拡張現実

拡張現実:製造の時間とリソースを節約

拡張現実ソフトウェアは、ユーザーの物理環境を関連するマルチメディア情報と融合させます。この機能セットは、設計および製造のワークフローに非常に適しており、製品開発から受注処理にいたるまでのプロセスを最適化します。

VR メガネをかけて拡張現実の中の自動車モデルを見ている人。

拡張現実(AR)とは

拡張現実(AR)ソフトウェアは、3D または 2D グラフィックス、ビデオ、テキスト、サウンドのレイヤを、AR メガネ/ゴーグルまたはデバイスのカメラ ビューを介してユーザーの実世界の環境とブレンドします。製造における AR は、チーム メンバーがシームレスなコラボレーションでリモート作業する際に役立ちます。

拡張現実を使って強化されたオートバイのプロトタイプを iPad で見ている女性。

製造における拡張現実

Industrial Internet of Things(IIoT)、クラウド コンピューティング、ビッグ データ、AI/機械学習など、他の主要な Industry 4.0 テクノロジーと同様に、拡張現実はスマート マニュファクチャリング(英語)に不可欠なテクノロジー、プロセス、データ、および人間の作業の同期において重要な役割を果たします。AR は、VR(仮想現実)の完全な没入体験とは異なり、ユーザーの実際の環境をデジタル情報のオーバーレイとリアルタイムで融合させます。これにより、AR を工場の現場に統合したり、物理プロトタイプを 3D モデリング データなどのデジタル コンテンツや他の情報とオーバーレイすることが可能になります。

 

拡張現実ソフトウェアは、スマートフォンやタブレットなど、カメラを搭載した任意の処理デバイスで動作します。あるいは、従業員が作業のために手を自由に使えるようにするために、AR または MR(複合現実)メガネやヘッドセットを使用することができます。

 

設計および製造業界に対する AR の価値は、設計プロセスの初期段階で現れます。設計者は、Autodesk VRED などの拡張現実ソフトウェアを使用して、現実の空間で製品のデジタル ツインを体験することができます。また、これらのソフトウェアを使用して、関係者にリモートで製品デモを提供したり、テストをシミュレーションしたり、物理的なプロトタイプを作成する前に変更を加えたりすることもできます。

VR ゴーグルを使用して工場の現場を見ている男性。

機械オペレータの場合、AR を使用して、データが読み込まれたデジタル ツイン(英語)をファクトリ マシン上にオーバーレイして、操作指示、予測メンテナンス、修復データにアクセスしてスムーズな生産を維持したり、専門家のコンサルタントからリモートでアドバイスを受けたりすることができます。

 

この同じ機能により、企業は AR を活用してプロセスの早い段階で製品アセンブリをレイアウトおよび計画することが可能になり、従業員の目標、安全性、人間工学に基づく健全性が実現します。

 

AR はまた、ファクトリの機械やプロセスに関する新入社員のトレーニングやスキルアップを可能にし、中断のない作業に貢献します。拡張現実を使った製造トレーニングでは、作業者を仮想環境で指導し、リスクを軽減して安全性を高めます。トレーニングは、従業員のスケジュールに合わせてオンデマンドで実施でき、事前に作成された学習コンテンツがクラウドからストリーミングされるか、リモート インストラクターがライブで指導します。

 

完全に実現されたスマート製造業務では、製品に IIoT センサーが組み込まれ、製品部品に関連するデータを送信することができます。品質管理担当者は、製品検査に AR を使用し、製品データに関する問題を見つけることができます。また、AR 対応の倉庫では、拡張現実ソフトウェアが従業員に受注処理情報を提供し、バーコードを自動的にスキャンして在庫データを更新します。

拡張現実を使用する利点

製造業界に拡張現実を導入すると、最初のコンセプト設計から顧客サービスにいたるまで、製品ライフサイクル全体を通じてメリットが得られます。

強化された製品開発

AR のビジュアライゼーション機能を使用すると、設計者は製品のコンセプトを実世界の空間で表現できるため、物理的なプロトタイプの必要性を減らすことができます。これにより、設計の反復、検証、レビュー プロセスを高速化し、市場投入までの時間を短縮できます。

 

遠距離での連携

拡張現実と複合現実を使用して、設計者は会社の役員や世界中の顧客に対して製品のデジタル ツインをデモンストレーションしたり、工場の現場でリモート マシンの専門家に相談したりできます。

 

運用効率

AR を使用して設計すると、物理プロトタイプの作成が減り、時間と材料のリソースを節約できます。また製造業者は、センサー データと AR を使用して、製造ラインの問題をすばやく特定してトラブルシューティングし、ダウンタイムを短縮できます。

 

倉庫物流

倉庫内で AR を使用すると、製品のピッキングと在庫の維持が簡単になるだけでなく、在庫室のその他の問題を視覚化して修正することもできます。

 

従業員トレーニングの改善

AR は、新入社員に対しては十分なトレーニングを、既存の従業員に対してはスキルアップの機会を提供でき、オンデマンドでどこからでも利用できます。トレーナーはオフサイトでもかまいません。

 

