ボリューム レンダリング

ボリューム レンダリング:複雑な没入型イメージを作成

3D ボリューム レンダリングを使用すると、VFX やアニメーション プロジェクトにリアリズムと奥行きを加えることができます。複雑な構造や特性を捉えて、ビジュアライゼーションのレベルを高めましょう。

ボリューム レンダリングで幻想的なイメージになった横顔の CGI レンダリング。
ボリューム レンダリングの手法をソリッド ポリメッシュ オブジェクトに適用すると、幻想的なイメージを創造できます。

ボリューム レンダリングとは

ボリューム レンダリングとは、3D データ セットを視覚化するためのコンピューター グラフィックスの手法です。3D グリッドで値を表現するボクセルと呼ばれるオブジェクトで、ボリューム データを直接操作します。

同じ雲に異なるエフェクトを適用した 4 つのレンダリング
ボリューム レンダリング ソフトウェアでは、ライティング、レイ深度、シェーディングなどの設定を調整して、さまざまなエフェクトを生み出すことができます。

ボリューム レンダリングの仕組みを解剖

ボリューム レンダリングとは、ビジュアル エフェクト(VFX)アニメーションにおける重要な手法です。煙、火、雲、霧などのボリュームのある複雑な現象を、驚くほどリアルに作成および視覚化できます。従来のサーフェス レンダリングでは、ポリゴンやメッシュを使用してオブジェクトのサーフェスのみを操作していましたが、3D ボリューム レンダリングでは、こうした現象の特性や複雑な内部構造を捉えて、より臨場感あふれる魅力的なビジュアル エクスペリエンスを実現できます。この機能によって、業界は飛躍的な進化を遂げ、よりダイナミックでリアルなエフェクトの作成が可能になりました。

レイ キャスティング、テクスチャ スライス、ボリューム レイ マーチングなど、いくつかのアルゴリズムは、ボリューム レンダラーにとって重要なコンポーネントです。

  • レイ キャスティングでは、ビューアの視点(カメラの焦点)からボリュームに向けて仮想の光線を放射し、ボクセル データをサンプリングして色や不透明度の値を蓄積します。
  • テクスチャ スライスでは、ボリュームを複数の 2D テクスチャに分割し、それらをブレンドして最終的なイメージを作成します。
  • ボリューム レイ マーチングは、レイ キャスティングの拡張版です。ボリュームを少しずつ調整しながら繊細にサンプリングできるため、レンダリング品質が向上します。

従来のサーフェス レンダリングとボリューム レンダリングを分ける決定的な違いは、3D データの視覚化に対するアプローチにあります。サーフェス レンダリングは、外部のサーフェスにフォーカスしたアプローチです。ラスタライゼーションやレイ トレーシングなどの手法を使用して、これらのサーフェスを 2D スクリーンに投影します。一方、ボリューム レンダリングでは、ボクセルの 3D グリッドで表現されるボリューム データを扱います。この方法では、内部構造を視覚化できるため、半透明のマテリアルやボリューム エフェクトのレンダリングに不可欠です。

ボリューム レンダラーを支えるテクノロジー

GPU ベースのレンダリングとリアルタイムの視覚化の探求

高度なテクノロジーを駆使して複雑な 3D データセットを視覚化できるボリューム レンダラーは、VFX やアニメーションにおける重要な役割を果たしています。グラフィックス プロセッシング ユニット(GPU)ベースのレンダリング(英語)は、特に進化した機能の 1 つです。並列処理機能を活用してリアルタイムの視覚化を行えます。これにより、ボリューム データのインタラクティブな探索や操作が可能になります。この機能は、医療用や科学用の画像などのリアルタイムの用途や、VFX 制作のダイナミックなビジュアル エフェクト制作に不可欠です。

 

シェーダーの役割

頂点やピクセル データの計算を処理できるシェーダーは、GPU レンダリング パイプラインに不可欠です。ボリューム レンダリングにおいて、頂点シェーダーはボリュームを表すジオメトリを処理し、フラグメント シェーダーはボクセル データのサンプリング、補間、伝達関数の適用などのピクセル単位の操作を行います。これらのシェーダーによって各ピクセルの最終的な色と不透明度が決定し、ボリューム エフェクトを正確かつ高品質に視覚化することができます。

 

伝達関数、補間、視覚化のストラテジー

ボリューム レンダリングの基本的な手法には、伝達関数や補間、さまざまな視覚化ストラテジーが含まれます。伝達関数で、ボクセル データを色や不透明度などの光学プロパティにマッピングし、ボリューム内の特定のフィーチャを強調します。トリリニア補間などの補間方法によって、ボクセル値間でスムーズに遷移できます。レイ キャスティング、テクスチャ スライス、ボリューム レイ マーチングなどの視覚化ストラテジーによって、ボリューム データ内の内部構造を詳細かつ正確にレンダリングできます。

 

ボリューム レンダリングの特長

VFX アーティストやアニメーターは、ボリューム レンダリングを活用することで、次のような価値あるメリットが得られます。

リアリスティック ビジュアライゼーション

ボリューム レンダリングは、煙、火、雲などの複雑な現象の視覚化に優れています。複雑な内部構造を捉え、没入感のある魅力的なビジュアル エフェクトを作成できます。

 

内部構造の表現

サーフェス レンダリングとは異なり、ボリューム レンダリングではボリューム全体を視覚化できるため、医療用画像で組織や臓器をより正確に描写するために不可欠です。

 

リアルタイム インタラクション

GPU ベースのレンダリングで、ボリューム データをリアルタイムに操作できます。科学的なビジュアライゼーションや VFX 制作などの分野におけるワークフローと意思決定が向上します。

 

