アンドリュー・アナグノスト (オートデスク 社長兼CEO): AEC = 建築・エンジニアリング・建設業界は非常に細分化されており、各関係者間の信頼関係が希薄です。エコシステムが破綻していることは誰もが認識しています。しかし政府や個人が働き方を変えることを求めているだけでなく、テクノロジーでプロセスの実際の流れを変えることが模索されています。
エイミー・バンゼル (オートデスク AEC部門上席副社長): この業界における課題のひとつは、従来から誰もが個別にプロジェクトへ携わっていることです。数千人の関係者、あまたの企業がプロジェクトに携わり、誰もが個人的にデータを所有しています。そのため、どれが最も正確で、最新のプロジェクトデータなのかを見極めることが非常に困難です。
ある調査によると、データの約80%が2025年までに使われなくなりますが、そのデータをクラウドに集中させ、より粒状化して管理すれば非常に価値のあるものになり、その中央モデルに誰もがアクセスできるようになります。自らのものだったデータの所有権を維持したままでプロジェクトが進行すれば、ナレッジとして役立つようになります。
マイク・ヘイリー (Autodesk リサーチ部門上級副社長):建設においては、常に多くのデータがあちこちに散らばり、ファイリング キャビネットやスプレッドシート、クラウドシステムに収められてきました。このような環境で複雑な問題を解決するのは非常に困難です。データの流れがさまざまな場所に分散してしまうからです。クラウドプラットフォームこそが、この問題の解決策であると考えています。
バンゼル: より良い決定を、プロセスの初期段階で行うことができるようになります。それは交通機関や建物、水の分野でも実現できるでしょう。
ヘイリー: 現在のワークフローには、往々にして退屈な作業が含まれます。ファイルを特定の形式で保存したり新しいソフトウェア パッケージを読み込んだりする必要があります。現場で働く関係者がモバイル機器から、私が今置いたばかりのデータにアクセスできるのかさえわかりません。こんなことは、ワークフロー主導クラウドベースの未来ではなくなります。
バンゼル: つまり、より良い建物を建てることができ、それはより持続可能かつセキュアで、地震や洪水などの災害に強い建物です。そのためには多くのコンテキストや情報をプロセスの最前線に集める必要があります。それにより適切な判断を行うことができるようになり、アセットを使用する人たちは何世代も役立てることができます。
アナグノスト: クラウドでコネクトされた世界では何ができるでしょうか。特にインテリジェンスに裏打ちされている場合、情報の流れに目を向けると、意思決定をプロセスの非常に早い段階で表明し、何らかの決定をほんの少し変えるだけで絶大な効果がある部分を特定することができます。
バンゼル:労働力不足はお客様が抱えている最大の課題のひとつであり、場合によっては人手が足らずに仕事を引き受けることさえできません。労働力不足による問題は、AIで確実に解決できるものもあります。
アナグノスト: たとえば以前は15人や10人が必要だったプロジェクトを5人のグループで行うことができたらどうでしょう? 50人の会社でも、もっと多くのプロジェクトを実行できるということなのです。
ヘイリー: 根本的にクラウドベースのプラットフォームへの移行を促すのは、実はAIだと考えています。インフラを大きく変えるために必要なことは、効率化の段階を飛躍的に上げていくことです。5%や10%の効率化ができても、誰も動かないでしょう。しかし500%や1,000%の飛躍を目にすれば取り組む気になるでしょう。エコシステムにおいて、AIはこの飛躍的効率化を成し遂げることができる唯一のツールです。
バンゼル: 建設業界の規模と建設が必要なすべてのもの、既に建設され改善の必要があるすべてのものを考えると、お客様をオートデスクのソフトウェアでサポートすることは非常に大きな影響力を持つことになります。それを新しいクラウドプラットフォームやAutodesk Platform Servicesで実現します。オートデスクは、お客様がデータの活用方法を再創造するサポートをしています。お客様が生産性の高いクリエイティブな環境で働き、プロジェクトを通して、より良い世界を実現する未来を見据えているのです。