安全性と低リスク

製造業者は、より少ない設定でより安全なワークフローを計画することができます。また、AR トレーニングはより安全であり、従業員へのリスクはなく、複合現実メガネを着け、両手を使用してタスクを練習できます。

 

拡張現実のためのソフトウェア

自動車デザイン向けの 3D 仮想プロトタイプ作成ソフトウェア。VRED Design、VRED Professional、VRED Server、VRED Presenter の各種を提供


クラウド上の設計・エンジニアリング データの利用に役立つ API やサービスにアクセスできます


製品設計のためのクラウドベースの 3D CAD/CAM/CAE/PCB ソフトウェア。


製造に AR を使用している顧客

VR ゴーグルを使用して車を見ている男性。

Kia Europe

VRED ソフトウェアのエクステンデッド リアリティ

Kia は、XR(拡張現実、複合現実、仮想現実)により、迅速にイノベーションを展開し、リモートで設計のレビューを行い、意思決定に役立つ新たなインサイトを得ています。

 


Perez 美術館は Miami Skyline の前にあります。

マイアミの Perez 美術館

AR で表現した「侵入生物」の展示に驚きの声

博物館のスタッフとアーティストはオートデスクのツールを使用して New Realities ギャラリー用に巨大な Terrafish の拡張現実アートを制作しました。

 


AR ゴーグルを使って車のデザインを見ている男性。

日産のデザイン

オートデスクと日産が描く設計の未来

日産のデザイナーは、XR ビジュアライゼーションを使用してワークフローを同期し、最初のコンセプトからわずか 1 日で新しい車のデザインを体験できるようになりました。

 


拡張現実のリソース

ビデオとドキュメントによるガイド:エクステンデッド リアリティとは何か、そのテクノロジー、利点、将来とはどのようなものかを紹介します。

シミュレーションされた宇宙飛行士のトレーニングやバーチャル ツアーなど、仮想現実や拡張現実の詳細な使用事例を紹介します。

 

XR(エクステンデッド リアリティ)を構成する 3 つのテクノロジーの違いを説明したクイック ビデオをご覧ください。

 

AR は製造業だけでなく、建築、土木エンジニアリング、建設にも同様の利点をもたらします。

フランスのスタートアップ Histovery は、インタラクティブな仮想現実と拡張現実を使って、火災で焼失する前のノートルダム大聖堂を復活させました。

XR テクノロジーを導入して人間と機械のギャップを埋め、産業の生産性を向上させる方法をご紹介します。

拡張現実に関するよくある質問(FAQ)

拡張現実は何に使用できますか?

AR は医療や軍事訓練によく使用されます。また、小売業でも、買物客や従業員が製品情報を入手したり、家具や壁掛けなどの製品が実際の空間でどのように見えるかを確認したりするために使用されます。

 

製造業では、製品の設計 から受注処理にいたるまで、AR が使用されています。これは、設計者が生産前に現実世界での 3D モデルを表現したり、工場の従業員が段階的な組み立てを行うのに役立ちます。また、工場機械の運用およびメンテナンス データを表示し、欠陥を評価する際の品質管理や製品ピッキングなどの倉庫作業を支援します。

なぜ AR が重要なのでしょうか?

AR が重要なのは、製品の設計、製造、フルフィルメント プロセスを効率化し、時間と物的リソースを大幅に節約できるからです。

 

たとえば設計者は、物理プロトタイプの段階に入る前に、さまざまな製品バージョンを迅速に反復してテストできます。工場は、完全に安全な仮想環境で作業員に製造と検査のトレーニングを提供しながら、予測トラブルシューティングによってミスを減らすことができます。また、倉庫では、在庫の管理、製品ピッキングのガイド、問題の特定に役立ちます。

AR と VR の違いを教えてください。

AR と VR の最大の違いは、ユーザーの没入感のレベルにあります。VR によってユーザーは仮想世界に完全に没入し、専用の VR ゴーグルを使って仮想環境を全方位から見ることができます。一方 AR は、ユーザーの実際の物理的環境を 3D または 2D グラフィックス、ビデオ、テキストのオーバーレイと組み合わせます。

 

AR コンテンツは通常、VR コンテンツほど複雑ではなく、作成と使用のコストも低くなります。必要なのはスマートフォンまたはタブレットだけですが、特殊なメガネや、最近増えている車のフロントガラスに搭載されるヘッドアップ ディスプレイ(HUD)を使用することもできます。

AR と AI の違いを教えてください。

音声認識、自然言語処理、機械学習、コンピュータ ビジョンなどの AI(人工知能)テクノロジーが AR(拡張現実)アプリケーションの機能に含まれることが多く、モバイル デバイスまたは拡張/複合現実用メガネを通して現実世界の環境にデジタル グラフィックスと情報を動的に重ね合わせます。

 

AI 機械学習アルゴリズムとニューラル ネットワークのはるかに大きな領域は、AR とは別の独自の世界です。ただし、ほとんどの AR ソリューションは何らかの形式の AI を採用しています。たとえば、音声認識と自然言語処理により AR はユーザーの音声プロンプトを認識し、コンピュータ ビジョンにより AR はデバイスのカメラから物体や人物などを識別できます。