2022 年の Fusion 360 を振り返る:製品のハイライトトップ 5

Keqing Song 3月 22, 2023
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この記事では、2022 年の Fusion 360 を包括的に振り返ります。昨年、Fusion 360 の 5 つの分野に最も大きなインパクトをもたらした新機能をご覧ください。業務に役立つさまざまな機能が追加されました。 

去年一年を振り返りつつ、皆様と一緒に達成できたことや、リリースされた数多くの製品について思い返すと、実にわくわくしてきます。画期的な新機能や新たな統合機能が追加され、たくさんのワークフローが改善された、まさに「イノベーションと成長」の 1 年間でした。

設計・製造業界は急速なペースで進化し続けています。そしてオートデスクは、ユーザーの皆様が高い競争力を維持できるように、全力でサポートに取り組んでいます。最近は、サプライ チェーンの不安定化や顧客期待値の高まりといった課題が持ち上がっている一方で、テクノロジーも急速に進化しています。そうしたすべてのことに対処するのはなかなか困難かもしれませんが、これは同時に成長の大きなチャンスにもなります。オートデスクは去年、主に次の 3 つのことにフォーカスして取り組みました。

  1. 製造ワークフローを合理化・統合することで、俊敏性と生産性を高める
  2. 自動化機能を構築することで、ユーザーの時間とリソースの節約をサポートする
  3. パートナーシップを通じて機能を拡張し、ユーザーの可能性を最大限に引き出す

それでは、2022 年に Fusion 360 の 5 つの分野において最も大きなインパクトをもたらした新機能を振り返ってみましょう。


設計者/エンジニア向けの、直感的なツール

成功を収めるために重要なのは、やみくもにハードワークを頑張ることでなく、スマートに仕事することです。ソフトウェアができることは、ソフトウェアに任せるのが良いのです。そこでオートデスクは、自動化やインテリジェンスの開発に特にフォーカスして取り組みました。設計で適切な意思決定を行い、多くの設計案を生成するために役立つ機能です。

自動モデリング

自動モデリングは、昨年リリースされた中でも特に素晴らしい機能の 1 つです。皆様が共有してくださったさまざまな設計コンセプトを目にして、私たちはとても感激しました。Fusion 360 ユーザーであり、2017 年の板金設計チャレンジの勝者でもある Eric Treblay 氏はこう話します。

「Fusion 360の自動モデリングは、非常に優れたジェネレーティブ デザイン ツールです。スピーディーな計算機能で数多くのパーツ設計を自動生成し、すばやく効率的に比較検討できます。私はここ数年、ジェネレーティブ デザインが生み出すパーツの形状をますます気に入っています。Instagram でもよく使用事例を目にするようになりました。未来は間違いなく、ここに向かっています。」

オートデスクはこれまで時間をかけて、ユーザーに対するヒアリングとエクスペリエンスの向上に取り組んできました。そして遂に、自動モデリングのプレビューが完了しました。自動モデリングは現在、[デザイン]作業スペースの公式ツールとして全ユーザーに公開されています。(個人利用版は除く)

2022 年は、図面機能が大きな進化を遂げました。メジャー アップデートでは毎回、ワークフローを改善する新機能や、ユーザーの作業が大幅に楽になる機能などが追加されました。

穴テーブルを使用して穴の仕様書を作成できるようになったほか、変更履歴の管理ツールが改善され、補助投影ビューを作成する機能が追加されました。円弧の長さや折り曲げ半径寸法も指定できます。また、表題欄内でモデルのプロパティ単位を編集することもできます。

2022 年の終盤には、線種、幅、色を変更できるように機能が改善されました。テンプレートや他の図面からドキュメント設定を取り込んだり、シートを複製したりもできます。さらに、ユーザー待望の、高度な印刷コントロールも遂に実現しました。

ボリューム ラティス

ボリューム ラティスを使用すると、その名のとおり、モデル内部のボリュームをラティスに変換できます。この機能のプレビューが完了し、Product Design Extension の一部としてリリースされました。

ボリューム ラティスは、ラティスを柔軟に自動作成できる機能です。セル形状をカスタム設計したり、ソリッドのグラデーションを作成したり、メッシュを生成せずに構造を直接スライスしたりできます。また、シームレスに統合された積層造形ツールを使用して、ラティス構造のモデルを[製造]作業スペースでそのまま使用できるようになりました。Fusion 360 ユーザーである @hanbeom_na 氏は、素晴らしいラティス構造のミッドソールを設計しました。リンクをクリックしてスライド画像をご覧ください。

