Elevate your design and manufacturing processes with Autodesk Fusion
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Rivian 社にとって、ラピッド プロトタイピングは単なる目標ではありません。成功を収めるために欠かせないものです。同社の特別プロジェクトのラピッド プロトタイピング チームは、設計スタジオ、エンジニアリング チーム、製造チームから毎月数百件ものリクエストを受け取ります。これらのチームが、設計に関する意思決定を行い、パーツの試験を行い、治具や固定具を製造現場に設置することができるように、ラピッド プロトタイピング チームはプロトタイプを迅速に作成する必要があります。
チームは創造的かつ戦略的なアプローチを組み合わせながら、各プロジェクトを進めています。「私たちはものづくりの方法を生み出す上で、とてもクリエイティブです」と、Rivian 社の製品開発エンジニアリング マネージャーを務めるジョナサン・ダンケンブリング氏は言います。「社内では、機械加工、積層造形、レーザー切削などの加工ができるようになっています。私たちは何かリクエストを受けると、これらの加工方法の中から、そのデザインの製造方法として最適なものを判断します。場合によっては、3 つの加工方法をすべて組み合わせることもあります」
Autodesk Fusion での機械加工をゼロから学ぶ
ダンケンブリング氏は、Fusion に移行して Rivian 社の複雑なプロトタイプの作成を開始しました。同氏がそこに至るまでには、さまざまな紆余曲折がありました。「Rivian に入社する前は、元々は CNC 機械オペレーターで、その後 CNC 工作機械用の切削工具を製造する工場を経営しました。私は常に、自分自身の手でものづくりをしたいという思いを持っていました。そこで、オンライン チュートリアルや YouTube ビデオ、フォーラムなどを通じて Fusion を学びました」と、ダンケンブリング氏は言います。
そしてダンケンブリング氏は 5 年前、Rivian で夢の仕事に就きました。同社のチームは既に Tebis を使っていましたが、彼はそのソフトウェアを使ったことがありませんでした。自身の能力を証明する必要があると考えた同氏は、あえてリスクをとって、使い慣れた Autodesk Fusion を使い始めました。
「Fusion を使用すれば同時 5 軸加工をすばやく行えることをチームメイトに示した結果、私は Rivian での地位を確立することができました。その後、チーム全員が Fusion を利用し始め、Fusion は社内に浸透していきました。価格の面でも、Fusion の方がはるかに安いというメリットがありました」と、ダンケンブリング氏は振り返ります。
従業員のオンボーディングとスキルアップを合理化
Autodesk Fusion は、Rivian 社のラピッド プロトタイピング プロセスをパワフルにサポートしています。一般的に、業界全体の標準となるような機械オペレーター向けのソフトウェアはありません。そのため、新入社員のオンボーディングは時として難しい場合があります。Fusion の優れたメリットの 1 つは、誰でも簡単に使い始めることができる点だと、ダンケンブリング氏は言います。そのため、人材採用においても、特定の CAM プログラムの知識を持っているかどうかでなく、専門的なスキルに基づいて採用することができると言います。
数年前に Rivian に入社した、シニア CNC 機械オペレーターのマシュー・イェーツ氏が、その良い例です。イェーツ氏が Rivian 社と初めて出会ったのは、テレビで『Long Way Up』を観た時のことでした。それは、俳優のユアン・マクレガーとチャーリー・ブアマンが、バイクで長距離を走行しながら世界中を旅する様子を撮影した番組シリーズです。このとき、2 人はハーレーダビッドソンの電動バイクに乗ってパタゴニアから南カリフォルニアまで走行していました。2019 年、番組の撮影に同行する自動車として Rivian が採用されました。しかし当時、このトラックはまだ生産も始まっていませんでした。
イェーツ氏は、「なんてクールな会社だろう」と思いました。自分の経歴にぴったりの求人と考えたイェーツ氏は応募し、すぐに採用されました。彼は、Fusion については何も知りませんでした。その代わりに、長年にわたって Mastercam を使用してきた経験がありました。
「当時の私は、Fusion は趣味用のソフトウェアという印象を持っていました。しかし、ジョナサンが作成中のパーツをいくつか見せてくれた後は、これだけのパーツを作れるなら、このツールもなかなか悪くないかもしれないと考え直しました」
イェーツ氏が Fusion を使いこなせるようになるまでに、それほど時間はかかりませんでした。彼は数週間のうちにパーツを作れるようになり、わずか数ヶ月で、全体的なプロセスをとても快適に感じるようになりました。
