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製造ファイルであるガーバー ファイルと ODB++ の違いと、Autodesk Fusion でこれらのファイルをエクスポートする方法を詳しく解説します。
このブログを読む前に、Autodesk Fusion のレイヤーに関する記事をご覧ください。この記事では、製造用設計ファイルのエクスポートに関連するすべてのレイヤーの用途について説明しています。
PCB プロトタイプ作成業者やメーカー企業に最も広く使用されている製造ファイルは、ガーバー ファイルと ODB++ の 2 つです。この 2 つファイルの違いについて説明します。
ガーバー ファイルと ODB++ 製造ファイルの違い
ガーバー ファイル
ガーバー ファイルは、1960 年代に Gerber Systems Corp. が開発したプロプライエタリ形式のファイルで、PCB の製造に使用されるフォトプロッターをコントロールすることを目的としたものです。このファイルは、銅配線、はんだマスク、ドリル穴など、回路基板の各レイヤーの詳細なブループリントとして機能します。1998 年、拡張されたガーバー フォーマット(RS-274X 形式)が業界標準となりました。これは人間が読める構造となっていて、機能も改善されました。現在では世界中の PCB メーカーが、設計ファイルから回路基板の製造を正確に行うために、ガーバー ファイルを使用しています。
ODB++
ODB++ は、1990 年代半ばに Valor Computerized Systems 社によって、プリント基板(PCB)の設計データの交換を合理化することを目的に開発されました。当初は CAD から CAM へのデータ交換のプロプライエタリ形式でしたが、その後進化し、コンポーネント情報も含むようになるとともに接尾辞「++」が名前に追加されました。2008 年には、XML ベース バージョンの ODB++ が IPC に寄贈され、オープン スタンダードのファイル形式 IPC-2581 の開発につながりました。現在、設計データと製造データが単一ファイルに包括的に含まれる ODB++ は、PCB 製造データ交換の業界標準となり、設計者とメーカーの間のコミュニケーションを促進するデータ形式として使用されています。
Autodesk Fusion はガーバーと ODB++ の両方の製造ファイルをサポートしていますが、どちらの方が良いのでしょうか?
ガーバーと ODB++ は、どちらも PCB 製造で広く使用されています。ガーバーは、より以前からある形式のため、より広く受け入れられています。また、こちらは物理的なボード レイアウトに焦点を当てています。ODB++ は、より新しく、より包括的な形式で、追加の設計データと製造データが含まれるため、複雑な設計や統合ワークフローに適しています。ガーバー の方が歴史が長いため、より広く普及していますが、異なるツール間でシームレスにデータ交換する必要がある高度なプロジェクトでは特に、ODB++ の人気が拡大しつつあります。どちらを選択するかは、設計の複雑さやプロジェクト特有のニーズ、メーカーの好みによります。
PCB 製造ファイルの生成
ヒント:PCB 製造ファイルを作成する前に、[製造]タブの[DRC]を実行して、設計のエラーや違反を慎重に確認してください。エラーや警告が許容可能なものであれば、それらをタグ付けすることで時間を節約できます。
製造ファイルは単一ファイルではなく、レイヤーの組み合わせに基づいて複数のファイルが含まれるのでご注意ください。たとえば、コンポーネント側の PCB 上部レイヤーは、Top、Pads、Vias のレイヤーで構成されます。これらのファイルについて、次の表にまとめました。次の表は、4 層ボードの製造ファイルの例を示しています。外部の銅レイヤーが 2 つ、内部の銅レイヤーが 2 つあります。
Name | Fusion Name | Layer Combination |
Top Copper | Copper_Top_L1.gbr | Top, Pads, Vias (1, 17, 18) |
Copper Layer 2 (Internal Layer) | Copper_Inner_L2.gbr | Route2, Pad, Vias (2, 17, 18) |
Copper Layer 15 (Internal Layer) | Copper_Inner_L15.gbr | Route15, Pad, Vias (15, 17, 18) |
Bottom Copper | Copper_Bottom_L15.gbr | Bottom, Pads Via (16, 17, 18) |
Profile | Profile.gbr | Board Shape, Cutouts |
Soldermask Top | Soldermask_Top.gbr | SolderMaskTop (29) |
