製品設計ソフトウェア

製品とは、顧客のためになるよう製造されるアイテムのことです。サービスも、製品と呼ばれることがあります。近頃は、物理的なアイテムに、インターネットに接続されたデジタル サービスを組み込んだ「スマート」製品が数多く出回っています。これは、物理的なアイテムの価値以上の価値を顧客に継続的に提供する製品です。

製品設計とは、工業機械製造や自動車製造などの商業分野の顧客の問題を解決したり、コンシューマー製品などの分野のユーザーの問題を直接解決するために、ソリューションの考案と開発を繰り返すプロセスです。

製品設計プロセスは、市場と顧客のニーズを理解するための調査から始まります。設計者は、知識、共感的理解、創造性を駆使してソリューションを概念化します。

手書きスケッチ、プロトタイプ、技術図面、3D モデルを作成し、提案した製品設計ソリューションについて話し合いとレビューを実施し、関係者間で設計プロセスを調整します。さらにプロトタイプを作成して、実際の顧客とともに概念設計をテストし、検証します。

このプロセスでは最終的に、製品要件ドキュメント、仕様、技術図面、製品ビジュアルが作成されます。通常、製品設計者は設計エンジニアと協力して、製造可能な概念設計を作成します。

製品設計の役割には、設計管理、工業デザイン、製品設計、UI/UX 設計、グラフィック デザイン、アニメーション デザイン、設計エンジニアリング、技術設計、設計図の作図、CAD 設計、CAD 操作などがあります。

製品設計者は、調査結果、創造性、共感的理解を通じて顧客の問題を把握し、ニーズを満たす製品を提案します。

概念化では、顧客の要件を満たし、同時に収益性も実現しなければなりません。製品設計者は、マーケティング チームやビジネス戦略チームと協力して、どの製品概念をたたき台にするかを決定します。製品設計者は、成功する概念を基に、エンジニアリング チームと協力して設計を完成させ、マーケティングチームと協力して製品を市場に投入します。

概念設計は、画像やプロトタイプを使って、マーケティング、エンジニアリング、製造、販売などのさまざまな関係部門と共有されます。設計の概念化には、3D CAD モデルを使用することができます。多くの場合、このモデルは、製品開発プロセス時にエンジニアリング チームによって別の用途に使われます。

製品設計は、他の分野との協力が大いに求められるプロセスで、ビジネス戦略、マーケティング、エンジニアリング、製造といったさまざまな部門が関係します。設計プロセスには、顧客、サプライヤー、営業、製造スペシャリスト、プロジェクト マネージャーからのフィードバックが含まれます。

製品開発ビジネスを成功させる上で、きわめて重要なのが製品設計プロセスです。製品開発ビジネスの目的は、顧客のニーズに応える、役立つ製品を提供することです。製品開発には、予算、設計能力、製品化までの時間などの制約があります。

製品設計は共同で進めるプロセスであり、ビジネス戦略、市場調査、ユーザー エクスペリエンス（UX）設計のスペシャリストが加わる場合があります。顧客のために解決すべき問題について関係者全員が合意に至ったら、製品設計者は、UX 設計者、コンセプト アーティスト、グラフィック デザイナー、プロトタイプ作成者と協力して製品を概念化します。

概念設計フェーズは、プロトタイプの作成、評価、レビューを繰り返す循環型プロセスです。製品概念の定義が決まり、顧客の要件を満たしていること、顧客に役立つ製品であること、他社製品と差別化されていることが確認できるまで、プロセスを繰り返します。このプロセスでは最終的に、製品要件ドキュメント、仕様、技術図面、製品ビジュアルが作成されます。

概念が定義され、プロセスを前に進める承認が得られたら、製品設計者はエンジニアリング チームによる製品開発を監督します。エンジニアは、製造方法やサプライヤーのほかに、販売方法、使い方、製品寿命といった実際的な面も考慮します。

製品設計チームは、マーケティングや販売チームとも協力して、製品パッケージや製品発売に向けた広告に関わります。

製品設計ソフトウェアを使用すると、設計者は、タスクを自動化して、プロセスを追跡し、設計者をはじめ、プロジェクト管理、購買、製造の各部門の関係者や顧客とコラボレーションできるようになります。

製品設計者はソフトウェアによって 2D のコンセプト スケッチを作成したり、3D モデルを作成してビジュアライゼーションやプロトタイプ作成、プレゼンテーションに利用することができます。設計データ、作業、コミュニケーションの管理もソフトウェアで行えます。ジェネレーティブ デザイン向けの AI ソフトウェアを使用してアイデアのヒントをつかんだり、設計上の問題について複数のソリューションを生成することもできます。

エクステンデッド リアリティ（XR）は、物理的なプロトタイプを使わずに製品概念を視覚化できる、時間とコストの節約に役立つ方法として、次第に活用されるようになりつつあります。