コミュニティ スポットライト:ボリューム ラティス ツールを使用した @hanbeom_na 氏の設計が Instagram で話題になりました。

コンカレント アセンブリ設計

オートデスク ユーザー様の中には、日本国内のみならず、世界中の拠点を持つチームと一緒に共同作業している方も数多くいらっしゃいます。そこで「アセンブリ設計の共同作業をもっと簡単に行えるようにしたい」という思いが、オートデスクの開発を推進する原動力となりました。最新機能の[コンポーネントを置換]と[外部コンポーネントを解決]を使用すると、チームによる設計プロセス全体の変更管理を簡単に行えます。

使いやすさとパフォーマンスがさらに改善

3D スキャンされた複雑なメッシュ ファイルの拡大/縮小ズームも、大幅に高速化し、応答性が向上しました。

数々の新機能は確かにエキサイティングですが、オートデスクが常に念頭に置いているのは、Fusion 360 全体を通じて一貫したパフォーマンスと安定性を実現することです。私たちはうまく機能しない部分を修正し、Fusion 360 の使い勝手を改善することに、徹底的に取り組みました。

2022 年は製品アップデートを14 回リリースし、219 の新機能と、なんと 10,163 件の改善が実装されました。その結果、機能の動作やモデリング/ナビゲーションのパフォーマンスが改善しただけでなく、複雑なジオメトリを処理する際の Fusion 360 の全体的な安定性が大幅に向上しました。以前と比べて高速化したと実感できる機能のトップ 10 は次のとおりです。


電気エンジニア向けの、「つながる」ECAD

「サイロ化されたワークフローを統合すること」は、オートデスクが常に掲げてきた重要なミッションです。昨年は、Fusion 360 の主要機能を強化することにフォーカスして取り組みました。また、全体的なパフォーマンスの向上や、専門分野の連携強化にも取り組みました。 電気・電子設計は、製造プロセスの鍵ともなる重要なステップですが、多くの場合、プロセスはサイロ化され、分断されています。

ツールの強化とパフォーマンスの向上

2020 年 1 月に発表されたとおり、私たちは Fusion 360 の電子設計ツールの改善、強化に取り組んできました。[コンポーネントを配置]パネル、自動による EAGLE ライブラリの読み込み、レイヤー スタック マネージャ、[パターン]/[配置]コマンド、フラット キャップ ライン、更新されたツール アイコンなどの機能が導入されました。これらのコマンドを使用すれば、すばやく簡単に設計をレイアウトできます。

2022 年後半は、既存機能の強化やパフォーマンスの向上、長年の問題を修正することに主にフォーカスして取り組みました。

パッケージ ジェネレータ

パッケージ ジェネレータに、より包括的なコンポーネント ライブラリが追加されました。ライブラリ インデックスを同期させ、マシン間で自由に作業を移動させることができます安定性を多くの点で修正し、パフォーマンスを強化した結果、電子設計環境がかつてないほど高速に動作するようになりました。

Signal Integrity Extension

Ansys 社との提携により、オンデマンドで PCB の電磁解析機能にアクセスできるようになりました。この機能は、新しい Signal Integrity Extension の一部として、電子設計環境に直接組み込まれています。これを利用すれば、設計の早い段階で、設計者やエンジニアと連携しながら、PCB 信号に関する問題を検査し、解決できます。

統合された電子設計

コミュニティ スポットライト: Limbitless Solutions は、セントラル・フロリダ大学に拠点を置く非営利団体です。研究スタッフ、関係教職員、そして 50 人以上の学生が所属し、子供たちのための生物工学の未来を研究しています。

Fusion 360 に電子設計機能が統合されたことで、Limbitless Solutions のメンバーは、基板と回路図を同時に開けるようになり、設計プロセスが迅速化し、変更への対応も簡単になりました。

コミュニティ スポットライト:カスタムメイドのフル サイズのアルミニウム キーボードと PCB 基板を紹介する Grumpy Sloth 社(NZ)。

ニュージーランドを拠点とするスタートアップのメカニカル キーボード メーカー Grumpy Sloth 社は、オートデスクの取り組みの集大成であるこうした最新機能を活用して独自のキーボードを一から設計し、製造しました。このキーボードには、Fusion 360 で設計されたカスタムの PCB が搭載されています。昨年ニューオーリンズで開催された Autodesk University 2022 で、同社初のキーボードや設計ワークフロー全体の概要について発表したのですが、実に素晴らしいセッションでした(こちらで無償でご覧いただけます)。


機械エンジニア/金型メーカー向けの、スマートなワークフロー

射出成形

コンシューマ製品を実現するためには、射出成形の要件を考慮する必要があります。2022 年 1 月以降、Product Design Extension では、プラスチック成形品の設計ツールセットにおける大きな改善とアップデートが実施されました。