Soldermask Bottom | Soldermask_Bottom.gbr | SolderMaskBottom (30) |
Solderpaste Top | Solderpaste_Top.gbr | StencilTop (31) |
Solderpaste Bottom | Solderpaste_Bottom.gbr | StencilBottom (32) |
Silkscreen Top | Silkscreen_Top.gbr | SilkscreenTop, NamesTop (21, 25) |
Silkscreen Bottom | Silkscreen_Bottom.gbr | SilkscreenBottom, Names Bottom (21, 25) |
Additional Files Generated | ||
Drill File (Excellon 3.3 Format) | Design_File_Name.xln | Based on Layers 44 and 45 |
Bill of Material | Design_File_Name.txt | Extracted from Schematic |
Pick and Place Top | Design_File_Name_Front.txt | Extracted from PCB Top Reference |
Pick and Place Bottom | Design_File_Name_Back.txt | Extracted from PCB Bottom Reference |
ここに示される命名規則は、ODB++ の出力に関するセクションに進むと、若干変わります。ここではまず、ガーバーの出力にフォーカスして、追加のファイルを生成してみましょう。
Fusion のオプションをクリックして製造ファイルを生成する手順
ガーバー ファイルの生成は 2 クリックで完了
レイヤーに関するブログで詳しく解説されているように、オートデスクの標準化されたレイヤー形式と機能を使用することでワークフローを合理化でき、[製造]タブの[ガーバー、NC ドリル、アセンブリ、および図面への出力をエクスポート]オプションを 1 回クリックするだけでファイルを生成できます。このオプションでは、レイヤー スタックアップに基づいて CAM ジョブが自動的にロードされます。この例では、CAM がロードされたテンプレートの 4 つのレイヤーが示されています。
拡張子が .gbrjob のファイルは、ジョブ ファイルとして参照されます。このファイルには、ガーバー ファイルの生成に使用された設定が記録されています。設定時と同じパラメーターを使用して製造ファイルを再作成する必要がある場合に、これを利用できると便利です。
Fusion のオプションをクリックしてオープン データベースを出力する手順
ODB++ ファイルの生成は 2 クリックで完了
ガーバーの手順と同様に、[製造]タブを選択し、[ODB++ 出力をエクスポート]オプションをクリックします。使用可能な圧縮タイプがダイアログ ボックスに表示されます。[保存]を選択すると、製造ファイルのローカルの保存先を指定することを求めるプロンプトが表示されます。保存先のローカル フォルダを選択すると、ODB++ 形式の製造ファイルがエクスポートされます。出力には、.tgz および .tar の圧縮形式と、非圧縮バージョンのファイルが含まれます。出力ファイルを生成する前に、ボードまたはプロトタイプの製造で基本設定を確認します。ガーバー ビューアの多くは ODB++ をサポートしています。PCB 製造ファイルを初めて生成する場合は、ガーバー ビューアを入手して製造ファイルを確認することをお勧めします。この点については、メーカーに確認してください。メーカーが無料のビューアを提供している場合や、特定のビューアを推奨している場合があります。
Fusion の CAM プロセッサ:ガーバーと ODB++ の製造ファイル
出力のカスタマイズ
意図とは異なる形でレイヤーを使用した場合や、PCB 製造ファイルに含めるレイヤーを作成した場合は、CAM プロセッサを使用する必要があります。CAM プロセッサは最初に、レイヤー スタックアップに基づく既定のテンプレートを使用してロードを行いますが、これは CAM プロセッサで簡単に変更できます。PCB 作業スペースの[製造]タブで、CAM プロセッサ アイコンを選択します。
CAM プロセッサには多くのパラメーターがあるため、ここではできるだけわかりやすく説明したいと思います。CAM プロセッサでは、ガーバー ファイルと ODB++ ファイルが同時に生成されます。
[CAM プロセッサ]ダイアログ ボックス
それでは、[CAM プロセッサ]ダイアログ ボックスの各セクションを見ていきましょう。
A.これは、DRC レイヤー スタックアップに基づいてロードされる既定の CAM プロセッサ ジョブです。
