを推進するための4つのベストプラクティス
職場におけるDIBの利点を把握できても、それによって実現が容易になるとは限らない。マッキンゼーの調査によると、こうした分野への関心は強いものの、進展は遅いのが実情だ。だが、こうした変革の導入に成功している企業における共通点には、次のようなベストプラクティスが含まれる:
1. ダイバーシティ&インクルージョン戦略を展開する:カルチャーコードを策定する
この最初のステップには、ペンと紙という、2つのおなじみのビジネスツールが必要となる。ここでの明確な原則は、業務に関わる人々に目標を与え、企業文化に対する明確な期待を提示するということだ。他のビジネス分野と同様、文書化された戦略はゴールポストや目標の定義、明確さと整合性を生み出すのに役立つ指標を提供する。行動を定義し、会社の運営方法を定義することが、会社の価値を定義する。
単に文化について語るだけでなく、リーダーを含めた全員が、その文化に従って行動しなければならない。文化が人々の行動に浸透し、それを企業が実践やプロセスで運用できるようになれば、大きな変化を目にできるだろう。インクルーシブであることを語るだけでなく、それがインクルージョンへの取り組みと同時進行でなければ、人々がそうした選択を期待しているだけになってしまう。
2. 社内に従業員リソースグループ (ERG) を設置する
ERGは、従業員が集まってコミュニティと帰属意識を構築し、会社のダイバーシティ&インクルージョン戦略を支援するための手段だ。ERGメンバーそれそれに、自分たちが共有し、他の人たちと共有したいと考える、独自のダイバーシティ要素がある。
例えばオートデスクには従業員リソースグループの強力なネットワークがあり、そこに先ごろMIND Networkが追加された。これは、メンタルインクルージョンと障がい者意識に焦点を当てたERGだ。先住民のためのネットワークも追加された。
企業は社内のERGと協力し、より広範なダイバーシティとビロンギングのイニシアチブにおける戦略的パートナーとすることができる。ERGに投資して裁量権を与えることで、ERGはコミュニティに働きかけ、その使命を優先する非営利団体を支援することができる、また、こうした重要な団体のリーダーである従業員には、リーダーシップ開発と授賞の機会も提供できる。これらの従業員は、多様なコミュニティへの働きかけに重点を置いた採用活動も支援できる。
3. ダイバーシティ&インクルージョン戦略を採用に組み込む
インクルーシブな採用は、このテーマの重要な要素だ。
この実践には、ダイバーシティに配慮したパネル面接や、雇用担当者や人材採用担当者に対するインクルーシブな採用のトレーニングが含まれる。候補者がインクルーシブな考え方を持っているかどうかを、面接で質問して評価しよう。インクルージョンが会社にとって重要だと考えるなら、それは採用する人材にも重要であるべきだ。
4. リーダーシップからのサポートを得る
ダイバーシティ&インクルージョンへの取り組みは、トップダウンとボトムアップの両方でなければならず、その計画とイニシアチブをリーダーが受け入れることが極めて重要だ。 彼らは旅のパートナーだと感じるべきだ。リーダーと早い段階から頻繁に関与し、彼らのフィールド会うことが重要だ。
会議の進め方から着手するとインパクトが強い。大抵の会議は、その場で最も地位の高い人物がリードし、議題を設定して、チームが慣れ親しんだ方法で行われてきた。よりインクルージョンに配慮したミーティングは、例えばミーティングをリードする担当者をローテーション制にする、出席者全員が必ず発言するようにする、ミーティング内容に関する重要な詳細を事前に共有して全員に情報について熟考し処理する機会を与える、といったものになる。
多様な人材を魅了し、定着させる方法
ダイバーシティには、変化し続ける、あるいは成長し続ける企業のニーズを満たすサイクルがある。それは、企業を強化する有能な人材を引き寄せ、定着させ、向上させることだ。次世代のイノベーターの定着、支援、投資は、多様な人材を育成する上で重要なステップだ。
自社のブランドと世評を評価する
ダイバーシティへの取り組みは、誰かが会議室に足を踏み入れたり求人に応募したりする前から始まっている。