[ボス]コマンドでプラスチック リブを作成する機能や、[レスト]ツールの柔軟性(湾曲したプラスチック パーツ上に平面領域を作成できます)、スナップフィットの選択モードや回転オプションなどが改善されました。その結果、射出成形におけるプラスチック成形品の設計プロセスが、設計から製造までのワークフローの一部としてさらに統合されました。Product Design Extension でプラスチック成形品の設計ワークフローを加速させる方法については、新機能に関する最新のビデオをご覧ください。

デザイン アドバイス

デザイン アドバイスでは、製造方法を完全認識するプラスチック成形品設計ソリューションが実現しました。デザイン アドバイスを使用すると、プラスチック射出成形のベストプラクティスに基づいて、製造可能性に関する懸念事項を特定できます。その後、これに対処するための推奨事項が Fusion 360 で表示されます。これを利用することで、エラーを事前に防ぎ、金型設計者との間でやり取りしながら修正するなどコストのかかる手戻りを回避できるため、作業時間を節約できます。

射出成形シミュレーション

設計ワークフローだけでなく、Simulation Extension に含まれる射出成形シミュレーション ツールを使用すれば、成形品の成形プロセスを確認でき、ヒケ、エアー トラップ、反り、収縮、ウェルド ラインなどの一般的な問題を特定しやすくなります。オートデスクは、スタディ タイプの操作性とパフォーマンスを改善しただけでなく、さまざまなコンテンツも作成しました。役立つウェビナーやビデオ、教材を利用すれば、新機能をすぐに習得できます。


製造技術者/製造業者向けの、迅速で高品質な製造

コミュニティ スポットライト:Nerc Precision Engineering 社の収益は 400% 増加しました。

[製造]作業スペースは、Fusion 360 で最も多くの変更が行われた部分の 1 つです。 2022 年の前半、オートデスクは、Fusion 360 と Machining Extension のフライス加工ツールを再調整しました。

3+1 および 3+2 のインタラクティブな工具軸方向コントロール(サーフェス法線、ビューに位置合わせ、回転および傾斜)などの機能を、すべてのユーザーが使用できるようになり、信頼性の高い 2 軸、2.5 軸、3 軸の加工に必要なすべての工具が、(Machining Extension なしでも)Fusion 360 にそろいました。Machining Extension に搭載される 4 軸と5 軸の同時加工機能は、高度な自動化のニーズに対応する複合軸の真のパワーを備えています。

Brown & Homuses (Tamworth) LTDPEMBREENerc Precision Engineering の各社は、多大な労力を必要とするプロセスを接続/自動化し、大規模なプロジェクトを勝ち取り、一歩先を行くことに成功しました。

ネスティングとファブリケーション

コミュニティ スポットライト:Ganas Manufacturing 社の Aaron Rihacek 氏と同僚は、設計から製造までのプロセスの迅速化に役立つ Nesting & Fabrication Extension を絶賛しています。

ウォーター ジェットやレーザーで切断するパーツを手作業でネストするには、大変な手間と時間がかかります。Nesting & Fabrication Extension では、マテリアル、厚さ、パーツ数量を自動検出し、レイアウトをさらにすばやく簡単に最適化できるようになりました。たとえば昨年、高度な整列ツールのプレビューが完了し、マルチシートの整列を作成したり、簡単なコントロールで各パーツを回転させて効率的に製造できるようになりました。 Ganas Manufacturing 社はこのテクノロジーを利用して、複雑な木工製品プロジェクトに要する時間と労力を大幅に削減することに成功しました。

積層造形

[製造]作業スペースにおける積層造形の作業環境は、大きく進化しました。今や作業スペースは完全に統合され、必要に応じてプリンタ要件を選択または構築できます。Fusion 360 の設計(または読み込まれたサードパーティ形式のファイル)を使用して、スライスしたり、サポート構造や内部ラティスを設定したり、プリンタへに送信したりといった操作をすべて、[積層]タブで行えます。

オートデスクの積層造形機能は成熟し、サポート対象のプリンタが増加しました。これに伴い、シームレスな統合の実現を目指して Formlabs 社と提携を結ぶに至ったのは自然な流れでした。サポート対象のプリンタについては、印刷の設定、サポート構造のカスタム作成、PreForm ファイルの生成などの操作を Fusion 360 から直接行えます。ここで、追加の手順なしで、設計データと製造データの関連付けを維持できるようになったことは、非常に大きなメリットとなりました。


