Elevate your design and manufacturing processes with Autodesk Fusion
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ハロッズ (Harrods) 百貨店のショコラティエ、フィリップ コーリー氏 (Philip Khoury) は Mayku 社とコラボレーションし、Fusion 360 と Mayku Multiplier(加圧式成形機)を使い、花開くチョコレート製のマグノリアをデザインしました。
ロンドンのハロッズの食品名店街 は、一言でいえば象徴的な存在です。エキゾチックなフルーツや豊富な種類の職人技による手作りチーズ、焼きたてのパンやペストリー、注文を受けてから熟成させるステーキ、特注の紅茶、トリュフ入りのマカロニ&チーズなどといったすぐに食べられるデリカテッセンの商品など、ハロッズはいわば食通にとっての五感を刺激する饗宴の場所なのです。
贅沢の限界への挑戦
チョコレート売り場は、食品名店街の中でも間違いなく象徴的な体験ができ、チョコレート職人はその場で作られたチョコレートを提供しています。フィリップ コーリー氏はハロッズのペストリーシェフ兼ショコラティエで、常に創造性の限界を超えた仕事を続けています。
「ハロッズは、芸術の可能性を追求し、贅沢の限界を広げることを目的としています」とコーリー氏は言います。「私たちにとって、オーダーメイドの製作はそれが全てなのです。」
最近では、世界にひとつしかないチョコレートを作るためには、レシピだけではなくテクノロジーが必要です。そのためにはチョコレートの型が欠かせないのですが、型の製造にはコストと時間がかかります。「特注の型は、作るのに 2,000~4,000 ポンド(日本円換算で約 30 万円 ~ 60 万円)の費用がかかり、製作期間は 8 ~ 12 週間にもなります。」とコーリー氏は言います。「これは、ある程度予算がある大きなプロジェクトのためにあるようなものです。そうでない場合は、まず無理でしょう。」
コーリー氏は、カスタムのチョコレートの型をもっと迅速に、低コストで作れないかと、Mayku 社のチームと協力し始めました。Mayku 社は、デザイン会社や製造会社、工芸品メーカー、そして勿論ショコラティエでも、誰もが操作できるようなシンプルでコンパクトなマシンを次々と開発しています。
チョコレート マグノリアの花をデザイン
コーリー氏は、ただ散歩をしていてもどこででもインスピレーションが浮かんできます。
「春に道を歩いていたら、マグノリアの花が咲いているのが見えたのです。」とコーリー氏は言います。「単純にチョコレートで花を咲かせたら、どんなに素敵だろうと思ったのです。それをディナー パーティの中央に置いて、複数の異なる層をはがしながら、みんなが楽しむことができるんです。」
アグスティン アロヨ氏 (Agustín Arroyo) は Mayku 社のリード クリエイターです。彼はコーリー氏と共に、Fusion 360 と新製品の Mayku 社製品 Multiplierを使ったチョコレート製の開花したマグノリアを作るために手伝いを始めました。Mayku 社のプロ仕様の FormBox マシンに加え、Multiplier は、圧力成形を初めて卓上に導入し、様々な材料で精密で長持ちする金型や生産部品を数分で作ります。
本来であればコーリー氏は型の製造者に詳細なスケッチを提供した後、待たなければいけないのです。しかし、そのようなやり方では、緊急を要するような機会やチャンスは逃していたでしょう。しかも、コーリー氏のデザインは、複数の型が必要で、コスト的にも厳しいものがあります。
スケッチから現実へ
アロヨ氏はすぐにコーリー氏のアイデアを紙のスケッチから、Fusion 360でさまざまな形状を 3D モデル化し、レンダリングを準備し、プロトタイプを 3D プリントし始めたのです。するとすぐに、15種類のパーツを持つ巨大なマグノリアの花が誕生しました。アロヨ氏とコーリー氏は、何度も何度もデザインを洗練していったのです。
「Fusion 360 で設計へのリンクをブラウザで共有できるのは、非常に便利でした。」とアロヨ氏は言います。「フィリップは 3D モデルを開いて私にメールを送るか、必要な変更点を書き込むことができました。彼は、材料がどのように機能するか把握していて、チョコレートは非常に独特な存在なのです。」
「試作課程のある時点で、この 3D プリントの部品で花を作ることができるとわかりました。」と彼は続けます。「しかし、実際チョコレートで作ってみると、測定値と実際の値に生まれるわずかな誤差の許容範囲があまりにも小さ過ぎて、花が開きませんでした。しかしその後、Fusion 360 とパラメトリック モデリングにより、我々はわずか 3 回のクリックで変更、修正することができました。
テクノロジーへの門戸を開く
Mayku 社にとって、彼らの製品が手に入りやすいことは最も重要なことです。コーリー氏は、カスタムの型1個にかかる費用は、マシン全体とほぼ同額であると見積もっています。もちろん、創造性と柔軟性という新たな自由が得られることは言うまでもありません。Fusion 360 の 3D モデリングの使いやすさも相まって、アロヨ氏はすべてのショコラティエにFusion 360の習得を勧めています。
「デジタルによる製造について、一連の流れをキッチンに導入することで、仕事のやり方がまったく変わってきます。」とアロヨ氏は言います。「自由が得られ、時間の節約にもなります。このプロセスにはデメリットがありません。」
実際、コーリー氏はそれを実践し、自ら Fusion 360 に挑戦しています。
「アグスティンと一緒に仕事をして Fusion 360 を見た後、Mayku 社の FormBox で作成する型の設計と 3D プリントに使っています。」コーリー氏は言います。「ハロッズでは何人かのデザイナーと一緒に仕事をし、彼らはさまざまなプログラムを使用していましたが、スムーズな結果を得るのに苦労していました。」
「Fusion 360 では、よりシンプルな形状ができるようになり、より簡単で効率的になりました」と続けます。「チョコレートの型には特殊な条件があり、成形したものが型から取り出せることが必要です。Fusion 360 はそれを実現するために役立っています。
コーリー氏とアロヨ氏 が、チョコレートでできたマグノリアの花に命を吹き込む様子は、以下のビデオでご覧いただけます。