ヨーロッパ南天天文台が超大型望遠鏡で目指す宇宙の謎の解明

ヨーロッパ南天天文台の超大型望遠鏡は、これまでにないビジョンにより天文学に革命をもたらし、宇宙とその起源を細部まで解明するとともに、探査における限界を打ち破るものになるでしょう。

Autodesk Video

2024年10月9日

 
  • ヨーロッパ南天天文台 (ESO) の超大型望遠鏡 (ELT) は、史上最も野心的な天文学プロジェクトであり、宇宙の比類ない眺望を提供することで、人類が宇宙で孤独な存在であるのかを最終的に解明する手助けとなる可能性がある。

  • 5枚の鏡による光学設計を採用し、高さ80mのドームを備えたELTは、これまでの望遠鏡の10倍の規模であり、この壮大なビジョンを実現するには、世界中の何千人もの専門家たちのシームレスな連携と最先端のテクノロジーが必要とされる。

  • ESOのチームは、この画期的な望遠鏡の建設という複雑な課題にAutodesk Construction Cloud、Fusion Manage、Inventor、Revitなど先進的なツールで、仮想モデルとデータ統合を活用して取り組み、将来の技術的驚異への道を切り開いている。

宇宙に存在するのは人類だけなのだろうか?

この疑問は何世紀にも渡り、夜空を見上げる人間たちを悩ませてきた。

人類はその歴史を通じて、宇宙の探査を科学技術の進歩とともに続け、宇宙の謎に迫る答えを見つけ出そうとしてきた。ヨーロッパ南天天文台 (ESO: European Southern Observatory) の超大型望遠鏡 (ELT: Extremely Large Telescope) で、人類が宇宙に存在するものを従来よりも遥かに詳しく観察できるようになることによって、そうした以前からの疑問の答えを見つけられるかもしれない。「世界最大の空の目」と称されるELTは、5枚の鏡で構成された光学設計により、これまで目にしたこともないほど詳細な宇宙の姿を映し出すだろう。ESOは、その本部をドイツのミュンヘンに置いているが、このELTが設置されるのは、チリにある標高が高く乾燥した人里離れた山、セロ・アルマゾネスだ。

天文学、建築、エンジニアリング、建設、設計、製造など、さまざまな分野にわたる何千人もの専門家が世界中で協力して完成させるELTは、驚くべき偉業となる。この現代の技術的偉業の内容を、ビデオで詳しく紹介しよう。

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ゲルド・ヤコブ氏 (ESO機械工学主任): ELTは 宇宙をかつてないほど深く、鮮明に観察可能にするでしょう。

ロナルド・グスマン・コラソス氏 (ESO望遠鏡・大型構造グループ主任): この巨大な構造物はヨーロッパ全土で建造され、輸送されて、何もない砂漠に設置されます。

ヤコブ氏: 「超大型望遠鏡」を略したELTは、ESOがこれまでに手がけた中でも最も野心的なプロジェクトです。ELTに関連するあらゆる作業が、従来の天文学のどの分野と比較しても10倍の規模になっています。

グスマン氏: 私はロナルド・グスマン、機械エンジニアです。ELTプロジェクトに関わるようになったのは、望遠鏡・大型構造グループの責任者になってからです。

ヤコ氏: 私はゲルト・ヤコ、ESOで機械工学部門の責任者を務めています。ESOは南半球の天文学を研究するヨーロッパの組織です。これほど大規模なプロジェクトを行うには、あらゆる分野の専門家の協力が必要です。そのために 世界最大の望遠鏡を望む天文学者と、それを作り上げるエンジニアがいます。

グスマン氏: 関連する組織や企業、研究所などを含めると、このプロジェクトに数千人が携わっています。

ヤコ氏: ESOではオートデスク製品を長年使ってきました。このELTの建設では多くのステークホルダーの間でデータの世界的なコミュニケーションを行うため、Construction CloudFusion Manageなど、他のオートデスク製品も組み合わせることが必要になったのです。ELTには何百万もの部品があります。その建物は高さ80mの巨大なドームです。内部には主鏡を構成する天体観測機器があります。システムの感度を高めるため、そのすべてが極低温に冷却されています。ELTではすべてが従来の10倍の規模であるため、さまざまな課題が生じます。

グスマン氏: 現在、Inventorを社内での開発と設計に使用しています。その後、データをInventorからRevitに転送することで、望遠鏡の完全なモデルの作成に役立ちます。仮想モデルを作成することで、この望遠鏡のサイズを理解し、実感できます。干渉のチェックも可能で、望遠鏡の将来の姿も確認できます。3ds Maxはアニメーション作成やVR内でモデルを使う際のサーフェス改善に利用しています。

ヤコ氏: これまでの成果には非常に満足しています。まだ先は長いですが、ESOのような環境で働けることを本当に誇りに思っています。

グスマン氏: この望遠鏡のすべての分野は本当に魅力的で、ヨーロッパ中、そして世界中の同僚たちと国際的な環境で仕事ができています。この望遠鏡が稼働して、設置されたレーザーが空間に発射されるのを目にするのが本当に楽しみです。それは経験しうる最高の瞬間になるだろうと思います。

ヤコ氏: 最もエキサイティングな疑問に答えが出ることを期待しています。宇宙は最初の段階でどう形成されたのでしょうか? ブラックホールはどのようなものなのでしょうか? そして、我々は宇宙で孤独なのでしょうか?

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