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グローバル エンジニアリング学部のモーテンセン センター (Mortensen Center in Global Engineering) は、Autodesk Fusion 360 を使用して、人里離れた地域で新鮮な飲料水を利用できるようにするための前向きな活動を推進しています。
まず、井戸用の手動ポンプを設置して、人里離れた土地で必要とされている新鮮な飲料水を提供するということと、実際にそのポンプがいつまで使えるのか、設置してから数カ月、数年後に使えるかどうかは、まったく別の話です。アメリカのコロラド大学、ボルダー校の MCGE (グローバル エンジニアリング学部のモーテンセン センター) (英語) は、様々な研究プロジェクトや革新的な教育プログラムの中で、この課題を調査し、より多くの人に知ってもらうことを決定しました。
MCGE は、教育、研究、Autodesk Foundation (英語) などの組織とのパートナーシップを締結し、弱い立場の人々に貢献することを目指しています。そして、世界中のすべての人が安全な水、衛生設備、エネルギー、食料、シェルター、インフラを手に入れることができるようになるというビジョンを持っています。MCGE は、政策、フィールドワーク、そして災害からの復興力と災害後の建物の建設、水と衛生設備(WASH)、開発のためのシステム理論など、多くの差し迫ったテーマを学ぶことによって、グローバル エンジニアになるためのユニークな機会を学生に提供しています。
博士課程の学生である テイラー シャープ氏は、MCGE で研究室を管理する研究員兼講師です。彼と彼のチームは、ナイジェリアの飲料水ポンプに設置するセンサーの設計に挑戦しました。このセンサーは、ハンドルがいつ何回使われたかをカウントしたり、電気穴への電流を測定したり、水位の上がった貯水槽を測定することで、ポンプの故障に関する明確なデータを提供することができます。彼のチームは、大きさ、耐久性、余裕、設置のしやすさなど、多くの要素を考慮する必要がありました。
センサーの設計における Fusion 360 の活用
シャープ氏は、機械工学部に在学中の頃から、製品設計や研究プロジェクトに Fusion 360 を使用してきました。これまでに彼は、ルワンダで使用される大気質測定ツール、ケニアの野外トイレの使用状況モニター、シエラレオネの水位監視システムなどに取り組んできました。
Fusion 360 は、手動ポンプのセンサーのプロジェクトと、他すべての開発や事業連携の中心を担っていました。チームはコロラド州、カリフォルニア州、ケニア、ナイジェリアと国際的に活動していました。しかし新型コロナ ウィルスの蔓延により、シャープ氏とそのチームは通常の現地訪問を断念せざるを得ませんでした。その代わりに Fusion 360 を使用し、3D モデルを通してセンサーに生命を吹き込みました。
「手動のポンプを作るというプロジェクトにおいて一番の目標は、持続して水を供給する支援に対して、その先の見通しを立てることです。」
— MCGE の大学院生、テイラー シャープ氏
地球の裏側から研修、導入、監視
チームが直面した問題の一つが、ポンプ内にセンサーを設置し、ドリルで穴を開ける場所を指示することでした。研修用の教材は、ビデオや文書用に作成されたレンダリングなど、Fusion 360 内で簡単に作成し閲覧することができました。
また、ナイジェリアの現地では、思いのほか別の手動ポンプが普及していることも判明しました。そこで彼らは、現地の設計者と協力して取り組むために、いくつかの通信技術を駆使しながら、予期せぬ形状にも適合できる新しい設計に刷新することができました。その技術のうちの一つが Fusion 360 です。
ハンドポンプ、電気式掘削孔、貯水槽に 200 個のセンサーを設置し、衛星経由でデータを送信して監視しています。その結果、性能と必要なメンテナンスについて、より広範なドキュメント化による説明ができるようになりました。これは特に遠隔地にとって重要なことです。ポンプの故障を報告するための携帯電話がなければ、遠隔地では長期間にわたってきれいな水を手に入れることができなくなります。
「手動ポンプだけでは、長期的に持続可能な解決策とは言えません。」とシャープ氏は言います。「このようなモニタリングやデータ収集は、インフラの資金調達や水管理に対して、政策を変更しなければならないということを気づかせるために重要なことです。」
「Fusion 360 は特に、電気と機械の円滑な統合、機械加工機能、連携作業機能において、他のソフトウェアと大きく異なっています。だから、私は今もなおメインで使っています。」
— MCGE の大学院生、テイラー シャープ氏
グローバルな視野を身につける実践的なプロジェクト
MCGE は、研究 プロジェクトや授業を通じて、エンジニアリングを学ぶ学生が世界の開発問題に触れる機会を提供しています。また、それらの問題に対して持続可能な解決策を実現するためのキャリアを支援します。
シャープ氏は毎学期、大学院生を対象に機械設計について学ぶ授業を担当しています。参加する学生の多くは、環境工学や土木工学を専攻している人たちです。実践的な研究で、製品開発や機械工学を初めて体験することができます。
Autodesk テクノロジー インパクト プログラム (英語)のおかげで、すべての学生に Fusion 360 が支給され、モニタリング システムの調整、設計、試作作成ができます。それは多くの人が目を見張るような体験です。
「コロラド大学では、グローバル エンジニアリングの修了証書を取得することができます。」と、シャープ氏は説明します。「Fusion 360 は、コロラド大学のグローバル エンジニアリング プログラムにおける学生の体験にとって必要不可欠なツールとなっています。たとえば、学生は Fusion 360 を使用して、計測モニタリングの仕組みを学んだり、工学と公衆衛生の重要な接点を理解したりすることができます。これは学生が現場に出て大きな問題を解決する際に役立つ探究と体験の一部となっています。」