3D CAD モデルのほかに、モバイル デバイスや専用の VR ヘッドセットなどのハードウェア デバイスがあれば、デジタル モデルを実際の環境に表示して設計の実現可能性を評価することができます。

このテクノロジーを使えば、サイズ、材料、色のバリエーションなど、複数の設計上の設定を簡単に確認できます。設計レビューで、概念設計に加えられた変更による効果をリアルタイムで直接体験することもできます。

以下に、製品設計用コンピューター支援設計ソフトウェアの例を示します。

• 2D コンピューター支援設計：概念化と技術図面の作成を素早く行えます。
• 3D コンピューター支援設計：積層造形/切削加工 CAM（コンピューター支援製造）と併用することで、コンセプト モデリングやラピッド プロトタイピングに対応します。
• ビジュアライゼーション ソフトウェア：コンピューター生成イメージ（CGI）やデジタル レンダリングを作成して設計を視覚化し、関係者に設計意図を伝えます。レンダリングは、フォトリアリスティックな静止イメージにしたり、設計をどのように動作させるかを示すアニメーションにしたりすることができます。
• ジェネレーティブ デザイン：アルゴリズムと計算能力により、指定した制約と目標に基づいて複数の設計オプションを生成し、検討できます。
• 仮想現実（VR）または拡張現実（AR）のソフトウェアとハードウェア：人間が CGI を直接インタラクティブに操作して、設計を視覚的に確認できます。

コンピューター支援設計（CAD）ソフトウェアは、製品の仮想モデルを作成、修正、解析するツールとして、製品設計に広く使用されています。

以下に、製品設計での CAD システムの使用方法をいくつか示します。

1. 2D/3D モデルの作成：CAD ソフトウェアを使用すると、製品の詳細な 2D/3D モデルを作成できます。設計者は、作成したモデルをさまざまな角度から視覚化して、設計のデザイン性、機能、実現可能性を評価することができます。
2. 設計の反復と修正：CAD システムを使用すると、設計を簡単に修正、反復することができます。仮想モデルを使って素早く変更を加えたり、さまざまなバリエーションをテストしたり、設計の変更が製品全体に与える影響を評価することができるため、物理プロトタイプをいくつも作成する手間が省けます。
3. ビジュアライゼーションとシミュレーション：CAD ソフトウェアは、製品のリアルなビジュアライゼーションとシミュレーションを可能にします。この機能により、設計者や関係者は最終的な製品を視覚化して潜在する問題を洗い出し、情報を基に設計の改善方法を決めることができます。
4. コラボレーションとコミュニケーション：CAD システムを使用すると、設計者はチーム メンバー、エンジニア、クライアントとのコラボレーションが可能になり、設計を電子的な方法で共有して、フィードバック、コメント、提案をリアルタイムで受け取ることができます。その結果、コミュニケーションが強化され、設計プロセスがスムーズに進むようになります。
5. 設計の解析と最適化：CAD ソフトウェアには、設計の解析と最適化のためのツールが含まれています。エンジニアは、応力解析、運動のシミュレーション、熱解析を実行したり、他の性能係数の評価を行うことで、設計に潜在する欠陥を特定して製品を最適化し、パフォーマンスと信頼性を向上させることができます。
6. ドキュメントと製造：CAD システムでは、製造に必要な正確で詳細な技術図面、仕様、ドキュメントを生成することができます。製造担当者は生成された図面を基に、製品を正確かつ効率的に製造することができます。

CAD システムを使用すると、生産性が向上し、設計方法の検討が可能になるほか、コミュニケーションが強化され、概念設計から製造までのプロセスが円滑化されます。こうしたことを総合すると、CAD システムは、製品設計で重要な役割を果たしていると言えます。

CAD（コンピューター支援設計）は、製品設計プロセスにおいて重要なツールです。CAD を使用すると、設計者は複数の概念を素早く反復できます。ジェネレーティブ デザインでは、CAD を使って設計ソリューションをいくつか生成し、そこから概念を選択してさらに検討することができます。

デジタル 3D CAD モデリングを利用すると、デザイン性や実用性を検討したり、関係者からフィードバックを収集することができます。物理的プロトタイプの作成が不要になり、時間やコストを削減できます。

さらに、CAD を使えば、コンピューター生成イメージ（CGI）や技術図面などの最終成果物を自動的に作成できます。

CAD ソフトウェアを使用すると、設計者は問題の解決とフィードバックの収集に専念できるため、設計プロセスの質を落とすことなく、設計サイクル時間を短縮して生産性を高められます。