B.このセクションは、ODB++ 出力用です。ヘッダーがハイライト表示された状態で、目的の出力パラメーターを変更します。PCB メーカーによる推奨が特になければ、ここは変更しないことをお勧めします。既定では、メーカー各社の推奨事項に基づいた一般的なオプションが設定されているからです。
C.このセクションは、ガーバー ファイルの出力用です。ガーバー ファイルは、一般的に広く使用されているもう 1 つの PCB 製造ファイル形式です。サブセクションは、先ほど説明したワンクリック ソリューションと同じく、Top Copper、Bottom Copper などのレイヤーの組み合わせになっています。
D.[Image]セクションを使用して、メーカーが PCB で参照できるイメージを含めます。
E.[Drill]セクションでは、PCB 上のすべての穴のドリル加工または突き出しに必要なファイルを生成します。既定の形式は excellon: 3.3 で、先頭にゼロは付きません。
F.[Assembly]セクションは、3 つのファイルで構成されます。部品表の[Bill of Material]と、上部レイヤーと下部レイヤーのコンポーネント用の[Pick and Place]です。
エクスポートするファイルの形式は、セクションのタイトルをクリックして変更できます。PCB メーカーが推奨している場合のみ変更してください。
サブセクションを選択すると、現在選択されているレイヤーのプレビュー イメージが表示されます。ODB++ セクションのすべてのサブセクションのプレビュー イメージが表示されるわけではありません。一部のサブセクションには、プレビューする必要のない PCB のパラメーターの詳細が含まれているからです。
追加のパラメーター
プレビューに加えて、ファイルの出力先や、出力ファイルの名前、その他のパラメーターなど、変更可能な追加パラメーターが表示されます。ジョブを処理する際に、出力先の指定を求めるプロンプトが表示されます。
上図で、Top Copper レイヤーに選択されているレイヤーに関するセクションをハイライト表示しました。ODB++ と ガーバーの両方で、Top、Pads、Vias レイヤーが含まれていることがわかります。これらのレイヤーをすべて組み合わせると、ボード上面の銅が作成されます。このレイヤーの組み合わせが変更されることはほとんどありません。このセクションには、ボードのコンポーネント側に銅を配置することを意図したアセットのみを配置することを強くお勧めします。追加のレイヤーを選択すると、短絡のリスクが生じます。
レイヤー スタックアップの変更
次の例では、レイヤー スタックアップを変更します。これにより、レイヤーが出力にどのような影響を与えるか確認できます。
既定では、 Silkscreen Top の出力には、NamesTop レイヤー上のコンポーネント参照指定子と SilkscreenTop レイヤーが含まれます。私が取り引きしているメーカーは、すべての出力ファイルにボードのアウトラインを含めることを推奨したほか、会社のロゴを配置しても問題ないと言ったとします。
CAM プロセッサでレイヤー スタック オプションを選択し、BoardOutline レイヤーと会社のロゴに使用した Document レイヤーを含めます。するとプレビュー ウィンドウが調整されます。
そのため、各レイヤーの機能を明確に理解することは非常に重要です。これを理解していれば、出力された製造ファイルを簡単に操作できます。また、必要に応じてサブセクションを追加して、製造の詳細をさらに追加することもできます。
次の例では、PCB の寸法を確認する際に参照できるように、[Image]セクションにボードの寸法を含めたいと思います。[Image]セクションを右クリックし、の[ガーバー コンフィギュレーションをコピー]オプションを選択します(図中 A)。すると、すべてのイメージにガーバー ファイルと同じサブセクション設定が適用されます(図中 B)。[Top Copper]セクションをハイライト表示することで、書き出すイメージに 47 番の Measures レイヤーを追加できるようになります(図中 C)。このイメージは、BMP、JPG、PDG、または PNG 形式でエクスポートできます。
これで、自分の希望やメーカーの推奨どおりに CAM プロセッサの基本設定を行ったので、[ジョブを処理]を選択してすべての製造ファイルを生成します。ローカル フォルダを選択し、[OK]をクリックします。ODB++、ガーバー、イメージ、情報ファイルがそれぞれ別のフォルダに生成されます。また、拡張子が .gbrjob のファイルも作成されます。このファイルには、この CAM プロセスで選択したすべてのパラメーター変更が含まれます。
Autodesk Fusionでガーバーと ODB++ の製造ファイルをエクスポート
Autodesk Fusionでガーバーと ODB++ の製造ファイルをエクスポート
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