強力な Fusion 360 コミュニティ

オートデスクは、製造機能の開発に全力で取り組んできました。その結果、Fusion 360 は今や、機械加工の作業用に最も推奨されるツールの 1 つとなりました。2022 年は、主要機能とMachining Extension のバランスを再調整したことで、わかりやすくなりました。カーネルやツールパスの品質、操作性の面でも、多数の改良が加えられました。さらに、業界の主要企業と連携してワークフローの拡張を進めたことも、大きな成果となりました。

Fusion 360 と Haas ドライバ

製造技術者の方はきっと、米国国内においては製造業界をリードする大手企業である Haas Automation 社のことをご存じかもしれません。同社との提携によって実現した素晴らしい成果の 1 つが、Fusion 360 用の Haas ドライバです。Fusion 360 App Store で、この無償のアドインにアクセスできます。Haas NGC コントローラ対応の Haas フライス盤を所有するユーザーは、これを利用することで効果的に生産性を上げることができます。

Haas ドライバを使用すると、NC プログラムをマシンに直接送信したり、必要に応じてローカルに保存したりできます。接続されたマシンに NC プログラムが送信されると、マシンの設定と構成が Fusion 360 でのマシン設定と比較され、構成の変更内容がハイライト表示されます。Haas ドライバがあれば、マシンごとに異なるポスト プロセッサを調達、管理、維持する必要がなくなります。

コミュニティ スポットライト:SAMCO Manufacturing 社の Sam Johnson 氏 は、Fusion 360 と Haas Automation 社の提携機能を活用して、モータースポーツ用のパーツ製造を受注することに成功しました。

自動化は、SAMCO Manufacturing 社のオーナーである Sam Johnson 氏のような人々にとって、World of Outlaws、National Hot Rod Association、NASCAR、IndyCar など、有名なモータースポーツ公認団体の部品を製造するための推進力となっています。

Fusion 360 と ModuleWorks

2022 年 11 月までに、回転ポケット、回転コンター、バリ取りの 3 つの高度な加工法が Fusion 360 に新たに追加されました。拡張機能のプレビューをお試しいただけます。 どれも非常に効率的な加工法で、カスタマイズ可能です。かつてないほどの柔軟性とコントロールで、面倒な作業を自動化できます。もちろん、これはまだほんの始まりに過ぎません。近い将来に実装予定の、5 つの新しい加工法を一足早くご紹介しましょう。現在、ModuleWorks 社と共に開発を進めています。

オートデスクは、数多くの機械加工工場のオーナーにヒアリングを行った結果、皆様が常に、作業の自動化や作業時間の最適化、パーツ製造の効率化を目指す取り組みを行っていることを知りました。お気に入りの工具で環境を構築するためには、ある程度の経験が必要となり、時間もかかります。そこでオートデスクは Sandvik Coromant 社と提携し、工具ライブラリのアドインを開発しました。高性能ですぐに使用でき、Fusion 360 とシームレスに統合します。

この Fusion 360 用 Sandvik Coromant CoroPlus® アドインを使用すれば、適切な切削ツールをすばやく選択し、正しい切削パラメータを選択し、データを Fusion 360 に戻してシームレスに CAM プログラミングを行えます。

ユーザーによる、ユーザーのためのアプリ

Autodesk App Store で現在提供されている Fusion 360 アドインの多様性は、目を見張るほどです。私たちの今後の目標の 1 つは、オートデスク テクノロジーを、ソフトウェアを超えて拡張するために、Fusion のデータをサードパーティ アプリの開発者に公開し、Fusion データの API 開発に利用できるようにすることです。これまでも、オートデスクの開発者コミュニティによって、サステナビリティや ERP 接続、BOM などのアプリが作成されました。

この API 拡張に向けた取り組みは、提携アプリと Fusion の接続性・拡張性を実現するための重要なステップとなります。こうしたアプリは現在すでに利用可能ですが、今後さらに成長するでしょう。Autodesk App Store に最近アクセスしていない方は、ぜひ新製品をチェックしてみてください。

2023 年、さらなるレベルアップを目指して

2022 年の振り返りは以上です。これほど多くのことを実現できたのは、世界中の 120 万人を超えるユーザー コミュニティの皆様のおかげです。Fusion 360 の進化にご協力いただき、オートデスクの従業員一同、心より感謝を申し上げます。ツールに対する皆様のフィードバックが、オートデスクにとっては新たなインスピレーションとなり、Fusion 360 の新たな可能性を切り拓くための原動力となります。

私たちは、これまでの成果を誇りに思うとともに、今後の展望を早くお知らせしたくてワクワクしています。フィードバックに基づいたエキサイティングなプロジェクトが、今年も数多く予定されています。皆様に計画の詳細を発表するのが待ちきれません。

ぜひご期待ください!

Keqing Song

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