CAD（コンピューター支援設計）が製品設計で重要だと言われるのには、次のようにさまざまな理由があります。

• 効率とスピード：CAD ソフトウェアを使用すると、従来の手動での作図方法よりも、設計の作成、修正、反復を素早く効率的に行うことができます。設計の変更が簡単になり、さまざまな設計オプションを検討したりアイデアをテストしたりできるため、設計プロセスにかかる時間と手間を大幅に省くことができます。
• 正確性と精度：CAD システムでは正確で高精度な設計を作成できます。正確な測定、位置合わせ、幾何拘束のためのツールによって、必要な仕様や許容差が満たされているかどうかを確認できます。
• ビジュアライゼーションとコミュニケーション：CAD ソフトウェアを使用すると、製品設計をリアルに視覚化し、最終的に出来上がる製品を設計者や関係者が目で確認してから製造に移ることができます。コミュニケーションが円滑になり、設計意図が理解されるため、誤解やミスが生じにくくなります。
• 設計の検討と反復：CAD システムを使用すると、複数の設計オプションを素早く作成してテストできるため、設計の検討が容易になります。パラメーターの修正、さまざまなオプションの評価、異なる設計のパフォーマンスとデザイン性の比較を簡単に行うことができます。この反復プロセスは、設計に改良を加えてソリューションを最適化するのに役立ちます。
• シミュレーションと解析：CAD ソフトウェアには大抵、シミュレーションと解析のツールが含まれており、製品設計のパフォーマンスと動作を評価することができます。エンジニアは、応力解析、運動シミュレーション、熱解析などのテストを実行して潜在する問題を洗い出し、設計を最適化してパフォーマンスと信頼性を向上させることができます。
• ドキュメントと製造：CAD システムでは、製造に必要な正確で詳細な技術図面、仕様、ドキュメントを生成し、それを製造担当者と共有して、正確かつ効率的に製品を製造することができます。
• コラボレーションとバージョン管理：CAD ソフトウェアは、設計者がチーム メンバー、エンジニア、クライアントとコラボレーションするのに便利です。設計を電子的な方法で共有して、フィードバック、コメント、提案をリアルタイムで受け取ることができます。CAD システムにはバージョン管理機能も用意されているので、設計の変更を効果的に追跡、管理することができます。

CAD を使用すると、効率や正確性が向上し、ビジュアライゼーション、コミュニケーション、コラボレーションが強化されます。こうしたことを総合すると、CAD は製品設計で重要な役割を果たしていると言えます。設計者は CAD によってアイデアを形にし、可能な設計を検討し、高品質な製品を生み出すことができます。

オートデスクは、製品設計に適したソフトウェアを複数提供しています。それぞれに、そのソフトウェアならではの長所と機能が備わっています。製品設計に最適なオートデスク ソフトウェアとして、どれを選ぶかは、プロジェクトそれぞれの要件や設計者の好みなど、さまざまな要因によって異なります。以下に、製品設計でよく選ばれるソフトウェアを示します。

• Autodesk Inventor：Inventor は、機械設計、シミュレーション、ドキュメント作成のための強力な 3D CAD ソフトウェアです。3D モデルの作成と編集、シミュレーションの実行、技術図面の生成のためのツールセットを一式提供します。Inventor は、社内標準に準拠するよう細かなカスタマイズが可能です。Autodesk Vault と組み合わせると、社内全体でのコラボレーションが促進されます。
• Autodesk Fusion 360：Fusion 360 は、製品設計に総合的にアプローチできる、クラウドベースの 3D CAD/CAM/CAE ソフトウェアです。設計、エンジニアリング、製造の各機能が単一のプラットフォームに統合されています。Fusion 360 には、パラメトリック モデリング、シミュレーション、レンダリング、コラボレーションの機能が備わっているほか、3D プリンティングと CAM の機能が組み込まれています。
• Autodesk AutoCAD：AutoCAD は、2D 製図と 3D モデリング用のさまざまなツールを提供する、広く使用されている CAD ソフトウェアです。2D レイアウトや 2D 概念設計での迅速な反復に使用したり、CAD と CAM 間、または CAD とグラフィック デザイン ソフトウェア間のインターフェイスとして使用することができます。
• Autodesk Alias：Alias はインダストリアル デザインとサーフェス モデリングに特化したソフトウェアです。一般に、自動車やコンシューマー製品の設計業界で用いられています。Alias には、複雑で有機的な形状やサーフェスを作成できる最高レベルのツールセットや、ビジュアライゼーションとレンダリングの機能が備わっています。
• Autodesk Product Design & Manufacturing Collection：Autodesk Inventor、AutoCAD、Fusion 360、Vault、ReCap、Navisworks が含まれるコレクションです。Inventor Tolerance Analysis、Inventor CAM、Inventor Nastran などの Inventor のアドオンが含まれており、製品設計、シミュレーション、ビジュアライゼーション、製造のための包括的なツールセットを提供します。このコレクションは、幅広い機能を必要とする設計チームやエンジニアリング チームに適しています。

製品設計に最適なオートデスク ソフトウェアは、設計者や組織のニーズ、好み、製品や製品チェーンの複雑さによって異なります。それぞれのソフトウェアの特徴、機能、互換性を評価して、最適な選択を決定してください。