多様なコミュニティの中で、組織をどうブランディングするのかを考えることは重要だ。例えば有色人種の人々が組織に魅力を感じるような価値提案を定義することは、人材市場においてある程度の差別化を生み出すことを意味する。しかし、企業と潜在的な従業員との間のこのようなつながりは、オンライン ネットワーキング ウェブサイトや求人情報サイトなどの、従来と同じ場所で生まれるとは限らない。
代わりに次のようなことを考慮してみよう。
- 現従業員は企業の最強のリクルーターであり、これはダイバーシティ&インクルージョン活動においてビロンギングが非常に重要な目標となる、もうひとつの理由でもある。
- オートデスクの場合は、Lesbians Who Tech、AfroTech、Fairygodboss、Techqueria、Power to Flyなどの外部組織と提携して、より幅広い求職者にアプローチしている。これらのグループは、求める候補者の理解、育成、支援する取り組みに精通している。
- Autodesk Tech Programを通じて、オートデスクは米国の歴史的黒人大学4校 (HBCU) と連携している。このプログラムは学生に奨学金を支給し、企業技術事業部門のメンバーとのメンターシップを提供する。
- 有色人種のための職能団体は、貴重な求職者の発見・雇用において重要な役割を果たす可能性があるある。同じアプローチは、専門学校、単科大学、総合大学などにも当てはまる。
組織全体のあらゆるレベルで人材を育成する
人材への訴求と雇用の方程式の最後に来るのは、従業員の雇用定着の取り組みだ。人材採用に多大な労力と戦略を費やすのであれば、その労力と戦略は、彼らが採用され配属された後も継続されるべきだ。
多様な労働力の創出に注力するだけでは、十分ではない。従業員の定着、能力開発、そして従業員の日々の経験を形作る環境全体にも焦点を当てる必要がある。
このような大切な従業員の定着に役立つステップには、次のようなものがある。
- すべてのリーダーシップレベルにおいて多様性に注力する。 ダイバーシティがリーダーシップのあらゆるレベルに反映されていなければ、従業員が自らのリーダーシップとしての将来を描くことは難しい。
- 障壁を取り除く。 人は皆、自分の居場所、自分が成長、発展し、完全な自分でいられる場所を求めている。企業やリーダーは、例えば有色人種やニューロダイバーシティ当事者が成長やインクルージョンの障壁を経験していることを理解することが重要だ。では、その障壁を取り除くために企業文化全体をどう調整すればいいのだろうか?
- ビロンギングを育む。多様なバックグラウンドを持つ有能な人材は、自分の可能性を最大限に発揮できると感じれば、その会社に留まるだろう。そのためには、あらゆるレベルで企業による育成と促進が必要だ。ビロンギングが感じられれば、人々は自分の壁を取り払い、安心してリスクを冒したり、ミスを招いたり、普通なら「受け入れられるかどうか分からない」と無視するような考えを取り入れる。
- 雇用を奨励する。 帰属意識を持つ社員は、その会社にとどまる可能性が高く、その会社で働くようリクルート活動を行う可能性も高い。強い帰属意識を感じている従業員は、知人が成功を収めることを望み、また自らが属するコミュニティと機会を共有したいと願う。こうして引き寄せと定着のプロセスが再び始まる。
DIBを優先することで人材不足に対処
製造、AEC (建築・エンジニアリング・建設) 企業が人手不足に直面していることは、ビジネスリーダーにとって驚きではなく、この状況はかなり前から続いている。
これらの業界は、これまで多様性にも欠けていた。アメリカ合衆国労働省労働統計局によると、2021年には、建設業に従事するプロフェッショナルのうち女性はわずか9.9%に過ぎない。女性エンジニア協会によると、機械工学士のうち女性はわずか9%だ。
採用でDIBを優先する取り組みは、こうした人材不足に対処し、世界とコミュニティの多様性をより明確に反映した企業を生み出すことに大きな役割を果たす。 このような努力は長期的な利益ももたらし、新しい世代の未来の従業員の採用をスタートさせていることになる。継続的な取り組みは、数年、さらには何十年にもわたって効果をもたらす可能性がある。