データの解釈を強化

伝達関数を使用して、データ値をカラーや不透明度とマッピングして特定のフィーチャを強調したり、細かい違いを見やすく表示してデータ分析しやすくすることができます。

 

柔軟なレンダリング手法

レイ キャスティング、テクスチャ スライス、ボリューム レイ マーチングなどの手法によって、柔軟性を高め、さまざまなデータ タイプに応じて品質とパフォーマンスの最適なバランスを見つけることができます。

 

高品質なビジュアル エフェクト

ボリューム レンダリングの高度なシェーディングと補間によって、精密でリアルなエフェクトを作成できます。VFX やアニメーションのシーンが視覚的に豊かになります。

 

ボリューム レンダリング向けのオートデスク ソフトウェア

グローバル イルミネーション レンダリング ソフトウェア


映画、ゲーム、テレビ制作向けの 3D アニメーション、モデリング、シミュレーション、レンダリング ソフトウェア


ゲーム開発および設計ビジュアライゼーション向けの 3D モデリング、アニメーション、レンダリング ソフトウェア


ビジュアル エフェクトとアニメーションのお客様事例

ドリフトして回転し、背後に砂煙を巻き上げている車を描いた自動車広告の CGI 静止画。

PUNCTUM IMAGES

リアルなドリフト シーケンスのレンダリング

プラハを拠点とする制作スタジオは、Autodesk 3ds Max を使用して、スーパーチャージャー搭載エンジンを紹介するフル CGI 作品を作成しています。

 


画像提供:Punctum Images

Netflix シリーズ『アーケイン:リーグ・オブ・レジェンド』のアニメーション キャラクター 2 人が、Riot Games の Worlds 2021 のオープニング ショーのために制作された映像の静止画に登場している

POSSIBLE

魅力的なビジュアル スペクタクルを制作

映像デザイン スタジオが、Arnold ベースのパイプラインを使用して、Riot Games の Worlds 2021 オープニング用短編映画を制作しました。

 


ラスベガスの Sphere の外側に、Marvel Studios の『マーベルズ』の広告である巨大な茶トラの猫が映し出されている様子を描いた 3D レンダリング

THE MILL

Sphere に投影する魅惑的な広告をデザイン

有名なビジュアル エフェクト スタジオは、Arnold と Maya を使用して、Marvel Studios の『マーベルズ』の約 100 メートル大のプロモーション広告を制作しました。

 


Netflix の『ONI~神々山のおなり』のアニメーション キャラクターの静止画

MEGALIS VFX

USD データの取り込み

クリエイティブ スタジオや VFX スタジオが、Arnold と OpenUSD を使用して魅力的なクリーチャーや幻想的な世界を創り上げています。

 


画像提供:Megalis VFX

ボリューム レンダラーの関連リソース

「How I Made It in Maya & 3ds Max」マスタークラス シリーズで、3D モデリングやアニメーションのスキルを高めましょう。

 

世界中のアニメーション スタジオや VFX アーティストから信頼されているモンテカルロ方式のレイ トレーシング ソフトウェアを、150 以上の Arnold チュートリアルで習得しましょう。

Autodesk FlameArnoldMaya3ds Max などをはじめとするさまざまなトピックの情報をご覧ください。3D レンダリングの世界が広がります。

 

ボリューム レンダリングに関するよくある質問(FAQ)

レイ トレーシングとボリューム レンダリングの違いは何ですか?

レイ トレーシング と 3D ボリューム レンダリングは、どちらも光線を使用してイメージを生成するレンダリング手法ですが、それぞれに異なる目的で使用され、さまざまな種類のデータが使用されます。レイ トレーシングでは、ライトとサーフェスの相互作用をシミュレーションし、反射、屈折、影などの効果をキャプチャすることで、フォトリアルなレンダリングを実現します。これには通常、ポリゴンやメッシュのジオメトリック データを使用します。一方、ボリューム レンダリングでは、ボクセルのグリッドで表現される 3D ボリューム データを視覚化することで、内部構造と特性を表示します。そのため、医療用画像のほか、煙や火などの現象のレンダリングに最適です。

ボリューム レンダリングにはどのようなメリットがありますか?

3D ボリューム レンダリングには、煙、火、雲などの複雑な現象の入り組んだ内部構造を捉えてリアルに視覚化できるなど、多くのメリットがあります。内部構造を詳細に表現する必要がある場合に不可欠なツールです。たとえば、医療用画像では、組織や内臓を視覚化するためにボリューム レンダリングが使用されます。

 

GPU ベースのレンダリング(英語)がさらに進化しました。リアルタイムにボリューム データを操作できるため、科学的なビジュアルの作成や VFX 制作のワークフローが向上します。伝達関数を使用して特定のフィーチャ―やわずかな違いを強調することで、データをわかりやすく表示できます。また、ボリューム レンダリングはさまざまな手法に対応し、品質とパフォーマンスの間で柔軟にバランスをとることができます。

レンダリングにはどのような段階がありますか?

レンダリングは、コンテキストに応じて異なる複数の段階で構成されます。3D レンダリングのプロセスでは、まずシーン設定でカメラ アングルを決定し、その後、3D ジオメトリの作成、テクスチャとライティングの適用、インテリア デザインの詳細の追加を行います。アーティストはレンダリング ソフトウェアを使用してオブジェクトを配置し、仮想環境を定義し、リアルなライティングを設定し、マテリアルとテクスチャを適用し、最終的なイメージを生成します。技術的な面でいうと、レンダリングには、オブジェクトのレンダリング(不透明度、透明度、影付けの処理)と高度なプロパティの管理(オブジェクトの並べ替えとフィルタリング)が含まれます。レンダリングは、高品質な出力を実現するためのプリレンダリング(オフライン レンダリング)と、高速な計算を目的としたリアルタイム レンダリング(インタラクティブ レンダリング)に分けることができます。