Cortex Design

Cortex Design は、ヒューマン セントリックかつ包括的な製品開発アプローチで、さまざまな企業とコラボレーションを行い、研究室レベルの精度を誇る家庭用の新型コロナ迅速検査キットの開発に成功しました。 

Cortex Design

研究分野:
製造

所在地:
トロント

Cortex Design はコンセプトを実現する会社です。オートデスク テクノロジー センター Outsight Network のレジデンス メンバーで、主に医療・ライフ サイエンス業界の発明家や企業と連携して活動しています。オンショア/オフショアで委託製造サービスをサポートしたり、成長し続けている再構成可能な自社施設でパイロット テストを実施しながら、コンセプトの検討、ラピッド プロトタイピング、規制に関するガイダンス、製造などのサービスを包括的に提供しています。その幅広いサービスのベースとなっているのは、エスノグラフィック リサーチ(民族学的なアプローチによるフィールドワークで人間の行動様式を観察および分析し、消費者文化を研究調査すること)です。この研究調査によって、人間の体験に対する潜在的な欲求と、有望なテクノロジーとを結びつけています。

たとえば同社は、同じく Outsight Network のレジデンス メンバーでトロントを拠点とする Longan Vision 社と提携し、拡張現実(AR)バイザーの Fusion Vision System(FVS)を強化するための研究開発に取り組みました。この FVS バイザーを消防士が装着すると、赤外線画像、環境分析、遠隔からの共有画像によって、煙の中でも視界を確保できます。Cortex Design 社は、消防士のニーズと各種規制を分析後、FVS のプロトタイプを構成し直しました。その結果、Longan Vision 社はさらなる資金調達に成功し、International Design Award の金賞を受賞しました。

Cortex Design 社はまた、新型コロナ ウィルスのパンデミックが生じた緊急の局面で、テクノロジー センターに属するコミュニティのサポートを受けながら、専門知識を発揮して危機的な状況に役立つ技術の開発に貢献しました。2020 年春、Outsight Network のレジデンス メンバーである Raytheon BBN Technologies 社、Cortex Design 社、Formlabs 社の 3 社は、Raytheon C-FAST の開発に共同で着手しました。C-FAST は、検査ラボと同等精度のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)検査に、スピーディーで使いやすいポイント オブ ケア(POC)抗原検査を組み合わせた、家庭用の新型コロナウィルス感染症の迅速診断キットです。

検体採取において、鼻腔ぬぐい液は家庭ではうまく採取するのが難しく検査精度が下がるので、C-FAST では鼻腔ぬぐい液ではなく唾液を検体として使用します。利用者は採取した唾液を密封式の使い捨てカートリッジに溜め、これを再利用可能なマイクロ流体チャンバーで分析します。

C-FAST プロジェクトでは、カートリッジを密封するためのエラストマー ガスケットなど、いくつかの面で支援が必要でした。そして Formlabs 社はちょうどその頃、自社の Form 3 プリンターでエラストマーを 3D プリントするための新素材を開発したばかりでした。そのおかげで Cortex Design 社はエラストマー ガスケットのプロトタイプをすばやく設計し、約 20 種類を試作することができました。一般的なプロセスでプロトタイプの作成を海外の試作品ベンダーに発注した場合、1 種類につき 1 週間以上かかります。さらにパンデミックの影響でサプライ チェーンが滞っていたこともあり、試作品 1 つにつき 2 ~ 3 週間かかるだろうと Cortex Design 社は推測しました。しかし同社はその代わりに、テクノロジー センターの Form 3 プリンターを使用し、さらに同じく Form 3 を所有しているパデュー大学のプロジェクト メンバーの協力も得ながら、各試作品につき一晩から数日間でプリントすることができました。

Cortex Design 社は、概念設計から、マイクロ流体と回路基板の設計、プロトタイプの作成、テスト、規制遵守、製造サポートまで、C-FAST プロジェクト全体を通じて貢献しました。C-FAST は現在、商品化に向けて準備中です。商品化されれば、検査ラボ レベルのコロナ ウィルス検査を自宅で低価格で実施できるようになります。

その他のユーザー事例

  • 米国帆船協会

    米国帆船協会は、必要な基準を満たすボートを組み立てやすくする測定治具と試験治具を多数設計しました。

  • Trexo Robotics

    Trexo の共同創業者である Manmeet Maggu 氏は、甥が残りの人生を車椅子で過ごすことになったとき、甥の歩行をサポートする装置を作ることを決断しました。

  • Perkins + Will

    Perkins + Will のテクノロジー ラボは、同社の過去の研究を活用し、さまざまな部門が一丸となって専門知識を駆使しながら、1 年間をかけて巨大な木材とロボットを使ったファブリケーションの研究に取り組みました。

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レジデンス プログラムでは、建設、製造、最先端テクノロジーの各分野で未来を見据えた研究や業務を進めているチームに、オープンなワークスペースと設備が提供されます。