製造およびAEC業界における人材の配置や確保への関連からダイバーシティを優先することは、人材の確保ルートを多様化するための将来の人材プールへの投資に他ならない。戦略的で一貫したアウトリーチへの注力は、どこに目を向けるかだけでなく、業界、現状、将来についてどう考えるかということでもある。
テクノロジーは、製造とAECの仕事とキャリアを一変させた。建設業界のすべての仕事が、ハンマーと作業帽での作業を意味していた時代は遠い昔の話だ。 この変革は、成功に必要な学位や学歴を見直すよう、業界にも影響を与えるだろう。
オートデスクのNEXT LEVELプログラムもそのような取り組みのひとつだ。このプログラムは、少数派のバックグラウンドを持つ優秀かつ多様な求職者のパイプライン構築を目的としたものだ。NEXT LEVELは、ERGと、次世代のリーダーとなりうる有能な人材からなる強力な控え要員ベンチを作るという目標から生まれた。
次のような戦略が役立つかもしれない。
- 雇用数が少ないグループ向けプログラムを開発する。2021年には、建設分野のプロフェッショナルのうち黒人はわずか6.2%、アジア人はわずか2%だった。建設業界への関心を高め、人々を惹きつけるようデザインされた人材採用計画は、この分野を従来は接点のなかった人々にも開放できる。
- 非営利団体とのパートナーシップに資金を提供する。一般的な組織だけでなく、非営利団体や地域団体も視野に入れよう。これまでの仕事内容とは一致しなくても、未来の従業員の発見に役立つような組織を探そう。こうした組織は、トレーニングやメンターシップを通じて人材の育成、形成が可能だ。
- 戦略的かつ一貫したアウトリーチに取り組む。企業の市場は急速に変化しているため、アウトリーチやネットワーキングの取り組みに万能なアプローチはない。求職者自身と同様、企業も機敏かつ継続的な努力を続けなければならない。これは、人材採用目的で達成できる以上の、長期的かつ継続的な組織への支援を意味する場合もある。
- 離職の理由を理解するよう努める。オートデスクの例では、退職理由を理解し、それを緩和するべく、Care (Career Advancement Retention Effort: キャリアアップ雇用定着活動) 面談が行われる。
- ハイブリッドワークフォースの開発を検討する。リモートワークとオフィス勤務を融合させたハイブリッドワークフォースは、多様な求職者を惹きつけ、社内のインクルーシブネスを促進する能力が評価されている。ハイブリッドモデルは、柔軟な働き方の選択肢を提供することで、多様なニーズ、背景、能力を持つ個人に対応できる。マッキンゼーの調査によると、リモートワークの選択肢は、女性、有色人種、障がいを持つ人々など、過小評価グループの求職者に高く評価されている。ハイブリッドモデルはまた、障がいを持つ人々や介護責任のある個人が労働力に完全に参加する権限を提供し、競争条件を平準化し、インクルーシビティを高める。
多様で包括的な未来に向けて踏み出し、職場での帰属意識を向上
企業が、その業務を完全に遂行できるペースで人材を採用できれば、過小評価グループの完全な代弁は達成されたことになる。しかし、そこに到達するには、教育、訓練、アウトリーチ、メンターシップを通じて、企業や組織が人々を徹底的にサポートする必要がある。これは、実際には出願段階のずっと前から始まっている。
またこれは、従業員がそれぞれの仕事において成功を収めることができるよう総体的な戦略を立てること、そして、ダイバーシティの側面に配慮され尊重される環境を作ることから始まる。そうした多様な視点や経験をうまく融合させることができれば、社内のあらゆる業務に反映されるようになる。
どこに住んでいようと、誰であろうと、どのようなバックグラウンドを持っていようと、ダイバーシティのどういった側面を代表していようと関係なく、すべての個人が真に歓迎され、認知されるとき、オートデスクは企業として成功したと言える。彼らには発言権があり、それは尊重されるべきだ。ありのままの自分を隠すのではなく、ありのままの自分でいられるよう導く環境にいれば、最高の仕事をすることができる。