「Fusion を使い始めて数年になりますが、CAM とManufacturing Extension についてはかなり使いこなせるようになったと感じます。ハイエンドの 5 軸パーツを、ハイエンドな機器で作成できます。これらの機械は、決して趣味用ではありません。Fusion が動かしているこれらの機器は、それぞれが 50 万ドルを超えます。パーツにもよりますが、このように複雑なパーツでも 1 ~ 3 日程度で機械加工し、完成させることができます」
「どんなに複雑なパーツでも、Fusion で加工できなかったパーツは今のところありません」
— Rivian 社、シニア CNC 機械オペレーター、マシュー・イェーツ氏
Fusion で高度な機械加工を強化
Rivian のプロトタイピング チームは、一連の積層マシンに加えて 5 台の CNC 工作機を所有しています。DMG MORI の DMU 95 と DMU 65 の完全 5 軸加工機、TRT210 軸トラニオンを備えた Haas Automation VF4SS、ライブ ツーリングと C 軸・Y 軸を備えた DMG MORI ALX 2500 旋盤、大型コンポーネント用の FADAL VMC です。また、コンポーネントの製造には 3 軸レーザー切削機も使用しています。さらに最近、シート メタル ブラケットを短納期で提供できるように、5 軸レーザー切削機を導入しました。チームはこのワークフローを改善するために、Fusion Manufacturing Extension の高度なネスティング/ファブリケーション機能の利用を開始しました。
Rivian は、そのすべての機器を、さまざまなプロトタイピング プロジェクトで使用しています。たとえば、工場用の治具や固定具、新製品用の 4140 プリハードン鋼、7075 ビレット アルミニウム製のフレームやサスペンション コンポーネントなどのプロジェクトです。ひとつ確かに言えることは、生産現場には毎日さまざまに異なるものが持ち込まれるということです。
「私たちは毎日、すべての機械加工作業に Fusion を使用しています。CNC フライス盤のプログラミングや、5軸 ツールパス検証の CAMplete、5 軸旋盤のプログラミングなどの機能です。まずは Fusion で、デザインしたパーツが製造可能かどうかを確かめます。次に、[デザイン]タブで小さな調整をすばやく繰り返し、[製造]タブに戻ってツールパスの設定を始めます」
ラピッド プロトタイピングの環境では、物事がかなりスピーディーに変化する場合があります。「工具長オフセットや固定具を変更する場合も、1 つのプロジェクトで 2 人のユーザーが同時に作業する必要がある場合も、クラウド環境ならすべてシームレスに行えます」
Fusion のワークフローと機能を深掘り
定義されている Fusion ワークフローと、その「舞台裏」で何が起きているかを理解することは、イェーツ氏にとって特に重要です。Mastercam では、ツールパスを作成した後に、任意の数のツールパスに基づいて「ストック モデル」を作成する必要があります。手作業で行うため、時間がかかる上、ツールパスを見落とすおそれもあります。
「すべての操作の後、Fusion では常にバックグラウンドで、[処理中のストック](ストック モデル)が作成されています。そのおかげでパーツと進行状況をとてもすばやく視覚化できる他、セットアップの任意の場所で取残し加工ツールパスのストックを使用できます。追加のストック モデルを作成する必要はありません」
「セットアップとその保持についても、Fusion のワークフローはより柔軟です。Fusion では、ストック、パーツ、固定具を選択します。一方、Mastercam では、レベルを使ってこれらを回避する必要があります。その点では、Fusion の方が優れています」
イェーツ氏は、ツールパスの効率を高める Fusion 強化機能に関する情報を、常にチェックしています。「最近リリースされた測地線ツールパスによって、一部のサーフェスの加工がかなり簡単になりました。パーツの多くは、底面が正方形ではないフリーフォームのソリッドです。測地線ツールパスを使えば、見栄えの良いツールパスが作成され、プログラミングも簡単になります。さらに、処理時間も短縮しました」
未来を見据えて
この 5 年間、ラピッド プロトタイピング チームは Fusion と共に成長を遂げました。チームは今後、コンフィギュレーションなどの機能を覚えて使うなど、Fusion の使用範囲をさらに広げることを目指しています。「私たちのマシンはそれぞれに異なる固定具を備えていますが、すべて相互に互換性があります。コンフィギュレーションでは、使用するマシンや固定具を選ぶことができ、自動的に変更されるように設定できます。これはかなり大きなメリットです」
このようにスピーディーなプロトタイピング環境で働いているチームには、アジャイルな開発を続けるためのツールが不可欠です。「毎日工場に足を踏み入れる度に、待ち構えている新たな挑戦や冒険を思ってワクワクします。Fusion は私たちと共に進化してきました。新しい複雑なプロジェクトを進める中で、Fusion はチームにとって、本当に頼りになる存在です。チーム全体で新たに作業を効率化し、製品をスピーディーに実現できます」